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VRMMO RPGで記憶を取り戻す為にレアジョブ【合成士】で冒険する  作者: 語黎蒼
第3章 【|奪取領域《バトルフィールド》】
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7.未来朔實

 俺はエリーのナビを聞きながらミツハの元へと向かっていた。


「…!!マリー!!ミツハちゃんが動いたよ!」

「なに?!アイツ、動かずに待ってろって言ったのに動いたのか!」

「違うでしょ!ミツハちゃんがPvPで勝ったんだよ!」

「なに!!ミツハのやつ…強くなったな!」


 ミツハの無事が分かると思わず口元がニヤける。


「よし!エリー!プレイヤーに見つからないように全速で行くぞ!」

「うん!…真っ直ぐ行ってもマップにはプレイヤーが表示されてないから、このまま行っても大丈夫だよ!」

「分かっ…!なんだ、この鳩?」


 目の前に真っ白な鳩が飛んで来て急ブレーキをする。


「この鳩は一体?」


 羽が手袋のような形の鳩が『クルッポー』と鳴くと景色が歪む。


「なんだ!どうなってんだ?!」


 景色が草木がない荒野へと変わり、自分を見ると装備が魔法使いのローブに戻っていた。

 視線を前に戻すと、魔法使いの装備をしたプレイヤーが立っていた。

 歩いて近づいて行くと、黒髪の眼鏡を掛けた中学生くらいの少年だった。


「エリー…プレイヤーは居ないんじゃなかったのか?」


 エリーがプレイヤーを見逃したのか?


「僕と会ったのは妖精のせいじゃない。だからマリーちゃん、そこの妖精を責めないであげてくれないかな?」

「…誰だ、お前?」

「僕かい?僕は『未来朔實(みらいさくじつ)』っていうんだ。よろしくね」

「みらいさくじつ?」


 目の前の少年はニコッと笑ってくるが、その笑顔が少し不気味だ。

『未来』…このゲームの開発者と同じ苗字だ。偶然だよな…?


「うそ…どうして?」

「エリー?」

「久しぶりだね、エリー。良いご主人様が見つかって良かったね」

「エリー、知り合いなのか?」


 エリーを見ると酷く怯えている…。どういうことだ?


「エリー、許してよ。あの時は仕方なかったんだ」

「分かってます。私は気にしてませんから…」

「エリー?」


 エリーが敬語を使っている…。本当にこの状況が分からない。


「悪いけど、エリーが怯えてる。この場所から逃がしてくれないか?」

「それは無理だね。悪いけど君には僕とPvPをやってもらわななくてダメだからね」

「なに?」

「僕がわざわざ君とPvPをする為に、この別エリアまで移動させたんだから。あっ、でも安心してね。PvPが終わったら元の場所に戻るから」

「さっきから何を言ってるんだ?!」


 移動させた?そんなことが…。


「そうだね。まずはどうして君と僕が戦わなくちゃいけないのか説明してあげるから、少し黙って聞いててくれないかな?」

「…ああ」

「よし。察しているかも知れないけど、僕は『未来コーポレーション』の社長、未来善真の子どもなんだ」

「やっぱりか…」

「気づいてたのかい?小さいのに頭が良いんだね!ハハハッ!」


 朔實の笑顔は妙に嘘臭く、目が笑っていない様に見える。


「それでね。僕の他にも姉弟(してい)が4人居てね、僕を入れたら5人姉弟なんだ。それで現在この5人の姉弟で次期社長を決める勝負をしているんだ!」

「勝負?」

「そう!この父が作った【N–EAW】で戦い合って残った人が次期社長!」


 このゲームでそんな事をやっているのか…。


「ゲームしてて出会ったらバトル!負けたら次期社長になれる権利を剥奪されるってルールなんだ!」

「それに俺が何の関係があるんだ?」

「この勝負は姉弟全員のジョブが不遇職の『召喚士』って決めらてるんだよ」

「不遇職…」


 分かっている事だが馬鹿にされている様で少し腹が立つ。


「使えないジョブを使って上手く戦って勝つことは敏腕社長に必要な事だと思わない?」

「それで?!だから、俺に関係ないだろ!」

「そんなにイライラしないでよ、マリーちゃん。ここからがマリーちゃんにも関係あるところだからさ、そこに飛んでいる妖精!」


 朔實はエリーを指差す。


「このゲームには社長や製作に携わっている人間しか入れない特別な空間があるんだよ。僕たち姉弟は次期社長を決める勝負を始める前に姉弟全員でその空間に行き、召喚獣の妖精6体からパートナーとなる妖精を1人1体ずつ選ぶんだ」

「6体の中から1人1体…?」

「この次期社長になる勝負のルールを詳しく説明するなら、参加資格は『妖精を所有している者』だ!勝負は妖精の召喚石を賭けて戦い合い!負けた者は参加資格を失う!つまり!マリーちゃん、君が妖精を持っていると面倒なんだよ!」

「なるほど、そういことかよ…!」


 つまり、コイツはエリーの召喚石を狙ってるってことか!!


「まさか妖精を召喚するプレイヤーが現れるなんて姉弟全員予想外だったよ。宝クジで2等を2回くらい当てる確率かな?」

「……」

「こんなことになるなんて、やっぱりあの時にデータを消しておくべきだったかな?」

「…これ以上喋るな!!お前が戦いを挑んでくる理由は分かった…だがな、俺に構わずお前らで勝手にやっていてくれ!」


 俺は朔實を背にして歩き出す。


「そういう訳にはいかないんだよ。君が『妖精を所有している』んだから…」

「さっきから所有、所有って!俺はエリーを所有しているつもりはない!!エリーは俺の相棒だ!2度と物みたいに言うんじゃねぇ!!」


 俺は朔實に振り返り叫ぶ。


「クククク…。相棒か…!そんな言い逃れが通用するか!!」


 先程まで笑っていた朔實の顔付きが変化する。


「悪いが逃がしはしない!いや、出来ない!この場所からはどちらかが勝たないと出れないんだからね!」

「なに?」

「この場所は僕の『決闘の伝書鳩』の効果で移動したPvPフィールドなんだからね!」

「決闘の伝書鳩?」

「マリー。決闘の伝書鳩は『プレイヤーネームを入力して、そのプレイヤーと離れていても強制的にPvPが出来る』効果があるレア度8のレアアイテムだよ」


 レア度8だけあって凄い効果だ。それを俺とPvPする為に使ってくれるとは光栄なことだ…。クソッ!


「覚悟を決めるんだね!君は僕と戦うしかないんだよ!」

「ちくしょう…!」

「妖精を賭けた召喚士同士の対決だ!」


 朔實の言葉を聞いて、ある事を思い出す。


「ふ…」

「マリーちゃん?どうしたのかな?」」

「お前はミスをしたな!残念だが今回のPvPでは妖精は賭けれないぜ!」


 このイベントのルールでポイント以外は賭けることが出来ない。ルールに救われた!


「クククク…!もしかして今回のイベントのルールの事を言っているのかい?…甘い!妖精の召喚石は賭けさせてもらう!」

「なに?!」


 目の前にPvPのルールを記したテキストウインドウが表示される。


「そのルールをよく見なよ」

「これは…!」


 賭ける物に『ポイント』と『妖精の召喚石』と『ゴッドシリーズの召喚石』と記されていた。


「どうしてだ?イベントでポイント以外は賭けれないって!」

「次期社長権限だよ!僕ら姉弟と戦うプレイヤーは強制的に何が何でも妖精の召喚石とゴッドシリーズの召喚石を賭ける決まりになっている。これは絶対的なルール!姉弟は全員このルールからは逃げれない!君も例外じゃないんだよ!」

「そんな…」


 また仲間を失うかもしれないPvPをしないといけないのか…!!

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