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初めての戦闘行為

「いててて……」


幸い小鳥の体力が尽きたのが丁度空と森の境目辺りだったので、どうにか木の枝をつかむことができた。

まあ、てっぺんの辺りは小枝しかなかったから俺の体重を支え切れず、太い枝を掴むまでに木の枝による裂傷や打撲傷を負ってしまった。

それでも自由落下で背中から落ちたときのダメージを考えると大分軽症である。


「この程度で済んだのもお前のおかげだよ。あんがとな」


と、引き続き俺の頭頂部にいる小鳥を指でつつきながら感謝の言葉を述べる。

俺の頭頂部にいるそいつは「ぴふぃーっ、ぴふぃーっ」と、全力を出したせいで乱れた呼吸を必死に整えようとしていた。


「さてと、とりあえずあいつらと合流しなければなんだが……」


いかんせん生き残るのに必死で、あいつらが落ちていった方角まできちんと確認ができていなかった。

闇雲に森の中を歩くのはありえないから、せめて大まかな方角だけでも分かればいいんだが、それを確認するにはこの一番大きな木に登る他ない。

仕方ない、ちょうど今掴まっている枝の辺りからであれば、木のてっぺんまでは半分くらいの高さだ。

それでも後10メートルほどの高さがあるが、痛む体に鞭を打って木登りをしよう。

そう決心したところ、


「※※※!」


俺のいる木の下で声が聞こえた。

見てみる子供と思わしき人影が転んで倒れているようだ。

なにせ日が暮れかけた森の中なので、声色とと影の大きさからしか判別できなかったのだが、その後に現れた二人の男が持つ松明の明かりのおかげで転んだが女の子であることが分かった。


「※※※※!」

「※!」

「※※※!」

「※※※※※!!」


男二人が少女に対して何やら声をかけるが、それに対して少女は涙を流して後ずさったのが見えた。

正直それだけならば、もしかしたらまだ遊びたいと駄々をこねる子供とそれを迎えに来た大人の図に見えなくもなかったのだが、男の一人が剣を抜き、もう一人が杖のようなものを構えたのを見て、俺の取る行動は決まった。


丁度いい具合に、少女は俺がいる木に背を向けており、男たちはじりじりと少女、そして俺がいる木に迫って来ている。

少女の背中が木についたのと同じタイミングで、俺は音をたてないように枝から飛び降り、剣を持った男がそれを振り上げたタイミングで、その男の頭に蹴り(というか着地しただけだが)をお見舞いした。


「———※※?!」


すぐ傍にいた杖を構えていた男は驚いたような反応を見せて硬直していたので、すかさず距離を詰めて男の持っていた杖をパッと奪い取った。

ようやく我に返った男が、杖を返せとばかりに掴みかかってきたので、その動きに合わせて奪った杖の先端で男の喉を突き、仰け反ったところで一番硬い部分でその男の頭を殴った。

それで杖を持っていた男の意識を奪うことができた。


ふう……。

なんか久しぶりに暴れたな。

どうにか無傷で武装した男二人を制圧するという、理想的な展開にはなったけど……やばい、ちょっと冷静になって考えると体が震えてきた。

素手での喧嘩ならまだしも、剣という武器や魔法という攻撃手段がある世界で、今の俺は丸腰で何の武器も持っていないのだ。

さっきだってタイミングが悪けりゃ飛び降りた途端に俺串刺しになってた可能性があるし、もしも杖を持っていたやつが冷静沈着な奴だとしたら、俺は着地した瞬間に魔法的なものの餌食になっていた可能性もある。

はあ……頭に血が上って後先考えずに動いちまったけど、ここは異世界で、きっと日本よりも簡単に命を落としてしまうリスクが高いんだということは常に頭に入れて行動しなきゃな。


でもーーー


「大丈夫か?」


今回はとりあえず後ろにいる女の子を助けることができたから、後悔はしていない。

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