第2章11話 [第2の街へ]
マイルームから外に出て、いつものダンジョンに行ける門へと歩き出す。
「マリー逆だよ!そっちは森しかないよ!」
「え?門って他にもあるのか?門って1つだけかと思ってた」
「まだまだだね、マリー!僕はずっといたから隅々まで知っているよ!」
自慢気に言うがミツハよ…、俺はなんだか悲しい気持ちになるぞ。
そんな俺の気持ちも知らず、また左手を前にやりカッコつけてポーズをするミツハ。
「そうか…」
悲しい気持ちのまま、別の門があるところに向かう。
この街ともお別れか…思い出を思い出そうとしたが、全く思い出がなかった。
名残惜しさがゼロなので、俺は早く冒険に行きたい気持ちが強くなった。
「本当に別の門があったのか」
エリーの案内に付いて行き、門に到着する。
「この門から外に出るにはレベルが5以上ないと出れないんだよ。5以下だと衛兵に止められるの、レベルが5以上あって出れても第2の街で『森の石』を持ってないと入れないけどね」
「へぇ〜。ミツハ、レベル大丈夫か?」
「ああ、キングオークの経験値で一気に5まで上がったよ」
また左手を顔の前にやりポーズを決めてドヤ顔をする。
ミツハのポーズのバリエーションは1つしかない!
「じゃあ大丈夫か」
あえてミツハのポーズはスルーして、門を通る。
衛兵に止められることはなく普通に通れた。
「次の街ってどんな所なんだ?」
第2の街に向かいながら詳しく聞いておこう。
「僕も噂でしか聞いた事がないが、次の街はプレイヤー同士が交流しやすい街『エフレンドの街』だよ」
「プレイヤー同士の交流?例えば何が出来るんだ?」
「私が教えてあげる!主にPvPが盛んにやってるかな。だから、街には大きな『コロッセオ』があるんだよ」
「え?PvP…?」
PvPは嫌な思い出しかない。そんな街行きたくないな、速攻で街から出てやろう。
「マリー、安心して!エフレンドでは賭けをする事は禁止されてるから!ただ純粋にプレイヤーの強さを見るだけだから!それに負けても数秒で、その場で復活出来るし!」
「そうなのか?なら安心だな、もう速攻でダンジョン攻略して次の街に行く予定だったよ。…復活ってなんだ?」
「本来PvPに負けるとマイルームかログインした場所で復活するんだよ」
だからガーウィを倒したら消えてしまったのか。
エリーってこのゲームで知らない事ないんじゃないかと思ってしまう。
「あ〜、あと次の街はダンジョンはないよ」
「そうなのか?」
聞いていた話と違い、思わず抜けた返事をしてしまう。
「いやいやいや、ダンジョンを攻略しないと次の街に入れないって言ったのエリーだろ?もしかして、ダンジョンがあること忘れたのか?」
「ダンジョンがあるのは3つ飛ばしでしかないよ、だから次にあるのは第4のドワーフの鍛治の街『サラマンカの街』だよ!」
…いや、情報が多い!!サラッと一気に言うなよ!!3つ飛ばしとか聞いてないし!このゲームの世界ってドワーフが存在するのか?!ドワーフの街があるのか?!鍛治の街ってことは剣とか鍛えてもらえるのか?!サラマンカって街の名前的に絶対ダンジョンのボスって絶対にサラマンダーとかだろ!と心の中で叫ぶ。
「へ〜、そうだったのか。さすがエリー、略して『さすエリ』」
「えへへへ」
何とか気持ちを抑え冷静に喋る。
エリーは嬉しそうに後頭部を撫でる。
それにしても楽しみだ、ドワーフの街。
「じゃあ、第3の街は何も持ってなくても、顔パスで入れるのか?
「エフレンドでPvPで1度でも勝てば『力の石』っていう『森の石』みたいのが貰えるの、それを次の街に持っていくんだよ」
なるほど、ダンジョンがない代わりに考えてあるんだな。
「じゃあ、ミツハも頑張らないといけないな」
「うっ…!」
「別にパーティーメンバーのマリーが勝てば、貰えるから大丈夫だよ」
案外簡単だな。スピカもナイトもいるし、弱そうなプレイヤー倒して速攻で次の街に行こう。
「よし!なんかやる気出てきたぜ!着いたら仲間探しをしてPvPして次の街に行くか!」
「そうだね、それが良いよ!」
「新しい仲間?!仲間を増やすのか!!」
ミツハが驚いている。
「そりゃあ…な、2人だけってのもな?前衛とか回復してくれるヒーラーほしいだろ?」
「そうか…」
なんだ?ミツハのやつ急に暗くなったぞ。
「ミツハ、どうした?」
「実はね、僕は極度の人見知りで、最初の街から出れなかった理由も、人見知りが原因てのもあるんだよね」
「でも俺には普通に話してたじゃん」
「いや、結構勇気出して声掛けてたんだよ…、喋り方のおかげでバレてなかったみたいだけど」
そうだったのか、じゃあ仲間探しも気を使って良い人を探そう。
「見てマリー!街が見えてきたよ!」
「あれが、エフレンド!」
ここからでもコロッセオが分かる大きな街が見えてきた。