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23・ガブリとゴブリ戦『前編』

「本当に戦うつもり?ナイトを進化させてからの方が良くない?」

「ああ、アカリの圧が強くて断れないだろ…ってエリー!お前もう痩せてるじゃん!」


 お腹がスッキリして、いつものパーフェクトボディのエリーに戻っていた。

 こんなに早く戻るなら、もう少しあのお腹を触っておけば良かった。


「そりゃあ、あんなお腹で飛べないし」

「そうか…そうだよな…。そうだな!またミツハを連れて、みんなで行こうな」

「うん!次は甘いのも食べたいね!」


 また太らせようと心に誓う。

 そんな話をしながら、道案内をしてくれているアカリに着いて行く。


「着いたわ、ここよ」


 メニューを見ながらアカリが目的地に到着した事を教えてくれる。


「ここって?路地裏じゃないかよ。酒場じゃなかったのか?」

「この明るい時間は、ここでガブリ達は時間を潰しているらしいわ。それじゃ行くけど、準備は良い?」

「ああ、俺はいつでも行ける」

「じゃあ行くわ…」


 アカリが先陣を切り、人が1人通れる暗い路地裏を歩いて行く。奥へと入って行くと2メートルほどの坊主の黒い皮で作られた如何にも悪そうな格好をした大男と、同じ格好をした顔にタトゥーを入れた金髪を逆立てた普通の大きさの男が木の箱に座っていた。


「お〜、お嬢ちゃん達、ここにはお花屋さんはないぜ〜」

「アンちゃん、お花屋さんはこの街にそもそもないよ」

「真面目か!オメェは!知ってるよ!女が行きそうな場所を適当に言っただけだ!ジョークだ!」

「そうなのかー、オモしれぇ〜、さすが、アンちゃんだ!」


 会話から察するに、普通サイズの男が兄のガブリで、デカイ男が弟のゴブリのようだ。

 にしても、肌の色が完全にゴブリンだ。コイツらって人間なのか?


「あなた達をPvPで倒すクエストが来ているの、悪いけど倒させてもらうわ」

「なんだ?よく見ればこの前、俺たちに負けた女じゃねぇか!今回は相方を変えてリベンジに来たのか?」

「…っ!その通りよ、今回は勝つ!」

「面白い、ゴブリ!相手になってやろうぜ!」

「うん、アンちゃん!」


 目の前が歪み、暗く周りが森に囲まれたフィールドに移動した。


「ここは…?PvP専用ステージに変わったのか?」

「そうだよ。それにしても、マリー。この森、ジメジメして嫌なかんじがする…何か出てきそうだよ」

「良かったな、本当にセリフが合った場所に来れて」


 少し緊張していたが、いつものエリーの冗談で緊張が解れる。


「マリー、作戦通り私が弟のゴブリを倒すから、兄のガブリを何とか足止めしておいて」

「ふっ…、悪いがそれは出来ないな。足止めじゃなく倒してしまうからな」

「その強気な態度に期待してるわ」


 俺とアカリはお互いに横に離れて行き、目の前に標的を前にする。


「ガブリ!お前の相手は俺たちだ」

「面白いガキだ、気に入ったぜ!」

「あなたの相手は私よ」

「1度勝った奴に負けるかー」


 お互いに相手を前にして動かない。

 誰かが動いた瞬間に勝負が始まる…そしてその瞬間は始まった。


「『召喚!』スピカ!ナイト!」

「『ファイヤボール!』」


 バスケットボールサイズの炎がガブリの手のひらから飛び、魔法陣から召喚中のスピカに直撃する。


「キュイー!!」

「なっ!召喚中のスピカに当たった?!何でだ!」

「悪いな、お嬢ちゃん。召喚士の弱点を突かせてもらったぜ」

「マリー、召喚中でも攻撃が当たってしまう。召喚士が選ばない理由は、こういうのも原因なんだよ…」


 エリーは元気なく教えてくれた。

 前のPvPではアカネは待っていてくれていたのか。


「なるほどな、今後のPvPの参考になったぜ。スピカ、大丈夫か?」

「キュイ!」


 スピカのHPは少ししか減っていなかった。


「魔法を使ったって事はジョブは魔法使い!スピカ!接近戦で勝負だ!ナイトはスピカの援護だ!」

「ワウ!」

「キュイ!」

「ナメるな!『ファイヤーウォール!』」


 ガブリの目の前に大きな炎の壁が現れる。


「スピカ迂回して攻撃だ!」

「『ファイヤボール!』さらに奥義!『炎の檻(フレイムケージ)!』」

「マリー!ここから動いて!」

「キュイー!」

「スピカ!!」


 俺はスピカに気を取られ、動けなかった。

 すると、俺の足元が炎に囲まれる。


「かかったぜ!」

「なんだ、炎の壁…?」

「違うよ、これは…」

「炎の檻…?」


 俺は2メートル程の大きさの四角形の炎の檻に閉じ込められていた。

 隙間が15センチ程しかないので逃げられない。


「でも案外、炎だし体当たりしたら行けそうじゃね?」

「やめといた方がいいよ、この魔法は炎で出来ているように見えるけど破壊するには高いSTRが必要だから、体当たりしてもダメージを受けるだけ…。それにこの檻は使用者を倒すか檻に大ダメージを与えないと消えないから、まずガブリを倒さないと」

「マジかよ…にしても暑いな」

「ゲャハハハハ!まあ、俺も代償として火傷の状態異常になるんだがな!だが!その檻から逃げることは不可能だ!さらに召喚も檻の中にしか出来ないぜ〜、大きな召喚獣を召喚したら押し潰されてジ、エ〜ンドだ!」


 腹立つな…もう召喚獣は召喚し尽くしたっつうの。

 でも合成で戦えなくなったのはキツイかもしれないな…。スピカとナイトに期待するしかない。


「うるせぇ!スピカ、ナイト!2人でガブリに接近戦で勝負だ!スピカはスピードで避けて、ナイトは壁で防ぐんだ!」

「ワウ!」

「キュイ!」


 スピカとナイトはガブリに走って行く。


「まずはウサギさんにはこれだ!『ファイヤウォール!』」


 横から攻撃しようとしていたスピカは炎の壁でナイトと分断される。


「それより良いのか?オオカミさんよ〜、ご主人様がガラ空きになっているぜ〜。『ファイヤーボール!』」

「…ッ、ガウ!」


 ファイヤボールはナイトが作り出した壁に防がれる。


「隙あり!『ファイヤーボール!』」

「…ガウっ!!」


 ナイトに、魔法が直撃する。


「ナイト!大丈夫か?!」

「ガ、ガウ…!」


 体から煙を出しているが、そこまでのダメージではないようだ。

ナイトのHP1/6になった。


「くそ!俺が完全に良いマトだぜ!」

「そんなにイライラしないで!多々でさえ暑いんだから!」

「分かってるよ!ナイト!俺に対しての攻撃は2回くらいなら耐えれる!だから気にせず攻撃しろ!」

「ワウ…」


 ナイトは首を横に降る。


「なに…?どういうことだ、ナイト…」

「どうした?隙あり!『ファイヤーボール!』」

「キュイ!」


 炎の壁がいつの間にか消えたのか、スピカがツノで攻撃を逸らす。


「良いぞ、スピカ!ナイトに攻撃するチャンスを作るんだ!」

「ゲャハハハ!ウサギさん、捕まえた!」

「キュ、キュイー!」

「『ファイヤーバインド!』」


 掴まれていたスピカが炎の紐で拘束される。


「ウソだろ…エリー!コイツのレベル、本当に7か?!」

「今回のガブリはテクニック型の魔法使い。ズル賢く相手を拘束したり邪魔しながらダメージを与える厄介なパターンだよ」

「くっ…ナイトだけでどうしろってんだよ」

「ファイヤーバインドは2分間だけ、それまでナイトが頑張るしかないよ」


本当にどうしたら良いんだ!考えろ!考えるんだ!


「ゲャハハハ!『ファイヤーボール!」」

「ガウ!」


 ファイヤボールはナイトの壁に防がれる。


「何度同じ事をするんだ?!『ファイヤボール!』」

「ガウッ…!」


 ファイヤボールがまたナイトに直撃する。


「ナイト!俺のことは気にしなくて良い!目の前のガブリにだけ集中しろ!」

「ガウ…」


 煙を体から出しながら、ナイトは首を横に振る。


「ナイト…?」

「ならご主人様とウサギ、両方だとどうなるのかな?!『ファイヤーボール!』『ファイヤボール!』」

「ガ…ガウ…!!」


 スピカに壁を作って守り、俺への攻撃は自らの体で防ぐ。



「ナ、ナイト…お前」


 ナイトのHPは等々半分を切ってしまった。

 ナイトは起き上がり、構える。


「ナイト!いい加減にしろ!俺の事は良い!だから、スピカと自分だけ守ってろ!」

「ワウ…」


 ナイトは全く聞いていない様子だった。


「遊んでたらMPがヤバイな。もうそろそろ終わりにするぜ〜!ファイヤーボール!」

「ガウ!」


 俺の前に壁を作る、だが先程と何かが違う。


「『ファイヤボール!』」

「ガウッ…!」


 壁で見えないが、ナイトの苦しそうな声が聞こえた。

 壁が消えると体から煙を出しながらナイトが倒れている。


「どういうことだ…?」

「引っかかったな!さっきの最初に言ったファイヤボールはハッタリだ!それなのに馬鹿みたいに壁を作りやがって!お陰で隙だらけだったぜ!」

「お前…今まで会ったNPCの中で1番心が腐ってやがるぜ!許せねぇ!」

「ゲャハハハハハハ!!引っかかる奴が悪いんだよ!」


 コイツだけは許せねぇ!絶対に倒す!


「もういい…マリー、やめだ」

「え…?」


 声の方を見ると、ゴブリと戦っていたアカリがショートソードを降ろしていた。

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