現状理解
「なるほどな。何となく事情……というか経緯は理解したよ」
赤目の男、名前はアランというらしいのだが、目が覚めると自分に傷一つついていないことを驚き、亮が改めてこちら側の経緯を説明すると、床に頭を付けて謝罪と感謝を述べ、これまでの彼の経緯について説明をしてくれた。
それを踏まえて俺たちの現状を確認すると、どうやら俺たちが今いる場所は英雄の塔と呼ばれている場所であり、つい数時間前には異世界から英雄の召喚を行っていたとのこと。
アランの所属する国は、その英雄召喚への参加を他国から妨害されてしまい、急いで塔まで飛んできたものの、たどり着いたときには既に召喚が終わり、他の国々はそれぞれ英雄を連れて引き揚げてしまった後だった。
とりあえず英雄の塔で一晩明かそうと画策していたところ、おかしな気配を感じて様子を確認すると、魔族の使う言語に似た言葉を話す俺を見つけて、攻撃を仕掛け、現在に至る———というわけか。
「そういうこと」
「なるほど。中々厄介な場所に神隠しされてきたみたいだな……それはそうと、なんでお前はアランの言葉が分かるんだ?」
「アラン君によると、考えられる要因としては、私たちも英雄召喚の儀で召喚された者である可能性があるんですって。召喚されるとこの世界の神様からの加護を与えられて、特別な力を与えられたり言葉が分かるようになったりするそうよ。特に、この特別な力っていうのが凄いみたいで、その為に各国で召喚者たちをこぞって囲いたがるみたい」
こいつ早くも『君付け』してやがる。きっとこのアランが好みのタイプなんだろう。
そんでもってようやくこいつがなぜゴリラを凌駕する力を発揮したのかも理解した。
神様からの加護で尋常でない力を手に入れ、この世界の言語を操れるようになったというのならば———。
「なんで俺にはその加護ないの?俺もそんなチート欲しいんだけど」
「アラン君、何で彼は加護が無いのかしら?」
(正直なところ、私にも分からない。普通に考えるのだとしたら、そこの彼が君の召喚に巻き込まれたというのであれば、過去にも似たような前例があるらしいのだけど、話を聞くに、巻き込まれたのはむしろ君の方らしいからな。異例と言えば異例だ)
「……なんだって?」
「分からないって」
「お前それ本当だろうな? どう考えてもアランさんが話していた尺に合わないんだが」
「一言一句伝えるのも面倒なのよ。大まかな内容さえわかりゃいいでしょ?」
「いいけど‥‥‥‥」
なんか仲間外れみたいで寂しい。
「とりあえず、これからどうするよ?」
「そうね。何にも分からない異世界で当てもなく彷徨うよりかは、アラン君についていった方がいいと思うけど」
(私としても君たちが来てくれるのはありがたい。特にリョウ、君の力は間違いなく英雄召喚された者のそれだ。君が来てくれると、私も我が国も非常に助かる)
「……なんて?」
「歓迎するってさ」
辺りは暗くなっているのでこんばんはこの塔で夜を明かし、明日一番にアランのジアゼル王国へ発つことにした。
これからのことは道中にでも考えよう。




