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46 お使いクエスト

「ログイン完了!」


 ベットから飛び降り、いつものをする。


「エリー!『召喚!』」


 小さな魔法陣が現れてエリーが召喚される。


「なんだい、マリ太君?まだ眠いよう」

「……」


 夕方に放送している未来から来た青いロボットが出てくるアニメ。それの真似なのか肌といつものワンピースが真っ青になっており、お腹には白いポケットを付けてエリーは現れた。


「……エリー早速で聞きたいんだけど、噴水前ってどこか分かるか?」

「ちょっとー!!スルー!?コレもスルー!せっかく肌も青く塗ったのに!私はもう、マリーが分かんないよ!」


 エリーは叫びながら俺の胸ぐら掴む。


「俺が1番分かんねーよ!どう言えば正解なんだよ!肌を青く塗るとか、そんな無駄な努力してんじゃねぇよ!」

「分かった!次はもっと簡単なのにするから絶対に何かしらのモーションしてね!」

「そうだな…簡単なのだったらな」

「よ〜し次こそは〜!」


 変な約束をしてしまったな…。エリーが燃えているので今さら無理とは言えないな、次の時になんとかしよう。


「それでエリー、噴水前って何処か分かるか?」

「噴水前って最初の街くらいしか心当たりないけど」

「最初の街?あったけ?噴水」


 記憶を呼び起こすが全く思い出せない。


「ほら!ホントに最初に、1番最初にマリーがログインして現れた場所だよ!」

「1番最初にログインして現れた場所…」


 エリーが言った言葉を復唱して思い出す。言われてみれば後ろから水の音が聞こえた気がする…。


「そうか後ろは噴水だったのか!」

「そうだよ!それなりの大きさの噴水だったのに気づかなかったの?」

「ああ、ログインして嬉しくて後ろなんて全然気にしてなかった」


 本当に気づかなかった。

 あの時直ぐに変な奴に絡まれたからな、気づかなかったのも仕方ないか。

 エリーを見れば肌の色が肌色に戻っていた。


「なんでそんなこと急に聞いてきたの?」

「ああ、俺たちを助けてくれたシスターの子が毎日9時に噴水前に居るみたいなんだよ」

「それっておかしくない?」

「え?」


 エリーは机の上を腕を組みながら歩いている。まるで名探偵みたいだ。


「だってそうでしょ?アクラータに居るのにどうして一々最初の街に戻ってるわけ?」

「たしかに…」

「でも『石』があれば『石』を手に入れた街のマイルームに行けるんだけど、それでもオカシイよ」

「……」


 石があれば最初の街やエフレンドに行けるのか知らなかったな。エリーって情報の後だし小出しが多いよな。


「っていうわけだから明日の朝は8時半頃に噴水前に行くから準備しとけよ!」

「りょーかい!早速お使いクエスト行こっか!」

「ああ、頼んでたお使いのラクなヤツってあるか?」

「そうだね〜物を受け取って届けるってのがあるけど」

「あるけど?」

「ミツハちゃんに『水々しいリンゴ』を貰っておけば、もっとラクなのもあったんでけどね」

「忘れてた…」


 俺は左手で額を抑える。


「ミツハも忘れてたパターンだな、きっと」


 ログアウトしたミツハに貰うのは不可能だ。


「それでエリー、その宅配便みたいなクエストはどこで受けれるんだ?」

「それじゃあ出よっか」


 エリーは机の上から飛んでマイルームの扉の前で止まる。


「ああ」


 扉まで行き開けてやる。

 いつものどおり夜にログインしたのに外は真っ昼間だ。


「このゲームには夜って概念はないのか…」

「夜を冒険したいならマイルームのベットで寝ると夜になるよ」


 出たな、後出しのエリー。


「そうなのか、まあ今回は良いや。エリー道案内しを早くしてくれ」

「せっかく教えてあげたのに!」


 そんな事を言いながらも、エリーは前を飛び道案内を始める。

 ずっと思ってたんだけどエリーが飛んでる時にワンピースのスカートの中が見えそうになるけど、コレは果たして中は見えるのだろうか?

 気にはなるが覗いた瞬間、エリーと関係が気まずくなりそうなので敢えてやめておこう。


「マリーここだよ!」

「早いな!」


 スカートの中について考えている間にかなり歩いたのかなっと思ったが、実際に本当に近くにあったようだ。


「ここ?」


 エリーの前には灰色のレンガで作られた民家がある。


「マリー、こっちこっち」


 エリーが俺の耳元まで来て小声で話しながら指を指す。

 指差す方を見れば、民家の前に俺よりも少し年齢の低い三つ編みの女の子が花を1輪持って空を見上げながら立っていた。


「そこに居る女の子から依頼を受けれるから、話しかけてみて」


 ヒソヒソとエリーが小声で教えてくれたので話しかけてみることにする。


「ねぇ、こんなところで何してるの?」


 屈んで優しく話しかけてみる。


「あのね…このお花をね、お婆ちゃんにあげたいんだけどね、今日はどこにも遊びに行っちゃダメってママに言われちゃってね…だからどうしようってね、考えてたの」


【お使いクエスト】

『少女の健気な願い』を受けますか?


 と目の前に表示されたのでYESを選択して受ける。


「お願いします。このお花をお婆ちゃんに渡して下さい」


 アイテムボックスを開いて見ると『少女の健気な花』が入っていた。見た目は完全にチューリップだ。


「マリー、ナビしてあげるから行こうよ!」

「そうだな!」


 装備屋を待たせるのも嫌なので走る。


「まだか〜エリー…」


 5分走ったがまだ着かない。


「マリー、あと10分くらいだよ!頑張って!」


 エリーは飛んでいるので全く疲れた様子はない。


「ハァハァ、ちくしょ〜遠いな〜!」


 愚痴を零しながらひたすらに走る。


「マリー!着いたよ!女の子のお婆ちゃんの家だよ!」

「やっと…ハァハァ…ゼェゼェ…か」


 ずっと走っていたせいで息が切れてマトモに話せない。


「エリー、ハァハァ…エリー…」

「…なんか私に興奮する変態みたいだね」

「くっ…ハァハァ、コイツ!」


 3分程で呼吸も落ち着いたので、お婆ちゃんの家のドアをノックしてみる。


『は〜い』


 と中から優しい声が聞こえる。数秒してドアが開く。


「お、おう…」


 2メートルほどのお婆ちゃんが出迎えてくれた。思っていたお婆ちゃんの大きさと違い、少し怯んでしまう。


「あらあら、なんの御用かしら?」

「あ、あの三つ編みの女の子から貴女に花を渡してほしいと頼まれましたので、受け取ってもらえませんか?」


 アイテムボックスから女の子から受け取った花を渡す。


「あらあら、あの子から…わざわざありがとうね〜」


 お婆ちゃんは嬉しそうに指2本で摘んだ花を優しい眼で見つめる。


「コレは少ないけどお礼だよ、受け取っておくれ」


『NPC【チーユ】から5000G受け取りました』

【ミッションクエストをクリアしました。報酬で10000Gを獲得しました】

【ミッションクエストを全てクリアしました。報酬で『経験の石』と30000G獲得しました。】


「やった!遂に『石』とお金が手に入ったぜ!」

「やったね!マリー!」

「よし、エリー!恒例のやつやるか!」

「え?なにそれ?」

「『経験の石』ゲットだぜ!」

「え〜と…」


 俺が石をエリーに突き出して見せるが、見せられた本人はオロオロしてるだけだった。


「分かったか、コレが答えが分からないボケを振られた気持ちだ」

「はい…以後気をつけます」


 こうして『石』とお金を手に入れたので装備屋に向かう。

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