落下
トイレ休憩から数時間経過したところでようやく森の終わりが見えた。
ずっと太陽が沈む方へ沈む方へと向かっていたので、もしかしたら英雄の塔の辺りは既に暗くなっているのかもしれない。
こういうところは地球と同じなのかと感慨にふけっていると、
「ぎゃうっ!」
という竜の悲鳴と共に、何かにぶつかったような衝撃を感じた。
進行方向を確認すると、太陽光の反射のおかげで透明なバリアのようなものが竜の進行方向に張り巡らされていたのが見えた。
恐らく昨日アランが戦闘時に見せた障壁のようなものだろう。
アランのものはいともたやすく亮に粉々にされていたが、竜の方は障壁に衝突した衝撃で意識を失ってしまったようだ。
そうなるとこの後にやってくるのは重力による自由落下の時間である。
「おおおおおおおお?!」
やばいやばい死ぬ!
なあにが「自由時落下の時間である」だ!
馬鹿か俺は!
僅か数秒で助かる道を模索しないと地面に激突してしまう!
一瞬竜をクッションにしようかとも考えたけど、あまりに非道すぎるから即却下したし、そもそも竜が障壁に激突した拍子に放り投げられてしまったからそもそも距離的に無理がある。
何か他に解決策は———そうだ!
亮とアランだ!
亮はアホみたいな身体能力になってるっぽいし、アランは魔法的なサムシングが使えるみたいだから、きっとそれらで俺をこの窮地から助けてくれてるかも?!
いや、だめだ!
あいつらはそもそも竜の背中に乗っていて、確かベルトみたいなもので落ちないようになっていなかったっけ?
ちらりと竜の方を見やると案の定、竜の背中に2人の人影が見えた。
……え? 俺詰んだ?
最早なるべくクッション性の高そうな木の上に背中から落ちて被害を最小限に留める覚悟を決めていたところ、
「ぴよっ!」
すっかり存在を忘れていた小鳥のような生物が鳴き声をあげた。
「おまえ、俺を支えて飛べるか!?」
自分でも無茶なことを言っているのは分かっているが、一刻を争う事態であったため、必要最低限の言葉で小鳥に話しかけた。すると、
「ぴぴい!」
任せろと言わんばかりの仕草で、自信満々に小鳥が返事をした。
そして、
「ぴぴいいいいいいいいいいいいいいいいいっっっ!!!!」
という気合の鳴き声と共に、俺の制服の背中の部分を足でぐわしと掴み、『ぱったぱった』と頼りなさげな音で羽ばたきはじめた。
おいおいこれで本当に大丈夫なのかと思ったが、徐々に落下速度が落ちていくのが目に見えて分かった。
「すげえな、お前! そうだよ、別に飛べなくてもいいから、そのままやんわりと着地ができるように———」
してくれと声をかけた直後、
「ぴ、ぴぴぴ・・・・・・・ぴっ」
小鳥の体力が突如切れた。
「嘘だろおぉおおおおお?!」
そして俺はこの小鳥と一緒に森の中へ落ちていった。
早く女の子キャラを書きたい。




