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クロノスの空間

本日2回目の投稿です。

ここは時の狭間。


時の神たる僕の住処であり、職場でもある。

この場所には通常、人間はおろか他の神すらも足を踏み入れることができない———


「……え、今何が起こった?」


通常はできないのだが、この時田刻之に関しては、彼が命を落とした瞬間に魂がこの世界に飛んでくるようにしている。

そんな刻之はどうやら、自分の身に何が起きたのかが分からないでいるようだったので、親切に教えてあげることにした。


『ふふふ。トラックに轢かれてぺちゃんこだったよ刻之』

「おおう、そうなのね……。痛みとかなんだとかを感じる前にこっちへ飛ばされたからさ、何が何だかわからなかったよ、クロノス」


多分普通の人間ならば、自分が死んだと聞かされたらパニックになるものなんだろうけど、目の前のこの男はそんなそぶりを見せない。


「つかあの不気味ちゃんな女の子って、もしかして俺の呪いが見せた幻か?」

『多分ねー。周りの人間の反応から察するに、刻之にしか見えていない感じだったし。……それにしても刻之は本当によく死んじゃうよね。これで何回目だっけ?』

「1万回までは数えてたけど、もう分かんねーや」


死ぬことに慣れすぎじゃないかな、とも思うけれど、そういう星のもとに生まれたのだから仕方がない。


『さすがだよねー。これだけ死んでたら段々頭がおかしくなってくるものなのに、ぴんぴんしてるんだもの。それとも元々おかしかったのが死にすぎてまともになったとか?』

「やかましいっ!」


彼が頭を叩いてきたのでするりと躱してやった。


「ちっ!……とりあえず、今回は単純な事故死———でいいんだよな?」

『そうなんじゃないかな?』


忌まわしき呪いが原因であるとはいえ、今回に関してはトラックに轢かれて命を落としたということに間違いはないだろう。


「なら事故にさえ巻き込まれなきゃいいわけだから、今回はわりかし簡単に修正できるな」

『……簡単に済めばいいけどね』


これまでそういって何度同じシーンをやり直したのやら……やれやれ。


「とりあえずやってみるさ。クロノス、スクリーン出してくれよ」

「はいよ」


彼に促されて特大のスクリーンと、あと、操作しやすいようにリモコンも出してあげた。


「相変わらずクロノスさんは気が利きますなあ~」

『であろう。褒めるがよい、褒めるがよい~』


などという茶番を挟んでいると、刻之はリモコンで操作を始めた。


「おおう……これはまた……俺、見事に肉塊だなぁ……」


スクリーンに映し出されているのは地上の、つい先ほどまで刻之が存在していた場所だ。


『これは地上波では放送できないねぇ』

「ネット動画でも規制されるレベルだよ……」


肉塊となった自分自身に引いているのか、刻之は顔を引きつらせている。


「とりあえず巻き戻してみる」


刻之がリモコンを操作すると、スクリーンの映像が逆再生されていく。


『どのあたりまで戻すんだい?』

「多分、変に早起きしなきゃ巻き込まれなかったと思うんだよなあ。だからとりあえず朝日で一瞬意識が覚醒したところまで戻してみる」

『なるほどね……っと、戻しすぎだよ。も少し送って———そうそう、このあたりじゃない?で何をどのように変えるんだい?』

「いつもより早起きをしてみるか、という俺の決断を【引き続き惰眠を貪る】に変更しようと思う」

『わぁ~、パチパチィ~! 何とも刻之らしい選択だ! ザ☆自堕落!』

「うるせっ!」


また刻之が頭を叩いてきたので華麗に躱す。


『というか君、最近自分の運命考えるの面倒になってきているでしょう?』

「……1万回以上コンティニューしてたらさすがに飽きてくるって」

『だめだよ、僕にできるのは死んだ君の魂をここに連れてきて、君の選んだ過去に新たな選択をするように送りなおすことだけなんだからね?』

「わかってるよクロノス。それに関しちゃ本当に感謝してるって」

『ほんとに~?』

「ほんとだって! 馬鹿言って悪かったよ」

『そうやっていつも素直ならかわいいのに~』

「うるせっ! それより、そろそろ頼むよ」

『はいは~い。それじゃ干渉するよ~』


そう言うと刻之は懐から懐中時計を差し出してきたので、僕はそれを両手で包んだ。


『今度会うのはずっと先だといいね』

「天寿を全うすれば来られないけどな」

『あはは、冗談がお上手で』

「うるせっ!」

『あはははは。とりあえず行ってらっしゃい刻之』


そう言うと刻之は瞬間移動をするかのようにこの世界から消えた。

まあ正しく言うと、僕が刻之の魂を現世の、刻之が指定した時間に送ったのだ。

しかし、刻之は現世ではこちらでのことを覚えておけないから、ただ元の時間軸へ送っただけでは全く同じことの繰り返しとなってしまう。

そこで僕は彼が自分の行動を変えるために、彼に強い暗示をかけた上で元のところへ送り届けているのだ。


僕にはそれしかしてあげることができないから。


暗示の内容は基本的に刻之が考えているのだけぢ、今回は確か『引き続き惰眠を貪る』ようにすればいいんだっけ?


どれどれ、どんな感じになったかな———

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