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第2章8話 [追狼撃の剣士 ブラックライトアーマー]

「これがナイトを合成した装備…」 


 目の前で宙に浮く装備を細かく観察する。黒いヘアゴム。黒いシャツは袖がなくなり、お腹に青い線が何本も入ってオシャレになった。

 銀色の鉄の胸当ては黒くなり、狼の横顔が彫られている。

 スカートも赤色から黒色に変わり、腰部分にはナイトの黒い尻尾が巻きついている。

 籠手とブーツも黒色に変わって狼の手や足が彫られている。ショートソードも太い刃に変わり、刃の部分に狼が口を大きく開けた様な絵が彫ってある。


 表示されている名前は『追狼撃(ついろうげき)の剣士 ブラックライトアーマー』となっていた。

 俺は前のピョンピョンアーマーよりかは遥かにカッコいいとかんじ、装備するのに全く抵抗はなかった。


「よっしゃ!俺は『追狼撃の剣士の装備 ブラックライトアーマー』を装備するぜ!』


 浮いている装備に飛び込むと光に包まれ、俺の体にはブラックライトアーマーが装備された。


「綺麗だ…」


 ミツハが遠くでボソッと呟く。


「凄ーい!マリー、めちゃくちゃ可愛いしカッコいいよ!これが合成士で作った装備なの?!」

「ああ。でもノースリーブでスカートなのがな…」


 体を回転させながら装備を確認すると少し恥ずかしくなってくる。


「マリー!スピカが!」

「え?」


 スピカを見ると防戦一方で苦戦していた。やはりキングオークはハイオークよりも強いようだ。

 俺は自分のステータスを急いで確認する。



 マリー Lv 7 〔6112G〕 Ranking--  

 メインジョブ/召喚士 Lv2 サブジョブ/格闘家 Lv3 覚醒ジョブ/合成士Lv2


  HP/800 MP/400 STR/1600 VIT/600 DEX/400 AGI/550 INT/200 LUK/250  


 《武器》

 追狼撃の剣 STR+800 DEX+400『スキル発動時 風属性付与』 〈R7〉


 《 装備》

  頭/ 黒狼の髪留め MP+400 INT+200 AGI+150 〈R7〉

  胴体/黒狼の胸当て HP+500 VIT+500 〈R7〉

  腕/黒狼の籠手 STR+800 VIT+100 〈R7〉

 足/黒狼のブーツ AGI+400 HP+300〈R7〉


 装備一式奥義『無双斬撃』

【1分間、剣を振ると相手を追いかける大きな三日月型の斬撃を飛ばせる。斬撃は1分間経つと消滅する。使用後、5分間再使用不可』


 装備一式スキル『追撃斬』

【剣を振ると相手を追いかける剣と同じお大きさの三日月型の斬撃を飛ばせる。斬撃は30秒間経つと消滅する。使用後、10秒間再使用不可』


 装備一式アビリティ『操る斬撃』

『スキルによって生み出した斬撃を30秒間、自分の意思で操れる。使用後、1分間再使用不可』



「な、なるほどな…」


 合成で生み出した装備は相変わらずの強さだ。今回はSTRにステータスが偏っている様だ。


「ねぇねぇ!どんなスキルがあるの?」

「今から見せてやるよ!スキル『追撃斬!』


 俺はキングオークから離れた場所で剣を振る。

 剣から三日月型の斬撃が飛びだす。


「ちょっと、マリー!全然狙いからズレてるよ!当たらないよ!」

「大丈夫だ」


 三日月型の斬撃は大きく逸れて、キングオーク目掛けて飛んでいき背中に当たる。


「グオオオオオー!!」


 キングオークにダメージが入り、俺の方に注意が向く。


「凄い!相手に必ず当たる攻撃?!でもマズイよ!キングオークがこっちに!」


 キングオークはこちらに向かって走ってくる。


「…もう10秒間経ったかな…『追撃斬!』アビリティ『操る斬撃!』」


 剣を振って出た三日月型の斬撃は、意思を持ったようにキングオークの周りを飛び回る。


「足に集中攻撃だ!」


 俺はキングオークの足の周りを回転させて切り刻む。


「グオオオオオオオオオ!」


 ドスン!と大きく後ろに倒れる。

 HPを見れば残りは2/3くらいか…。


「ミツハ!スピカ!今のうちにこっちへ!」

「キュイキュイ!」

「うん…!」


 スピカとミツハはフラフラとこちらに走ってくる。


「今から大技で俺がHPを削る!最後にミツハが『ダークジャベリン』でトドメをさせ!」

「え?!私がトドメを刺して良いの?」

「ああ、最後はミツハに主役は譲ってやるよ!」


 ミツハは回復薬を飲んで立ち上がる。


「違うよ!僕とマリー!2人が主役だ!」


 ミツハは嬉しそうに笑いながら俺を見る。


「そうだな…!ミツハと俺で決めるか!最後の攻撃の準備をしろ!」

「うん!」


 ミツハは俺の後ろで補助魔法を何度も唱え、自身のSTRを上げ始める。

 キングオークは立ち上がり、こちらに走って来ようとしていた。


「エリー、後ろに下がってろ。装備一式奥義!」


 俺は剣を上段に構える。剣が光を帯びていく。

 

「『無双斬撃!!』


 俺は1度目の剣を振り下ろすと2メートル程の斬撃が生み出されキングオークを襲う。


「グオオオオオオーー!!」

「おらああーーーーーーー!!!」


 俺は無茶苦茶に剣を振り回しまくる。振り回す度に斬撃が生み出されキングオークを襲う。

 キングオークは斬撃を受けながらも前進してくる。


「クソ!コイツ、思ったより硬い!だが…!」


 剣を振り回しながらHPを見ると残りはもう少し…。


「グオオオオオオオオオオオ!!」

「じゃあな、キングオーク!」


 俺はキングオークのHPバーが『ダークジャベリン』1発で倒せるまで減ったのを確認し、手を止める。


「もう、俺じゃあ無理だ!ミツハ、あとは頼むぜ!」


 俺は急いでミツハの後ろに下がる。


「任せろ…!くらえ!僕の最大の闇魔法!悪しき光を貫き、黒き闇に癒されよ!『ダークジャベリン!!!』」


 黒い大槍がキングオークに向かって放たれる。


「お願い…勝たせて…」


 小さくミツハの祈りが前から聞こえた。

 キングオークに直撃し爆音と共に煙が上がる。


「やったか…?」


 煙が消えていくと、キングオークが仁王立ちしていた。


「マジかよ…」


 すると、キングオークの体に無数のヒビが入っていきパリーンと砕け散る。


「や…やった…!やった!!!勝ったんだ!勝ったんだよね?!僕の闇魔法でキングオークを倒したんだ!」


 ミツハは嬉しそうにピョンピョンと飛び跳ねながら、ボス部屋を走り回る。


「ねぇ、マリー?どうして自分で倒せたのにトドメを譲ったの?」

「何となくだよ…」


 小さな声で話しかけてくるエリーに適当に答える。

 本当はミツハには自信を持って欲しくて譲ったんだが…。


「やったーー!!」


 今だに喜びが収まらないのか走り回るミツハを見て…トドメを譲ったのは、この姿が見たかったからもしれない。

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