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VRMMO RPGで記憶を取り戻す為にレアジョブ【合成士】で冒険する  作者: 語黎蒼
第1章【冒険の始まり】
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第1章15話[覚醒ジョブ【合成士】]

「第3のジョブ…?」

「はぁ?」


 思わず口に出してしまい、ガーウィが聞き直してくる。


「そうか!」


  消えてしまったテキストウインドウの意味を理解して急いでメニューを開く。

 メニュー画面を確認すると、今まで空白だった場所に新しく作られていた【合成士】の項目を見つける。


「これのことか?」


 合成士を選択して押してみると説明文が表示される。


【合成士】

 《低確率で2つの所有する『生物』や『物』を1つにすることが出来る。合成士のレベルを上げていくと合成出来るバリエーションや合成出来る数を増やすことができる》


「どういう意味だ…?」

「お嬢ちゃん。もしかして、まだ切り札があるって言うの?」


 ガーウィが余裕な態度で攻撃せずに聞いてくる。


「さあな…俺にも分からない。だけどな、この力が唯一お前を倒す方法ってことだけは分かるぜ!」

「何をするか分からないけど、私がそんな不利になる事をさせると思う?」


 マズい!ガーウィのアビリティを発動する前に、早く合成士のスキルを使わないと!合成士の項目に【合成】というスキルがあったので急いで押す。


『合成する。生物。物を1つずつ選択して下さい』


 勝手に合成してくれないのかよ!急いで選ばないと!


「アビリティ発動!」

「ちょ、ちょっと待って!」

「『俊速!』」


 急いで《スピカ》と《槍使いの軽装備一式》を選択して『YES』を押す。


「スキル『合成』発動!!」


 目の前に発光した槍使いの軽装備一式が宙に浮いて現れる。

  手に入れてから初めて槍使いの軽装備一式を見たが軽装備というだけに、安そうな革で作られた帽子と胸当て腕に巻く布とブーツ、それに武器も安い鉄で作られたような槍だ。本当に申し訳程度に守れるような鎧だ。


「たしかに中の下だな…」


  突然目の前に現れた槍使いの軽装備一式のお陰で『カキンッ』とガーウィが投げた飛苦無が弾かれる。


「なに!急に何で装備が出てきたの?!」


 俊速の効果が切れて、姿を見せたガーウィが驚いている。


「キュイキュイ?」


 鳴き声のする方向を見れば、スピカも発光して宙に浮いている。

 発光して宙に浮く《槍使いの軽装備一式》と、同様に発行して宙に浮く《スピカ》が勢いよく、俺の目の前でぶつかり合い激しい光が生まれる。


「頼む、合成士の力!この状況を切り抜ける何かを生み出してくれ…!」


 俺は薄眼を開けながら、どうなるのかを見守る。

 光り輝くスピカが槍使いの軽装備一式と1つとなり姿を変えていく。俺の頭の中で『ピポーン』と音が鳴る。

 すると『ポンッ!』と軽快な音がして光が消える。


「なんだよこれ…」


  俺は合成士のスキルによって生まれた物を見て絶望する。

 目の前には宙に浮く『白いモコモコとしたウサ耳のカチューシャ』同じく『白いモコモコした胸当て』、『白いモコモコしたドロワーズ』、手袋や靴はウサギの手をモチーフにした形をしている。武器の槍も白くなり、よく見るとウサギの顔が散りばめられて描いてある。槍の先端もウサギの形をしたスタンプになっており、もはや槍なのかどうかも怪しい。


 装備名の名前は

【伝説の鎧 ぴょんぴょんアーマー 】

 と表示されている。


「アッハハハハ!!何をするかと思ったら何よ、その可愛い装備?そんなのがお嬢ちゃんの希望なの?!」

「くっ…!」


 失敗だ!こんな装備で勝てるわけがない!クソッ!何が合成士だ!ハズレジョブじゃないか!


「ハハハハッ…笑わしてくれたお礼に、最後にチャンスをあげるわ。その装備を着る時間をあげる。着ないならそれでいいわ。どうする?お嬢ちゃん」

「なに…?」


 こんな物を装備するくらいなら俺は…。


「ワウワウ!!」

「ナイト?何だよ?もしかして、着ろって言うのか?」

「ワウ!」

「そうだな!分かったよ!このまま負けるくらいなら!俺はスピカを合成した、この装備を信じるぜ!」


 俺は意を決して合成した装備を見つめる。


「俺は!この『伝説の鎧 ぴょんぴょんアーマー』を装備するぜ!」

「ふっ…」


 勝ったと言わないばかりにガーウィは笑う。

 宙に浮く合成した装備に飛び込む。少しの間光に包まれると、俺の体には合成した装備が装備されていた。


「本当にこんな装備で勝てるのか…!」


  装備されている自身の姿を見て、16年生きた『男』としての記憶が失くて良かった。あったら恥ずかしくて装備できなかっただろう。言ってはいけないが初めて記憶を失くして良かったと思えた。


「アッハハハ!可愛いわね!それを着てどうなるってわけ!」

「ちくしょう…!」

「その可愛い姿で死になさい!スキル『投擲!』」

「クソ!!」


『投擲』のスキルを止めてくれるスピカがいない為、飛苦無は俺の頭に目掛けて飛んでくる。

 ナイトは懸命に俺に走ってきているが間に合わない。

 負ける!そう思った俺は飛んでくる飛苦無を咄嗟に掴み取る。


「「え……?」」


  俺とガーウィは揃って声を出して驚く。

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