第二幕.2話 一仕事
王立学園フラグレオ 第一会議室
学園に所属する総勢25名の教師が集まっていた。
「前回の課外学習にてダンジョン内でA級上位に認定される骸の死神が確認された」
私、セレス・グレアの一言で教師陣にざわめきが生まれる。
「最下層まで辿り着いた生徒からの発言、及び写真機による情報から判断した。幸いにも生徒4名が死力を尽くし撃破したが、冒険者資格を持たぬものがB級以上のモンスターと戦うことは禁止されている。こちらで対応できなかった不手際もあるため、一ヶ月の謹慎処分を言い渡した。ここまでで、質問があるものは」
鎧を着た男が手を挙げる
「ジオ・ジージス、発言を許可する」
「今回、事前の調査をした段階ではA級上位、ましてはB級以上のモンスターは確認されなかった。と資料には記されていましたが確認不足があった可能性はありませんか?」
小柄な少女が手を挙げる
「セシリア・ルベル・フラウェイ、発言を許可する。」
「校長に代わり私が、確認不足があった可能性は無いか、と言う問いに対しては無い、とはっきり言わせてもらうわ。探知を4人単位で使いながら目視確認をした後、B級以上が発生しないように制限領域の魔水晶を展開しておいたもの。ま、授業終了後に回収しに行ったら砕かれてたんだけど、」
片眼鏡をかけた機械人形が手を挙げる
「ハスティン・バルノレア、発言を許可する」
「セシリアさん、一つお聞きしますが、授業開始時魔水晶が割れているかどうかの確認はしましたか?」
「確認したわ、その時は何事もなかったの。だから、あるとすれば開始直後に砕かれた可能性よ。」
「……中に入ることができるものは決められていますから、絞れはしますね。」
ま、多少予想はついているから、裏付けが欲しいな。
「一度、出入りした者の確認、及び魔水晶を割った時に出る魔力残滓の解析をしよう。セシリア、ハスティン、任せていいか。」
「えぇ、任されたわ」
「お任せください、セレスさん」
「それでは、これで会議を終了とする。」
何事も、やってみなければわからないものだからな。
王立学園フラグレオ 寮《小鳥の家》 中央小屋
「ほれ、約束通りここはあんたの場所だ。必要なものがあれば言いなよ。」
小屋の扉を開けるとマルタさんは寮へ戻って行った
「……そんじゃ、やるか」
小屋ひとつの大掃除
中を一通り見ると、物置として使うには勿体無いほど広い。人が5、6人で寝泊まりできるぐらいの大きさはあるだろう。
「とりあえず、[浄化]で部屋の埃と汚れをとって……あとは」
壁や床は朽ちてボロボロだ、立て直した方が早いんじゃないか?
「無駄なこと考えずやるか、[浄化]」
魔力を節約しながらちまちまと掃除していると5時間ほどが経っただろう。
「やりすぎた」
気になったところを直し続け、気がつけば壁は新築のように綺麗になり、床は歩くだけで穴が開きそうだったが、軋みすらしなくなった。
「あと問題はここか」
掃除をしている最中、敷かれているカーペットをめくったとき、扉を見つけた。
中がどうなっているかわからない以上、一回覗くしかない。
扉を開き、
「[光源]」
下を覗く……見えない、降りるしかないか
「ヴァルス連れてくればよかったな」
埃まみれになりそうだから連れてこなかったけど、あいつ常に魔力を体出してるから丁度いい魔物対策になるんだよね
しばらくの間下に行くための梯子がないか探していたところ側面に凸凹を見つけた。
「梯子、か? にしては凹凸はっきりしてないし、まず足置けないな」
なんか他にギミックとかあるのか? ……蝶番の下になんかある。レバーか? とりあえず引いてみるか
ひいてみるとガコンと音を立てながら小さい凸凹がせり出てくる。
「なるほど、これすごいな」
せり出てきた段差を足場にして降りる。かなり深くまで降りるとやっと地面が見えた。
「階段を降りた先も、何も見えず」
剣を[生成]してゆっくりと奥へ進む。下に着いた時点で[光源]以外の光が無いため慎重に進む。
壁伝いに進むこと約30分、もうすでに寮の区域から外れて学園の下にいる形だろう。
「しっかし、地下にこんなもんがあるとは」
俺が目にしているのは机と本棚、そしてその机の上にある中世風な世界に似つかわしくない……
「なぜアタッシュケース」
開けても大丈夫なやつかな……まいーや、あけよ
中には……
「………本?」
何だこの本、『禁忌目録』? 中身は、読めない。こっちの世界の言葉でもなけりゃ日本語でも英語でもない。
「どこの言葉かはわからんが、挿絵のおかげでなんとなわかるな」
頁をめくると出てくる挿絵。見てると全ての絵は繋がっているようで、
「あれ、真ん中だけ綺麗に無いな」
恐らく絵の中心が描かれているはずのところが抜けており、破かれている。
修繕魔法覚えられたら良かったんだけど、
「一旦持って帰って、似たような本がないか探すか。」
来た道を戻ろうとした際、右側の壁に絵が描かれていることに気がついた。
描かれているのは一冊の本を手にした人が唄を歌う絵、どこかで見たことがある気がするけど、ま……いっか。
「早く戻らんと時間まずいな」
俺は本を手にしてその場を後にした。
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