オペラ探偵 毛利さくらの美学 第二話「アイーダ」 第三回
日本で唯一の市立オペラハウスである、桜園シティオペラハウス。
落成10周年記念公演「アイーダ」開幕と共に、
「オペラ探偵」こと毛利さくらと仲直りしたい有沢みなみの計画もいよいよ実行段階へ。
そして突然の想定外の事態が…
「アイーダ」、解決編です。
アイーダ 1幕
清きアイーダ、神々しき姿
光輝と神秘の花に飾られた
我が想いの女王よ
我が命の煌めきよ
桟敷席の扉を開けた私は呆然と立ち尽くしている。会場は、1幕冒頭のラダメスのアリア「清きアイーダ」に対する拍手とブラボーの声に埋め尽くされ、そして、私の前の桟敷席には誰もいない。
ただ、譜面台があるだけ。
これはバンダの仕立てだ。2幕のアイーダトランペットの演奏場所。でもそれは、隣の桟敷席だったはずだ。もう一度、通路に出て扉の位置を確かめる。間違いない、昨日、わざわざ下見までして確認した、毛利さくらの定位置。
入れ替わったってことか。なら、毛利さくらは隣の桟敷席に移ったのか?なんで?昨日のドレスリハーサルから今日の初日開幕の間に?そんな変更、舞台方でも共有されてないぞ。
完全に頭がパニック状態になって、とりあえず隣の桟敷席の扉を開けようとして、踏みとどまる。待て、恐らくここに毛利さくらがいる。でももしいなかったら?他のお客様がいたら?隣じゃなくて、下手の桟敷席に移ってる可能性もあるぞ。
観劇中のお客様の舞台への集中を削ぐ行為は、舞台方として一番してはいけない行為だ。ましてや、私は今こんななりだし。
会場を揺るがすように鳴り響いていた拍手が止み、アムネリスが舞台上に歩み出している。愛するラダメスの心が自分に向いていないことに苛立つアムネリスとのやりとりが始まっている。最初のチャンスは逃してしまった。次の有名なアリア、アイーダの「勝ちて帰れ」は、1幕の幕切れだ。
とにかくまず、毛利さくらの位置を確認しなければ。下手の舞台袖に行けば、桟敷席の様子が覗けるかもしれない。私はもう一度、舞台裏に駆け戻った。
エジプト風の衣装を身に纏った合唱の人たちの間をすり抜けるように、楽屋の廊下を走る。見送る人達がなんか驚きの声をあげているけれど、耳を貸す暇はない。下手袖の操作卓の近くに駆け寄って、モニター画面を見る。
「えっと、誰?」卓に座った千葉さんが言う。「みなみちゃん?」
モニター画面に客席は写っているけど、桟敷席は画面の外だ。カメラはある程度首が振れるようになっているけど、桟敷席まではカバーしてない。モニターで見られないとなると、下手の袖幕に身を隠して、照明の影から桟敷席を伺うか?
私は襟元のキラキラ輝く金糸に目を落とす。ダメだ、この派手な衣装で、客席から少しでも見切れるリスクを冒すわけにはいかない。エジプトの世界を異世界ファンタジーの貴族の御曹司が幕袖から覗いてました、なんてことになったら。
「千葉さん」小声でささやく。「上手バンダの位置、変更しました?」
「…そうだっけ?」千葉さんは首を傾げる。「磯谷が蔵本先生と調整したのかもな。」
「磯谷先輩どこですか?」
「奈落だと思うよ。せり上がりのコントローラー。」
一瞬動線を考えたけど、一気に気が削がれる。ただでさえ、自分のワガママで今日の現場から離れてるのに、この上本番中で殺気立ってる磯谷先輩の邪魔をするのは。
ええい、こうなったら、毛利さくらの位置を特定できる確実な方法を取るしかない。
アイーダ 1幕〜2幕 幕間
周囲の視線が全部私に注がれてる気がする。足元がガクガク震える。私は舞台裏の暗がりで、なるべく人目につかない所で、輝く舞台をそっと眺めているのが好きなんです。スポットライトが自分に当たるのは困るんです。なるべく隅っこで、目立たない所で、誰にも気づかれずに一生を終わりたいと思ってるんです。そんなにこっちを見ないでください。ため息ついたり、指差したりしないでください。周囲に視線を動かすな。真っ直ぐ、御目当ての標的だけを見据えろ。
休憩中のロビーで一番目立っている女。周囲に沢山の常連のおじいさまおばあさまを従え、女王様のようにニコニコと応対している彼女の今日の出立ちのテーマは、当然ながら、エジプト。
ラピスラズリを思わせる深い青を基調にしたサイドシフォンスカート。スカート一面に青で描かれたエジプトの壁画のモチーフに、繊細な金糸の縁取りがゴージャス感を加えている。スカートの裾も金糸のレースで飾られているけれど、金ピカにならないように適度に抑制されていて、豪華だけれども品格を失っていない。腰をキュッと締めたブラウンのベルトにも、ラピスラズリの青をイメージした石の装飾が施されていて、金と青で装飾されたスカラベを模したバックルでエジプト風を強調している。トップスはゆったりした白のブラウスで一瞬シンプルに見えるけど、花のように広がった襟飾りや袖口には細かい金の刺繍がさりげなく施されている。青みがかったカラーコンタクトをつけた瞳、そして何より目を引くのは、艶やかな黒髪の上に輝く金のヘッドバンドだ。ヘッドバンドの額には、真っ青なラピスラズリが埋め込まれていて、左右から金の蛇が二匹、それを支えている。
ゴシックロリータ風クレオパトラかと見まごう毛利さくらだけを視界にとらえて、私は真っ直ぐ彼女に向かって歩く。毛利さくらの視線が私を捉え、一瞬の訝しげな表情から、驚愕の表情、そしてそれが、ぱあっと輝く笑顔に変わる。ホントにこいつ、オペラという非日常の世界から舞い降りた女王様みたいに綺麗だ。
毛利さくらを包んでいた常連さんたちの輪が自然に割れて、私と毛利の間に道ができる。私はゆっくり歩み寄って、毛利さくらに手を差し伸べる。その手の上に、毛利さくらは、そっと指先を乗せた。その細い、すぐに壊れてしまいそうな指先をきゅっと握りしめた。
「ごめん、私には、これが精一杯」ボソッと言うと、毛利さくらは、握りしめた手のひらを引き寄せて、私の腕に自分の腕を絡めた。
「最高だよ」って、私の肩の下から、小さな声が聞こえた。
「ウィッグは穂高先輩に借りたんだよ」と言うと、毛利さくらは「それでか」と微笑んだ。「開演前に、わざわざ穂高先輩がロビーに来たんだ。有沢が行くから、ちゃんと仲直りするんだよって。」
私たちは桟敷席に戻っている。休憩時間はまだかなり残っているけど、私はロビーでこれ以上人目につくのは耐えられないと、毛利と一緒に桟敷席に駆け込んだ。予想通り、毛利は上手側の隣、舞台面から遠い側の桟敷席に移っていた。昨日の夜、磯谷先輩から直接LINE来て、桟敷席の変更打診されたそうだ。蔵本先生の指示だったのかな。それにしてもなんで私に教えてくれなかったんだ?
「穂高先輩、今日はどんな衣装だった?」と聞くと、毛利はクスクス笑った。「珍しくシンプルな黒のストレートドレスだったよ。胸にMETのブローチ付けてるくらいで。」
ああ、この前のライブビューイングでも付けてたやつだな。
「でも、なんで男装なの?無茶苦茶似合ってるけどさ」毛利が言う。
「私はガテン系だから、綺麗なドレスなんか似合わないし」客席からこちらを見上げているお客様の視線が気になる。ちょっと壁際に身を隠そうとするのに、前の席に座った毛利が絡めた腕をほどこうとしないから、自然、私も客席から結構見えてしまう。この桟敷席だけ次元が違って見えてるだろうな。
私がいつものスタジャン姿で、開場直後の関係者控え室に顔を出した途端、紗南ちゃんが、サラシ布持って飛びかかってきた。「まず女子トイレに来て下さい、胸つぶします!」と叫んだ時から、私はもうあれよあれよという間に紗南ちゃんのオモチャになった。1幕開幕前で忙しくないのかと思ったけど、紗南ちゃんは「全然平気っすよ。合唱陣はドレスリハの時にメイク一回練習してもらったし、ソリストさん達は先輩達が対応してますから、下っ端の私は出番ないんで」と、私を女子トイレに引きずり込む。「先輩、出てる所しっかり出てるから、ちょっと胸苦しいっすよ」と言われて胸周りにサラシをギュッと巻かれて、ドレスシャツを引っ掛けて関係者控え室に戻れば、衣装部の人達が待ってましたとわらわらやってきて一瞬で真谷先輩の燕尾服(ほぼ原型をとどめていないファンタジー仕様)を着付けてくれて、続いて再び紗南ちゃんと床山の人たちがわらわらやってきて、気がつけば鏡の中に、漆黒のハンサムショートの髪にパープルの入った唇、切長の目にキリリとした眉の異世界貴族の御曹司が座っていた。
「まぶたにラメまで入ってる」毛利がクスクス笑う。「やっぱり有沢は綺麗だよ。顔立ちが整ってないと男装なんか似合わない。自分に自信持っていいと思うよ。」
「私は自分が綺麗かどうかとか、どうでもいいんだ」私は言った。「毛利を喜ばせたいって、私がポロッと磯谷先輩に呟いただけで、このオペラハウスのみんなが私に力貸してくれた。私自身にはなんの力もないかもしれないけど、でもこのオペラハウスの仲間がいる。磯谷先輩も、穂高先輩も、真谷先輩も、紗南ちゃんも、衣装部や床山の皆さんも、一瞬で私を改造しちゃった」そして、隣で満面の笑みで私を見つめている毛利を真っ直ぐ見つめた。「私は、毛利さくらに負けないすごい宝物を持ってるんだって、改めて思った。変な劣等感で、ひどいこと言ってごめん。」
毛利はちょっと顔を赤らめた。休憩3分前、ロビーのお客様に入場を促すアナウンスが聞こえる。「終演後、ツーショットの写真撮ろうね。」
「終演後までは無理だよ。2幕の後の休憩では、毛利はロビーに行かないと。私はもう舞台裏に戻る。この格好は2幕の間で終わり。」
「えー、もったいないなぁ。じゃあ今撮らないとダメじゃん」毛利が急に慌ててスマホをバッグから出す。
「ホントは、1幕の途中で桟敷席に入って、1幕の幕切れの拍手の間に写真撮って、そのまま舞台裏に消える予定だったんだよ」毛利が自撮りシャッター切りまくっているスマホに向かって、精一杯の笑顔向けながら、私は言った。「まさか桟敷席移動してると思わないからさ」今思い出しても顔に火が出そうだ。千の矢のように身体に突き刺さったロビーのお客様達の視線。
「有沢も知らなかったの?」毛利がピースサインしながら言う。
「昨日までは、確かにこっちの桟敷席がバンダの位置だったんだ。ドレスリハが終わってから、急に変更したんだと思う」考えてみれば本当にヘンだ。照明位置も変更しないといけないし、微調整といっても結構手間のかかる変更なのに、舞台方に周知されてないなんて。
「こっち側でアイーダトランペット吹くのは、ひょっとして麻野先輩?」毛利が言う。
「そうだよ」私が言う。客席の扉が次々と閉じていく。そろそろコンマスの入場だ。
「なるほどね」毛利が言う。
「なるほどって?」私は尋ねた。何に納得してるんだ?
「磯谷先輩って、いい先輩だよね」と、毛利さくらはにっこりした。オケピットの中に、チューニングのラの音が響き始めた。
アイーダ 終演後
おお大地よ、さらばだ、涙の谷
悲嘆の中で消えた歓喜の夢
天の扉が開かれ、この迷える魂は
永遠の太陽の光へと飛翔する
終演後、スタジャン引っ掛けて奈落に降りたら、せり上がり機構の側で磯谷先輩が手を振った。「仲直りできた?」
「おかげさまで」というと、私の顔を覗き込んで、プッて吹き出した。「まだ目の周りにラメ残ってんじゃん。」
「紗南ちゃん気合入れすぎなんすよ」とボソッと言うと、磯谷先輩はケラケラ笑う。「あの子も今年バイトで入ったばっかりで、主要キャストのメイク任されてないからさ。張り切っちゃったんでしょ。」
「磯谷先輩、聞きたいことあるんすけど」私は言う。毛利さくらの謎解きの答え合わせをしないといけない。「麻野先輩と穂高先輩のために、桟敷席移動したんですね?」
磯谷先輩が穴の開くほど私の方を見た。「毛利さくらに言われたの?」
私が頷くと、磯谷先輩はゲラゲラ笑い出した。「参ったなぁ。オペラ探偵にはなんでもお見通しってわけだ。」
「技術的に言えば指揮者さえ見えればいいんだから、わざわざバンダの位置を変える理由なんてないんだよ。手間をかけてまでバンダの位置を変えたのは、オケピットから麻野先輩が見えるようにしてあげたかったからでしょう。あるいは、麻野先輩からピットが見えるようにしてあげたかったか」毛利さくらは言った。「ピットの下手側、麻野先輩を正面から見上げる位置にある楽器奏者のリクエストだったとしたら、一番怪しいのは穂高先輩だと思うんだよね。」
確かに、穂高先輩の弾くハープは下手側に配されている。でも、他にもいっぱい楽器はあるじゃん。
「なんで?」というと、毛利はにっこり微笑んで言った。「穂高先輩がつけてたブローチ、METのブローチだったよね。」
そう、メトロポリタン歌劇場、通称MET。ロビーを飾るシャンパンの泡を模した大きなシャンデリアが有名で、穂高先輩が身に付けてたブローチも、そのシャンデリアを模していた。
「METはニューヨークのリンカーンセンターにある。そしてMETの隣にあるのは?」
「ジュリアード音楽院」私は呟く。麻野先輩の留学先だ。ニューヨークに行ってきた人からもらったと、確かに穂高先輩は言っていた。
「多分、麻野先輩が日本に戻ってきた時に、2人で会って、穂高先輩に麻野先輩がプレゼントしたものだと思う。穂高先輩はブローチ付けてる自分も見せたいし、麻野先輩も、穂高先輩の正面でアイーダトランペット吹いてるのを見せたかったんでしょう。あのブローチがちゃんと目立つように、あえてシンプルなストレートドレス選んだんじゃないかな。穂高先輩、黒のドレスだけで50種類以上持ってるからねぇ。」
前日のドレスリハーサルの時、ピットで話し込んでいた穂高先輩と磯谷先輩。そういえばあの時の穂高先輩も、黒は黒でも魔法少女ケープ付きだったな。
「真里亞が、桟敷席のあんたに手を振ったあとでポロポロ涙こぼし始めちゃってさ。見上げたら、隣の桟敷席から身を乗り出してあんたと話してる麻野君がぎりぎり見えて、お姉さんはピンと来たわけですよ。なんせ、真里亞がシティオペラ公演に出なくなったのも、麻野君の渡米がきっかけだったからね。なんか色々あったのは聞いてたから。」
磯谷先輩に問い詰められた穂高先輩が白状した話は、毛利さくらの想像よりちょっと深刻で、麻野先輩は穂高先輩に、一緒にニューヨークに来てくれないかって言ってたらしい。胸に付けたMETのブローチはそのお返事の合図で、
「付けてくるっていうのがyesの返事ですか?」って私が言ったら、磯谷先輩は首を横に振った。
「離れていてもあなたのことをずっと思っていますっていう意味で、noっていう意味なんだってさ」磯谷先輩も首を傾げる。「なんか、普段から服で色々メッセージを発信する人って、ちょっと発想が違うよねぇ。」
オケピットから麻野先輩にnoのお返事を告げたら、初日終演後すぐに会場から去ろうと思ってたらしい。初日の夜にいっぱい泣いて、翌日からは何事もなかったかのように笑顔でピットに戻る。そんな穂高先輩の(ちょっとメロドラマっぽい)計画が、バンダからピットの中が見えない、という単純な障害に阻まれてしまった。
「しょうがないなぁって、蔵本先生と照明さんに、舞台裏から桟敷席の動線言い訳にして、毛利にも了解もらって急遽バンダの位置を変更したわけですよ」磯谷先輩は苦笑いする。「あんたといい真里亞といい、手のかかる後輩達だわ。」
「でも、私に伝え忘れたのはひどいっすよ」と私が文句を言うと、磯谷先輩はニヤっとした。「あ、それはわざとね。」
「はあ?」どういうことだ?
「毛利さくらの位置が分からないとなれば、あんたはあの格好で色んな所走り回るでしょ。そうすりゃ、あんたのあの格好を沢山の方々に見ていただくことができる。勿体ないじゃん。桜園オペラハウスの舞台裏全面協力で作り上げた改造人間有沢みなみ。」
この人、いい人っぽい顔して実は悪魔か?
「まさか、お客様がいっぱいいるロビーに登場するとは思わなかったけどね」と、手元のスマホの画面をこっちに見せた。ロビーで、手を取り合っている毛利と私の写真。顔から火が噴き出した。「なんですか、この写真!」
「ロビーにいた受付スタッフが撮りまくってたらしいよ。舞台裏のスタッフのグループチャットにバンバン流れてきてる。」
やめてくれ、誰か桜園市のインターネット回線を全遮断してくれんか。
「みんな、毛利と有沢のファンなんだよ。このハコが、父兄みたいに見守って育ててきた可愛い子供達。麻野君も、ゆづちゃんも真里亞も、私も田口も。」
それは確かにそう思う。毛利さくらとの仲直り作戦で気付かされた、私の最大の財産。
「でさ、麻野君の事なんだけどさ」磯谷先輩の目がギラっと光る。若干悪魔っぽい邪悪な感じの笑み。「傷ついた心を抱えてニューヨークのジュリアードに寂しく帰ることになるじゃん?」
「そうですね」何をそんなにワクワクしてるんだ?磯谷先輩が、一段声を潜めて、私の耳元に囁く。
「どうやら、ゆづちゃん、ジュリアード留学考えてるらしいんだよ。」
「真谷先輩が?」オーケストラリハーサルの時、麻野先輩の背中を目で追っていた真谷先輩の視線を思い出した。ちょっと切なげな表情で、アムネリスの悲恋について語っていた真谷先輩。
「いいねぇ。現役の頃の焼き木杭に火がつくのか、それとも真里亞の逆襲があるのか。この三角関係、これからも見逃せませんねぇ」磯谷先輩は一人で盛り上がっている。
私は私で、自分の初恋の話は毛利さくらには秘密にしておこうと思った。あの毛利さくらの目から隠し通せるか、ちょっと自信はないけれど。穂高先輩が見上げた視線の先で、アイーダトランペットを高らかに吹き鳴らす麻野先輩、カッコよかっただろうな。
そういえば、毛利さくらの初恋の相手って、誰なんだろうな。そんなことを考えながら、私はせり上がりの下、ラダメスとアイーダが生き埋めにされ、永遠の愛を誓いながら死んでいく墓の中から、明るい地上へと上る階段に向かった。
(幕)
さくら学院の藤平華乃さん(現onefiveのKANOさん)が、さくら学院の日誌で、当時のメンバーをオーケストラの楽器に例えていたことがありました。今回、アイーダトランペットの吹き手とオケピットの中の演奏者の恋、という話を思いついた時に、トランペット奏者を麻生真彩さんをモデルにしたキャラにしたのは、この藤平さんの日誌で麻生さんがトランペットに例えられていた所からの発想です。そこから自然に、日髙麻鈴さんをモデルにしたキャラと新谷ゆづみさんをモデルにしたキャラが麻生さんを巡って三角関係になる話になったのは、さくら学院の2018年度学院祭での3人の即興芝居が強烈だったせいですね。そう考えるとこのシリーズ、本当にさくら学院がなかったら生まれてないんだよなぁ。
もしさくら学院を知らずにこのお話を読まれた方がいらっしゃったら、是非このグループのことを知って欲しいって思います。自分の置き忘れてきた色んな宝物を思い出させてくれる、素敵なグループですよ。
拙い自己満足のお話、最後まで読んでくださってありがとうございました。そしてこのオペラ探偵のシリーズ、なんと第三話も近日中に投稿予定です!次のオペラの演目は何か、楽しみにしていただけたら嬉しいです。