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双翼の奏者  作者: 無澄名
一章始まりの旋律
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第一幕.1話 2度目の生

 その日何があったかはもう覚えていない。思い出したくないだけなのかもしれない。それが恐ろしかったことだけを鮮明に体が記憶しているから。


「おはようございます。」


 俺は父がわりの人レオルさんに挨拶する。


「おはよう。朝食の準備はできてるらしいからな、食事にしようか。」


 ここは王都フラグレオの近く、グレア領。


 俺は天崎時雨(あまさきしぐれ) 18の時トラックに轢かれ、生涯に幕を閉じ、転生ってものをした。こっちの世界ではアルレルト・グレアという。

 向こうの世界では名前が女っぽいって理由と、周りと話さなかったってのでいじめの対象になっていた。

 唯一の救いは親が家にもあまりおらず学校に行こうが行かまいが俺次第って人たちだったってことだ。家にこもってネトゲをし、配信を見て、7時に寝る。そんな生活を送っていた。


「こっちの世界では、友人の1人や2人は欲しいな。」


 領主であり俺の父代わりのレオルさんは王都騎士団の師団長らしい。母代わりのメルダさんは魔法薬学の研究をしている。

 兄弟は4人いるが、長男と長女は不在、次男であるアルスは王都の学園に所属しており剣技だけなら学年でもなかなか上位らしい、俺の4つ上。次女であるフィルナ姉さんも学園の魔法科に所属している。俺の3つ上。2人ともことごとく俺を気にかけてくる、過保護な性格だ。

 ……俺は12年前この家に拾われた。

 どこで拾われたとかの細かい話は聞いてないが目を開いた時周りが燃えてる中、渋いおっさんに拾われたことだけは覚えていた。


「全員集まったな。それじゃ、神の恵みに感謝を。」

「「神の恵みに感謝を」」


 今日は何時に帰ってくるだの、いつ出るだの、何気ない会話を交わした後、レオルさんが口を開く。


「そういえば、アルは今日で12歳か、なら教会に行かなきゃな。食べ終わったら支度してきなさい。」


 12歳になった時に教会に行き、神からの天命を受ける。天命ってのはいわゆる将来の仕事やら役割の事だ。

 その際にその天命にあった力、《スキル》を与えられる。……といってもこっちに来る前、転生する時に神とやらになんか力あげるよとか言われてたからな。あれと別にもう一個ぐらいくれないかな。


「わかりました。すぐ支度をしてきます。」


 俺は食事を終わらせると部屋に戻った。クローゼットを開け、服を取り出す。


「坊っちゃま。教会に行く際には身なりを整えなければなりません。こちらへ、」

(セバス)、大丈夫自分でできるよ。」

「爺は坊っちゃまが赤ん坊の頃から見ております。天命によっては家から出ることになるかもしれないのですから、心残りがないよう、爺に任せて貰えませぬか、」

「う……わ、わかったよ。じゃあ頼むよ、爺」

 爺は頷くと、俺の黒髪に櫛を通し始める。真っ黒な髪は東洋の国でも珍しい存在らしい。


「はい、これで良いでしょう。」

 髪を1本に束ねた簡単な結びかただが、確かに見栄えはいい。

「坊っちゃまは普通の男の子より髪が長いので、結ばないと髪が跳ねてしまいます。結び方覚えましたね?」

「わかってるよ爺。」


 部屋を出て、玄関へと向かう。

「うん。いいじゃないか。」

 レオルさんと共に馬車に乗りそのまま道沿いに街まで進む。来年からは家を出るか、王都の学校へ通うかのどちらかを選択できる。個人的にはこのまま家を出て育ててくれた恩を返したいところだが知識をつけてからでも遅くはないだろう。


 王都へ3時間ほどかけて着くとそのまま教会へ向かう。教会の裏手に馬を預け中へ入る。

「レオル殿!よく来てくださいました。」

 少し小太りな男がレオルさんを迎える。

「やぁグレリオ。久しいな。こっちはうちの三男のアルだ。」

 レオルさんが挨拶を交わすタイミングで頭を下げる。

「アルレルト・グレアです。」

「自己紹介が遅れましたな。司祭のグレリオ・ルーラーです。どうぞ、よろしくお願いします。」

「よろしくお願いします。」

 挨拶を交わした後、祭壇前まで連れていかれる。

「どうぞこちらへ、水晶に手を置いていただければ、」

 言われるがまま水晶に手を置く。すると頭の中で声が響く


『あーえーっと、久しぶりで()いかな?』

 ……誰ですか?

『忘れられとる! わしじゃよわし! 君を転生させた!』

 あ、神さま。お久しぶりです。久しぶりって気もしないですけど。

『なんか、思ってたんと違うけど……まあいいや、とりあえず話していた通り、特別な"スキル"をお主にやろう』

 よしっ

 特別な能力(スキル)、俺が転生するとき神様に頼んだのは[鑑定]。純粋に好奇心が打ち勝っただけでもあるが自分の目で見て知識を得ることは別に嫌いじゃないし、なんでもしれる能力ってのはかなり輝いて見えていたから良かったかもしれない。

『あとついでにもう一個だけ、《模倣(コピー)》という能力をやろう。』

 え! いいんですか!

『じゃがひとつ問題もあってな……実はこの世界、ステータスとやらがないんじゃ。じゃからあんま思ってる《模倣(コピー)》じゃないかもしれんけど?』

 ほう…………え?

『ま、とりあえず称号と一緒にあげとくわい』

 え、ステータスがないって……どうやってもらったスキルを見れば?ってかそれなら何をコピーしろと?

『一応それっぽい表作っといてあげるからそれで頑張っとくれ。』

 えぇ……

『この世界は危機に瀕しているわけでもないからお主の好きなように生きなさい。あ、でもとりあえず神の子の称号だけはつけさせてね。』

 えぇぇ……



【スキルを獲得しました】

_________________________________

《鑑定》

模倣(コピー)

_________________________________

【称号を獲得しました】

_________________________________

称号

武神の加護 知神の加護 自然神の加護 理神の加護 農業神の加護 魔法神の加護

死神の加護 聖神の加護

神の子

全知

_________________________________

(思ったよりもいっぱいついたけどまあいっか。)


 称号自体は周りも見る事ができるらしい。司祭が神の子の称号を見た時の顔、衝撃的だったな。


 家に帰るとメルダさん、グレオ兄さん、フィル姉さん、爺に報告をする。皆にすごいすごいと褒められ気分が良くなった俺は自分の時間を楽しむことにした。


 部屋に戻り今日の情報を整理する。

 好きに生きろって天命を受けたわけだが一つ気になることがある。《模倣(コピー)》これは検証しなければいけない。

 決して面白そうとか何か悪事に使えないかとか思っているわけではない。

 コピーできる対象が何かわかっていないからな。それをしっかりさせよう。


 さて、まず使えそうなスキルは……《鑑定》か

 適当に窓を開けて外の風景に対して鑑定を行う。

「…っいっった‼︎」

 目に入っている物全ての情報が入ってくる!一瞬頭が真っ白になったぞ。

 明日になったら外に出て、近くの森でスキルの試し撃ちをしよう。

 とりま慣れるまで鑑定使い続けとこ。


「坊っちゃま夕食にございます。って坊っちゃま!何をされているのですか⁈」

「ああ、今外の風景に《鑑定》スキルを……」

「目が血で真っ赤でございますよ!早く治癒魔法を!」

 回復されながら俺は考える。

 俺の中でやりたいことか、一つしかないな。

 異世界に来たなら世界最強目指さなきゃだろ!ま、でもその前に常識やらなんやらをつけるために学園に行った方がいいか。友達も欲しいし。

 俺は夕食の席につくなり自分の人生(目標)を話す。

「グレオさん、俺、学園に行きたいです。」

面白い!

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