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29・久しぶりの暗黒騎士

『 〜♪〜♪〜♪〜』


 どこかで聞いたことがあるメロディーが聞こえる。この曲は『ガンガンヤッタレシスターズ』の『この世は所詮RPG』という事に気付く。何でその曲のメロディーが聞こえるのかと寝ぼけながら考える

 アラームか…枕の横に置いてあるスマホを手に取りアラームを止める。

 部屋に掛けてある黒い時計を見ると『7時00分』だ。洗面所に行き歯を磨く。磨きながら今日ログインしてからの予定を考える。

 磨き終わりリビングに行くと、お母さんが朝ごはんを用意してくれていたので、お母さんに挨拶をしてご飯を頂く。今日は食パンか…。

 トイレに行き、朝にすべきことを全て済ませたのでヘッドギアを装着し電源ボタンを押す。

 一応、家族には了承済みだが結構気は使う…。早く記憶取り戻したい。眠気が襲ってきてゲームの世界に入っていく。



 目を開けると、前回ログアウトした飲食店の前だった。今はご飯を食べたい気分でもないし、さっさとエリーを召喚しよう。


「『召喚!』エリー!」


 小さな魔法陣が出現し、エリーが現れたが…ナイトキャップを被り、羊の絵柄のパジャマを着て出てきた。

 召喚したのに寝てる。そんなことってあるのか…!寝ながら器用に空中に浮かんでいる。


「おい…ベタな柄のパジャマ着やがって…」

「う〜ん…」


 肩を指で揺らすが起きない。


「おいって…」

「う〜ん…もうマリー…食べられないでしょ…」

「俺が食ってんのかよ!」

「うわっ!なに!」


 俺のツッコミの声で飛び起きる。


「あれ?大きなケーキは?!」

「…知らん」

「嘘だ!マリー食べてたじゃん!!私も食べたかったのにー!!」


 物凄く悔しそうにしてる。なんだか食べていないのに申し訳ない気持ちに…ならないな。所詮、夢の話だし。


「もう良いから、早く着替えろよ」

「1人でケーキ食べたくせに、何でそんな態度なの!私も怒る時は怒るよ!」

「もういいって!食ってねぇんだよ!自分の格好をよく見ろ」

「あれパジャマだ…ってことはアレは夢…」


 やっと理解してくれたようだ。ログインして早々この不毛なやり取りはシンドイ。


「恥ずかしい〜!急いで着替えるね!」


 エリーは俺の背中に行って、俺から見えないように着替える。

 別に見る気ないけどな…。


「ごめん、おまたせ〜」


 俺の目の前にエリーが飛んでくる。


「着替え直せ」

「えー!」

「えー、じゃない!なんだ、その格好は!いつものワンピースはどうしたんだよ?!」

「別に良いじゃん、今日はコレでも!」


 エリーの格好は初めて召喚した時に着ていた、白い布がクロスしたビキニと短めのスカートとの露出度の高い衣装だった。


「ダメだ!そんな恥ずかしい格好!横にいる俺が恥ずかしいわ!ていうか、よく見たら少しお尻も見えてるんじゃないか?」

「もう、見ないでよ!エッチ!!さすが中身は健全な男の子だね!」

「うるさい!見られたくないなら早よ着替えろ!」

「分かったよ!着替えれば良いんでしょ!」


 エリーは俺の目の前でクルリとダンスをするように回転するとキラキラと輝きながら、いつも着ている白い肩出しのワンピースになる。


「着替えてくれたのはありがとうだけどさ、最初に俺の背中に隠れた意味は何だよ!こんな着替え方があるなら初めからやれよ!」

「あーした方が待ってる間、ドキドキするでしょ?例えるなら、初めてのデートで彼女が服を試着しているのを待っている彼氏の気分」


 片方は顔の辺りに人差し指を立て、もう片方は腰に手を当て可愛くウインクするエリーを見て少しイラッとする。


「するか!ばか!」

「え〜しないの〜?!ガックシ…」


 絵に描いたように肩を落とす、漫画でよくあるガッカリした時に出る顔に紫色っぽい縦線が入る。

 ナニソレ!どうやってやってんの?!あとで聞こう。


「…言い過ぎたよ!すまんな」

「…でも、あのお気に入りの衣装着たらいけないんでしょ?」

「もう分かった、着ても良いよ!でもビキニはマイルームの中でしか着るな!」

「え〜、意外とマリーって独占欲強いんだね。他の男に俺の女の肌は見せたくない的な事でしょう?」


 元気になったらなったで腹立つな。


「全然違う。行くぞ」

「冷たっ!反応が完全に冬にキッチンに1日置いたカレーくらい冷たいよ!」


 そこは氷で良いだろう…。なんでカレーで例えるんだ。

 そんなこと心の中でツッコミ後ろに歩き出そうとすると硬いモノに顔をぶつけ、後ろに倒れる。


「マリー!大丈夫?」

「いてて、何だよ…」

「ゴメンね。ユーゴ。話しかけようと思ったら急に動くんだもん」


 手を差し伸べられ、顔を見ると見覚えのある黒い鎧を着たプレイヤーだった。


「マリ、暗黒騎士…暗黒騎士なのか?」

「そうだよ〜3日ぶりくらいかな?ユーゴ」

「え?え?」


 俺も意外な人物が居て驚いた。横でエリーはオロオロしている。一応エリーには話した筈なんだけどな。


「まさか第3の街でマ、暗黒騎士に会えるなんてな!もっと先に進んでると思ってたよ」

「そんなに急いでいないしね。それと、別に他のプレイヤーもいないし、マリアで良いよ」

「そうか?それより本当に久しぶりだな〜、マリアはずっとソロで進めてたのか?」

「うん、私はずっとソロだよー、前作の時も暗黒騎士はソロだったからね!今までずっとハイオークを倒しまくったりしてレベルを上げてたんだ〜」


 暗黒騎士の声が男というのもあって、喋り方に違和感しかない。

 変えてくれって言うのはアレだし、他のプレイヤーが居る時にしっかりと話してくれていたら良いか。


「ねぇねぇ、このプレイヤーがマリーが以前使っていたキャラで、中身はマリーのモデルになった子ってコト?」

「そうだ。エリーを召喚した時に話した、俺の記憶がなくなる前に使っていたキャラの暗黒騎士だ」

「そこの妖精さんとには記憶喪失の話はしたんだね、それよりこんなところで話してないでマイルームに行こうよ」

「そうだな。でもまだ行った事ないんだよな…エリー、悪いけど案内してくれないか?」


「良いよ!着いて来て!」とエリーは言い、迷う事なく道案内してくれる。

 3分ほど歩くと宿屋『やっとい亭』に到着する。


「じゃあ、一旦私のパーティーに入って」


 メニューを開くと暗黒騎士からパーティーに誘われていたので『YES』を押す。


「入ろっか」


 暗黒騎士が真っ暗な宿屋に入って行ったので俺も続いて入る。

 急に部屋になり、暗黒騎士がベットに座る。俺も対面するように椅子に座る。エリーは机の上で座布団に座っている。

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