第二幕.5話 ゴーレム
「ゴーレム……」
デカくね?
「俺が学園の教師だった時から開発していたゴーレム、その名もサイクロプス! 他のゴーレムと違い少しデカいが、その分面の制圧力! その巨大をカバーする耐久力! そして! 本来5つしか搭載できない術式を何と15も搭載! やはりロマン! いやー、やはり動くと違うな、うん。」
ゴーレムなのにサイクロプス、別に一つ目でもないし。
「貴方が試験で解いた未解決問題あったでしょ、あれはゴーレムに対して5つ以上の魔法を載せるための術式なのよ、そんなもの無いとすら思われてたから実践したらできてしまって、びっくりだったわ。しかもその効力は本来の約3倍。」
「だから関係があるって言ってたんですね。ってそんな貴重なゴーレム模擬戦に使っていいんですか?」
「安心しろ。[魔法障壁]と[物理障壁].及び[障壁]を積んだ最新型だ。君のお父上、レオル騎士団長でも傷をつけるのは困難な筈だ。」
「安心しろといわれても……」
「リーグレット、防御出力は最大にしときなさい。」
「なぜに、」
「この子、試験で対超級用障壁砕いたから」
「」
「ほんとです。」
「……やっぱやめとくか! な、坊主もそろそろ疲れてきたろなんか飲むか! な!」
「いえ、まだ全然。」
「」
「さっさとしてちょうだい、まだやること残ってるんだから。それに、お昼の間に来てるから時間ないのよ。」
「う、うぅ。よし、仕方ない。坊主思いっきりやるんだぞ!」
泣いてから立ち直んの早、
「では、行きます。」
アスカロンを構える。同時にサイクロプスが黄緑だった目を赤へと変える。
「坊主、排除状態に入ったぞ! そいつは[魔法反射]と[威力増強]も積んである、気をつけろよ!」
上から拳が降り注ぐ、動きは決して速くないが一つ一つの攻撃が全て鉄の塊だ、擦りでもすればひとたまりもない。
「魔力の調整次第で刀身が伸びるんだっけ、なら。」
俺は逃げ回りながらサイクロプスの足元をすり抜ける。背後に周りアスカロンを振り下ろす。
刃はサイクロプスの腕をまるで抵抗が無いかのように切り落とす。
「ああっ、サイクロプスの腕がぁ!」
「ちょっと黙ってください!」
俺が追撃をかけようとするとサイクロプスが視界から消える
「あれっ、」
視界から逸れたサイクロプスを探そうとした一瞬の隙、そのタイミングで拳が腹に当たり、俺の体を吹き飛ばす。
「かはっ、」
アスカロンを地面に刺し、勢いを殺す。障壁への直撃は避けたがそれでも腹の痛みがお俺を襲う。
今の攻撃、[障壁]を展開する時間すらなかった。
「さあ、坊主。サイクロプスが本気を出し始めたぞ。」
サイクロプスの巨大が少しずつパーツを外し中から先程までいた姿ではない、美しい少女のような人形が出てき、俺に対し敵意を向け述べる。
「標的を確認、自動戦闘プログラムより標的の戦闘スタイルを解析、打撃、有効と判断。魔法制御型自立思考素体 ψ96Ps、防御機構解除、状態を戦闘体制へ変更、戦闘を続行します。」
サイクロプスと名乗った少女がこちらへと飛び出す。俺は迷わず逃げる。
「グラハムさん! 何ですかこれ!」
「何って、サイクロプスだよ俺が開発したね。元々の姿は実験開発の過程を覗かれないように制作したダミー兼防御装甲だから。」
「人の姿じゃ戦いにくいですって!」
「魔族だって人に近いだろ。今戦えなきゃいざって時戦えないぞ。」
……一理ある、
「くそ、仕方ない」
俺は振り返り魔力をアスカロンへ流し込む。俺の魔力を吸った刃はその身を伸ばし、さらに肥大化させる。
体を隠せるほどの大きさになったアスカロンを構える俺に、サイクロプスは不思議と首を傾げる。
「魔法は効きませんよ?」
「魔法じゃないんだよ、こいつは」
俺は眼前へと飛び込んできたサイクロプスに対しアスカロンを壁として体当たりし、体制を崩す。仰向けとなった彼女の腹部へその刃を押し当てる。
「あ、」
青白い光がアスカロンへ流れ、サイクロプスは一言残しその機能を停止した。
「な、なにが。サイクロプスが止まった?」
「あら、やるじゃない。流石、というべきね。」
「お、おい説明しろフラウェイ。何が起きてる」
「貴方、開発者でしょう? わからないの? あの剣は魔力を吸う性質がある、あのゴーレムは魔力で動いている。ここまで言えばわかるかしら。」
「まさか、魔力を吸う性質を利用して動きを止めただと、いや確かに、エネルギーを抜けば動かなくはなる。咄嗟にそれに気づいたのか? それ以上にあの速さになったサイクロプスに受け身を取りつつ体当たりだと……」
「あの、もう大丈夫でしょうか。」
俺は柄の姿へとアスカロンを戻し二人の元へサイクロプスを抱えて戻る。
「てっきり、シンプルに斬るものだと思っていたわ」
「流石に開発者の目の前で切る気にはなれません。それに、いい対戦相手になってもらえたので。てゆうか、俺[生成]あるんで剣いらないんじゃないかって思ったんですけど。」
「使えるか試してみなさい」
「え? そりゃ覚えてるんですから使えるに決まって……」
あれ? [生成]できない? なんでだ、全くというほど術式が思いつかない。
「な、なんで」
「奪われたのよ、あなたの魔法。」
「取られた? 魔法をですか?」
「[生成]の魔法、わかっている詳細は対象さえあれば何でも生み出せる魔法。貴方がどこで見つけたのか知らないけど、あれは普通の魔法ではなく"禁忌の魔法"と呼ばれる魔法なのよ。聞いたことぐらいあるでしょう?」
「一応、聞いたことぐらいはあります。どういうものなんですか? "禁忌の魔法"って、」
「禁忌の魔法というのは、……神が使うとされる魔法よ。」
「神が使う、魔法」
「フラウェイ、言いたいことはわかったが魔法だぞ? 武器とかじゃ無い、どうやって奪うってんだ。」
「2年ほど前、魔法を補完できる魔道具が街に出回ったわ。王国でも騎士団で使う人がいるぐらい売れていた。」
「あぁ、魔札って奴だな。学園でも使ってるやつがいた。」
「えぇ、でも次の年に販売を禁止、所持者からも回収されたわ。」
「何でですか?」
「魔札で他人の魔法を奪えることが判明したの。しかも奪われた人間は術式を覚え直すことすらでき無いこともね、王国はこれを違法な魔道具、"魔術黒具"として認定、表向きでは姿を消したわ。裏の世界では今もかなりの高値で取引されてるみたいだけど。」
「それを使われたってことですか? それで、そのまま奪われた。」
「私の予想はそうよ。今までの被害者は総じて使えないことを認識できず、人によっては使えたことすら覚えていない者もいたから貴方はマシな方よ。あともう一つの特徴として、元々の使用者の肉体に魔札の術式が刻まれること、ね。」
「何か、使えるようになる方法はねぇのか?」
「残念ながら、今のところは無いわ」
命だけでなく[生成]までも奪われた、
……もっと、もっと強くならなきゃ。
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