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総統様は愛を知りたい  作者: 奇咲碧知
2/2

2021/9/5_21:01:33


「お嬢、本日、姐様が御主人様と共に九州の方へ遠征に行く為、午後の総会は御主人様の代わりにお嬢が担当します。故に、本日の学園は4限目を終え次第早退という形になります。」




朝の登校時間。桃兎飴莉は毎朝、付き人と専属秘書と共に、外車の中でで今日の予定を確認しながら学園に向かう。




「....ねぇ、その総会、どうしても行かないといけないの?」



「今回の総会は、御主人様の会社の総力向上に関わる大事な総会です。本来は御主人様自身が参加すべきですが、御主人様は、飴莉様を期待し、信じている為、今回の総会は飴莉様の参加がほぼ強制されています。」



秘書の黄柳明凛きりゅう みょうりん(34)が飴莉にそういう。明凛は、飴莉の父、桃兎皇炉ももと こうろ直々の部下であり、飴莉の身の回りの世話もし、飴莉が総統になってから、飴莉の指名により秘書になった男。



「....わかったよ....ぱぱにそんなに期待されているなら、参加しないといけないじゃん....。はぁ....5限目の体育、参加したかったな....」



飴莉は溜め息いを吐いた。飴莉の顔は少し淀んでいた。淀んでいる内に、車は学園前のコンビニの駐車場に止まり、明凛が先に車から下り、飴莉が座っている側の扉を開け、飴莉を下ろした。



「飴莉様、毎度毎度、学園敷地前のコンビニに下ろすようにと命令しておりますが、貴女様は桃兎家の跡取りでもあり、兎華組の総統が、SP無しに出歩くのは、16年飴莉様の秘書と護衛を任されている身と致しましては、心配です。いえ、飴莉様を弱いとは仰いません。けれど、私、黄柳明凛と致しましては心配なのです....」



毎朝、飴莉を車から下ろせば、明凛は毎度の如くそう言う。明凛は心配性である。



「明凛、飴はもう高校生だから。16歳で兎華組の総統なんだよ?飴、既に3桁ぐらいの人を消してるよ?明凛が心配する程、飴は弱くないから。」



「そう毎回言っていますが、貴女様の出生から今まで見てきた私と致しましては....」



「....明凛様、そろそろ行かなければお嬢も遅刻致しますし、明凛様も、子会社の総会を担当されている為、そろそろ向かわないといけません。」



運転を担当していた飴莉の付き人が言い合ってる二人を引き剥がすように口を刺した。




「....もう....飴莉様がこの学園に行きたいと申してから、飴莉様は少々女の子らしさがどんどん増してきてます!4限目終わり次第帰りますので、大人しく待っていてくださいね!」



付き人の言葉で痺れを切らした明凛は車の助手席に乗り、飴莉を送迎した車は来た道を戻った。




「....さてと。...そろそろ、かな。」



飴莉は学園に向かって歩いた。




「お、桃兎、おはよ」




門の前で、飴莉は話しかけられた。




「封咲君!おはよ」



飴莉に挨拶したクラスメイト、封咲白銀ふうざき はくぎん。長身で爽やかな青年。結論を言おう、桃兎飴莉は、封咲白銀に惚れている。裏世界の総統様は、恋をしている。飴莉は、毎日の登校時間、校門から教室までの短距離を共に歩くのが日課である。



「そういやさ、桃兎、今日午後の授業いないんだろ?」



「うん....ぱぱの代わりに会社の総会に参加しないといけないから....」



「あぁ....やっぱ大手企業の跡取りだと総会とか、社長が集まるようなパーティーみたいな集まりに参加しないといけないのか....仕方ないっちゃ仕方ない....。はぁ....今日の体育のサッカー、桃兎にいいとこ見せてやりたかったのに...。」



白銀は少し残念そうな表情を見せる。



「飴も、封咲君のかっこいいシュート見たかったよ....。でも、ぱぱもままも、今九州に出張に行っているから代わりに飴がやらないと....」



「そうか....。桃兎は偉いな。よぉ~し、白銀君が撫でてやろう」



そう言いながら、白銀は飴莉の頭を撫でた。



「封咲君!?園内で撫でるのやめてよ~....私、もう高校生なんだからぁ....」



「俺より30cmぐらい身長低いからつい撫でたくなんだよ。よしよ~し。」



爽やかで大人っぽい身長約180cmの白銀が、童顔で幼い雰囲気の身長約150cmの飴莉を撫でている様子は完全に年離れた兄妹のよう。撫でられながら歩けば、あっという間に時間は過ぎ、二人の教室、1-A組の教室に着いた。教室の扉を開き、飴莉と白銀は、既に登校していたクラスメイト達におはようと言いながら入室した。



「じゃあ、また後で話そうな。」



「うん、封咲君、またね。」



運命は少々残酷なことに、クラスメイトであるものの、席は少々離れている為、二人はまた後でと言いながら離れた。飴莉は自身の席に座りながら、鞄から教科書やルーズリーフ、筆記用具を出し、自身のロッカーに鞄を置きに行こうとした時、先ほど、白銀に撫でられた頭部を、自身の手で軽く触れた時、飴莉は少し、幸せそうな顔をした。


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