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VRMMO RPGで記憶を取り戻す為にレアジョブ【合成士】で冒険する  作者: 語黎蒼
第3章 【|奪取領域《バトルフィールド》】
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2 急場凌ぎのコンビ

「PvPが始まったが、俺たちがお前たち2人を探していた理由を教えてやろう」


 坊主頭で眼が鋭い男が話始める。プレイヤーネームを見ると『リュウス』と表示されている。


「俺たちはお前たちを勧誘するかどうかを見定めるために探していた」

「見定める?」

「おうよ!俺たちは『雷龍会(らいりゅうかい)』っつうギルドに入っててな!ギルドリーダーの方針でAGI(素早さ)が高いプライヤーをスカウトしてんだよ!」


 リュウスの後ろにいた黒髪を逆立てた男『ウォック』が大きな声で話す。


「つまりよー!俺たちがお前らはスカウトするに値するかどうか決めてやるってわけだ!」

「見定めるか…その前に1つ聞きたい!」

「なんだ?」

「ギルドってなんだ?」

「……」


 全員が黙り、辺りがシーンとする。

え?ギルドってみんなが絶対知ってるメジャーなモノなのか?


「マリー…ギルドっていうのは簡単に言うと制限がないパーティーみたいなものだよ」

「なるほど…そのギルドに勧誘する側のクセに態度がデカいな」

「フン…当たり前だ。俺たちとお前らではレベルが違うのだからな」


 なんだコイツの自信は…。もしかすると本当にコイツら強いのか?だとしたら急場凌ぎのこのタッグチームで勝てるのか…。


「そこまで自信があるならアンタら2人のAGI(素早さ)(さぞ)かし凄いんだろうな!」

「ふ…良いだろう教えてやる。俺たちがスキルによってマックスまで上げれるAGI(素早さ)は1万だ。それと言っておくが7千以下のプライヤーはスカウトする価値もない」

「1万だと…!」

「…!」


 あの9000のAGI(素早さ)のイカズチよりも速いだと…!もしも本当なら確実に俺は勝てない。


「よし!理由も話したし早速始めようぜ!」

「ああ」

「え!」


 リュウスとウォックは腰に下げていた青龍刀を抜き構える。こっちは何も準備が出来ていない。


「待て!作戦を考えさせてくれ!」

「なに?」

「アンタたちも本気の俺たちと戦いたいだろ?!5分だけ時間をくれ!」

「チッ…良いだろう」


 2人は青龍刀を腰の鞘に納める。


「おい!え〜…カエデ!このままじゃ負けちまうぞ!」

「……」

「俺には勝つ方法が1つだけある!だから俺の言う通りにしてくれないか?」

「…お断りでござる。拙者は1人で戦うでござる」

「はぁ?!何カッコつけてんだよ!AGI(素早さ)1万のヤツ2人を相手にしないといけないんだぞ!」


 こんなところで負けるわけにはいかないんだ…。なんとかカエデの協力がないと!


「忍者は孤高に孤独に任務を遂行するものでござる!」

「頼む!俺の言うことを聞いてくれ!」

「おい!お前たち!準備ができたでござる!いつでも来るでござる!」

「あっ!勝手に!」


 カエデの声が聞こえた2人は青龍刀を抜く。


「馬鹿野郎!どうなっても知らないからな!」

「安心するでござる。拙者には今だ防がれたことがない必殺の奥義があるでござる!」

「奥義だと…?くっ…期待はするが『召喚!』ナイト!」

 

 念のために目の前にナイトを召喚する。


「スピカは召喚しなくて良いの?」

「ああ…一応考えがある。カエデの気持ちが変わるのを信じるしかない…!」


 俺の最期の賭けのためにスピカの召喚は取っておく。


「行くでござる!『分身!』」


 カエデが6人に分身する。


「おお!すげぇ、分身した!って分身ってどうなってんだ?」

「マリー、分身は自分と同じ姿と性格をした1/5のステータスの分身を5体まで生み出すスキルだよ」

「小人殿、詳しいでござるな」

「妖精だよ!」


 だが分身したところでステータスが低過ぎて意味がないんじゃ…。やっぱり駄目なんじゃないのか。


EX(エクストラ)スキル!『同調(シンクロ)!』でござる!」

「シンクロ?」

同調(シンクロ)は自分と同じ姿をした味方を自分と同じステータスにすることができるでござる!」

「つまり?」

「本当にカエデちゃんが6人に増えたってことだよ!」


 なるほど!凄いぞ!大口を叩くことはあるな!


「行くでござる!『俊足!』」


 スキルによってAGI(素早さ)が3倍になった、6人のカエデが突っ込んで行く。


「奥義『手裏剣乱舞!』これを受けて生きていたプレイヤーはいないでござる!!」

「援護しろ!ナイト!」


 手裏剣をカエデ6人が投げまくる。ナイトも鎧を手裏剣の形に変形させて飛ばす。


「はああああ!!でござる!!」


 手裏剣を分身達と数百枚と投げまくると砂埃が舞い、リュウスとウォックが見えなくなる。


「はぁ…はぁ…どうでござる?」


 手裏剣を投げ終えたカエデと分身は息を切らせながら少し離れた場所で砂埃が晴れるのを待つ。


「くそ!さすが1万あるだけはあるな…!」


 分かり切っていたことだが、砂埃が晴れてくると何もなかったように2人が立っていた。

 リュウスとウォックのHPは1も減っておらず、周りには手裏剣が散乱している。


「どうだ?ウォック?」

「だーめだな!鑑定したけどスキルを使っても『5100』までしかAGI(素早さ)は上ってなかった!」

「まあ、そんなものだろう。忍者の方にはあまり期待してなかったからな」

「はぁ…はぁ…そんな…!」

「ナイト!鎧でカエデをこっちに持って来い!」


 カエデがこちらに飛んでくる。


「わ…私の奥義が…効かない…」


 カエデは忍者口調が普通に戻るほどショックを受けている。


「おい!妖精の召喚士!あとはお前だけだ!さっさとかかって来い!」

「お前がガーウィとイカズチとAGI(素早さ)が高いプレイヤー2人を倒したことは知っている」

「っ…!クソ!」


 俺が戦ったところで負けるのは目に見えている。


「やっぱり協力して戦うしかない…!」


 俺の横でショックを受けて項垂れているカエデを見つめる。

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