神の子は恋を知った
「お嬢、お疲れ様です!!」
「お疲れ様です!!」
一人の小柄な少女が帰ってきた瞬間、大柄の男達が、少女より腰が低くなるほど下げ、声を合わせそう言った。
「うるさいお前ら。とっととうせろ。」
少女は高いヒールを履きながら、頭を下げてる男達の前を通る。
彼女こそ、裏世界で知らぬ者などいない最強の総統、桃兎飴莉。
可愛らしい名前だが、彼女こそが、僅か16歳でありながら、表向きでは高校生の社長令嬢であるものの、裏世界ではヤクザのトップ。総統様である。
背丈はヒール抜きでは平均以下、顔も童顔で愛らしく、幼い声の毒舌女子高生という、俗に言う ”守ってやりたい” と思うような、まるで、ギャルゲーの攻略対象であるような少女であるが、裏世界で、彼女の恨みを買えば、生きて表世界に戻ることはできないと言われている程、彼女は恐れられている。
裏世界で生きている身故なのか、頭脳聡明で、運動神経も高く、容姿端麗、両親も裏世界ではトップレベルの資産力を持つ会社の社長故に財力もある為、飴莉は生まれながら、才能と運に恵まれた、神の子である。
ーーーーーしかし、そんな神の子、飴莉にも、弱点があった。