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VRMMO RPGで記憶を取り戻す為にレアジョブ【合成士】で冒険する  作者: 語黎蒼
第1章【冒険の始まり】
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第1章16話[伝説の鎧 ピョンピョンアーマー]

「どうなってんだ…?」


 ガーウィと俺は何が起こったのか分からずお互いに固まる。

 俺の左手の中には飛苦無がある。ただ掴むのではなく、しっかりと持ち手の安全な方を掴んでいる。

 しばらく掴んでいると『パリンッ!』とガラス細工のように割れて粉々になる。


「ま、まぐれよ!まぐれに決まっているわ!『投擲!』」


 ガーウィが飛苦無を投げる。俺は今回はハッキリと掴めた理由が分かった。投げた飛苦無が以上に遅い。

 まるで、お父さんが子どもに対して投げるボールくらいの速度で飛んでいる。遅く飛ぶ飛苦無を俺は掴む。

 この装備の可愛さで急に優しくなったのか?


「どうして!何で?!何で掴めるの?!ありえない!投擲のスキルで投げたものを掴むなんて、ありえない!」


 ガーウィが以上に取り乱す。優しくなったわけじゃないのか。もしかしてと思い、ステータスを確認する。


 マリー Lv 6 Ranking-- 《5810G》

 メインジョブ/召喚士 Lv2 サブジョブ/格闘家 Lv3 覚醒ジョブ/合成士 Lv1

  HP/500 MP/200 STR/400 VIT/400 DEX/400 AGI/2000 INT/200 LUK/100

 《武器》

 伝説のぴょんぴょん槍 STR+400 VIT +400 『槍の先端のみ炎属性付与 』 〈R7〉


 《 装備》

 頭/ 伝説のぴょんぴょん耳 MP+200 AGI+500  〈R7〉

 胴体/伝説のぴょんぴょん胸当て AGI+500 HP+500  〈R7〉

  腕/ 伝説のぴょんぴょん手袋 AGI+500 INT+200  〈R7〉

 足/伝説のぴょんぴょん靴 AGI+500 LUK+100  〈R7〉


 装備一式奥義『ウサギの大群(ラビットホード)

【槍で何度も相手が目の前にいる限り突きまくる】

 装備一式スキル『ウサギの判子(ラビットスタンプ)

『炎属性が付与された槍で突きウサギのスタンプを押す』

 装備一式スキル2『超加速』

『8秒間の間、AGIを3倍にする。5分間、再使用は不可』

 装備一式アビリティ『ウサギの贈り物(ラビットプレゼント)

『最初の一撃目の槍の攻撃で残るウサギのスタンプを消えないように出来る』


  「っ!すげぇ…!!」


 言葉が出なかった。あまりの装備の強さに驚愕する。装備のレアリティも7と異様に高い。

 何故、ガーウィの投げた飛苦無を掴めたのかも納得がいく。ガーウィの投げた飛苦無よりも俺の方がAGI(素早さ)が高いからだ。


「ふっ、お前にもう負ける気がしないぜ!」

「なに?!」

「俺はこの合成の力で生まれた装備でガーウィ!お前に勝つ!」

「調子に乗るないでよね!負ける気がしないですって?加護か何かを手に入れて飛んでくる物を掴めるようになったぐらいで調子に乗るなよ!アビリティ発動!『俊速!』」


 俊速によって今まで消えていると思っていた、ガーウィの動きがハッキリと見える。


「見えてんだよ!スキル『ウサギの判子(ラビットスタンプ)!!』」


 飛苦無を構えてマヌケに突っ込んで来たガーウィのお腹に槍の先端に付いたスタンプを押し当てる。ヘソの横の辺りに当たるとジュウ〜と焼ける音が聞こえる。


「ぎゃああ〜!!熱ッ!!熱!!ちくしょう!火属性の槍か!!」


 ガーウィは吹き飛び、お腹を抑えて転げ回る。

 何とか立ち上がりお腹を見ると火傷でグロテスクになっているのかと思ったが、ウインクして笑っている可愛いウサギのスタンプが赤いインクで押されているようになっていた。


「何だよこれ!私の腹に…ふざけやがって!」

「プッ!良かったな、女子力が上がったんじゃないか?」

「このクソガキが〜…!ふざけんな!なんで私の俊速に追いつけるのよ!『鑑定!』」


 多分、エリーが言っていた鑑定のジョブで俺のステータスを見たようだ。ガーウィの顔が青ざめる。


AGI(素早さ) …2000?私の『俊速』の時のスピードより上?」

「分かったか?もうお前の負けだ!」


 決着はついた。予想するにガーウィのAGI(素早さ)はスピカと互角だから推測するに600前後だろう。俊足でそれを3倍にしたところでガーウィのAGI(素早さ)では俺の装備には勝てない。


「まだよ!私がお前みたいな初心者に負けるものか!奥の手を使ってやる!」


 ガーウィが青い液体の入った小瓶を取り出す。


「俺が不利になる様な事をさせると思うか?『ウサギの判子(ラビットスタンプ)!』」


 一瞬でガーウィに接近して、瓶を持っていた側の左肩に槍の先端を当てる。


「ぎゃあああーーー!!熱!熱!熱っ!」


 持っていた瓶が落ちて割れると光の粒子となって消える。


「もう決着は見えた。諦めろ…さっきまでお前には怒りしか感じなかったが、これほどまで差が開いてしまった今の状況を考えると哀れだぜ」

「ふざけなるな…!この私がこんなガキに…!!」


 悔しそうに睨むガーウィは目の前にいる俺の後ろを見てニヤリと笑う。


「この距離で助けられるかしら?」

「なに?」


 ガーウィは後方に飛ぶ。


「『投擲!!』」

「くっ!!」


 俺の真後ろにいる傷だらけのナイトに飛苦無を投げる。


「このクズが…!!」

「馬鹿な!!」


 俺の側を横切った瞬間に投擲を掴む。今回は咄嗟だったので刃の部分を握ってしまいHPが少し減ってしまった。


「ありえない!この至近距離で投げた飛苦無を掴むなんて…!」

「お前は一体どれだけ俺の召喚獣(なかま)を傷つけたら気が済むんだ!!」

「あ…ああああ!!」



 ガーウィは投げるのを諦めて飛苦無を手に持ち俺に襲いかかる。


「ガーウィ!お前のことをもう哀れだとは思わない!!」

「なっ!!」


 槍でガーウィの飛苦無を弾き返す。


「終わりにしてやる!アビリティ発動!…」

「ハハハハハ!さっきはロクにアビリティも使えなかったクセに!どうやってアビリティを使うのかしら?!」

「っ…!!」


 スピカの時のように失敗してしまったらっと不安を抱く。

 俺はアビリティの使い方を思い出そうとする。

 そして、エリーとの記憶を思い出す。

 エリーがスピカを召喚する時に言っていた一言を…。


『ほらほら、やってみて!使いたいスキルやアビリティを頭の中にイメージして強く念じて…自分なら使えるって信じながらね!』


 頭の中にエリーの言葉が響く。待っていろよ、エリー…もう終わらせるから!


「ナイト、ガーウィの後ろに壁を作ってくれ!」

「ワウ!」


 ガーウィの後ろに黒い壁が生み出される。


「行くぞ。ガーウィー!これで終わりだ!アビリティ発動!!『超加速!!』」

「アビリティを発動した?!くそ!『俊速!!!』」


 全てのものがスローになる。ガーウィはスキルによって3倍の速さになっているようだが、今の俺から見れば遅めに歩いているように見える。


「逃すかよ。スキル『ウサギの判子(ラビットスタンプ)!』」


 ガーウィをナイトが壁を作った場所まで、スキルによって吹き飛ばす。


「があっ!!」

「いくぞ、装備一式奥義…」


 俺は槍を構える。槍の先端が赤く燃え出す。


ウサギの大群(ラビットホード)!!!!」


 槍をAGI6000のスピードで何十回と押し当てる。


「ぎゃああああああああ!!!!」

「うおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」


 何度も何度も何度も何度も何度も槍を押し当てる。


「ガーウィーー!!俺たちの前に2度と現れるなーーーーー!!!!」

「そんな…!!私が!!こんなレベルの低い素人のガキに!!負けるなんて!!!くそ…が…」


 ガーウィのHPが0になり、『パリーン!』と砕け散る。空を包んでいたガラスのPvPのフィールドも割れ、青空が広がる空が見える。


「はぁ…はぁ…やった…!」


 息を大きく吸い込む。


「ざまあみろーー!!俺たちの勝ちだーー!!!」


 晴れた空に大声で叫ぶ。


「エリーーー!!!俺たち勝ったぞーーーーー!!!!


 エリーには聞こえていないだろうが叫ぶ。

 疲れて後ろに倒れ込むとナイトが駆け寄って来て顔を舐めてくる。

 ナイトのHPを見れば、残り僅かだった。


「ごめんな。あいつを逃すわけにはいかなくて無茶させちまって…」


 ナイトの頭を優しく撫でる。


『プレイヤー『ガーウィ』の持ち物を獲得しました』


 目の前に文字が表示され、改めて勝利を実感する。


「良かった…本当に良かった!これからも皆んなと一緒に冒険できるんだ…!!」

「ワウ…」


 ナイトに抱きつき嬉しさを噛み締める。


「ナイト…帰るか…」


 立ち上がり…精神的にも肉体的にも辛いが街へと歩き出す。

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