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頼朝異伝  作者: 風前灯火
7/9

間章三


男は地下に居た。

それはついこの前も使ったばかりの部屋だった。すでにこの部屋の上の屋敷は焼け落ちている。ほとんど瓦礫の山と化した屋敷だったが、地下のこの部屋はそのようなことどこ吹く風とばかりにいつも通りだった。

男はやはり顔の前に布を垂らしたままであった。そして右手に手燭を持ち淡々と階段を下りている。

階段を降り切ってしまうと男は腰を下ろした。そして手燭を目の前の台へと放った。炎が吹き上がり男はまた何かを呟き続ける。

そしてそれに炎の動きが同期するようになった。

だが、いつまでたっても前はやってきたような妖気は現れることがない。だというのに男は一心に同じことを繰り返した。

そしてそれをひとしきり繰り返すと、男は持って来た矢をその炎の中に投げ込んだ。矢は同じように炎を吸い込んだが、今回の矢には何も封じ込められてはいなかった。妖気が込められている訳でもなく、魂や怨念が込められているわけでもない。

男は炎が消えてしまうと目の前の台から矢を拾い上げた。

男はその矢を確認するようにして、それから満足したように立ち上がった。

そして小さく呟いた。

「まさかこのようなものを作る羽目になるとはな。長く生きるとそれなりに変化はあるものだ」

男は階段を上っていく。



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