第69話 恐怖
マキがシロを連れ去ってから数分が経った時、血を流して倒れていた菜々が起き上がった。
その場でしばらく立っている間に指を動かして体に異常がないことを確認すると、その後何処かへ向かって行った。
今までの光景をずっと見ていたモネは床に倒れこんで涙を流していた。
「あんな奴らにどう勝てって言うのよ・・・ねぇマリ、あなたもそう思わないかしら?」
「えぇ、私も同じ事を思っていました」
「・・・やっぱり堅実に生きるのが一番ね、命は大事にしましょう」
その頃、マキ達はマンションにたどり着いていた。
ずっとニコニコと笑いながらシロと手を繋いでいるマキに対し、シロはひどく俯いていた。
そんなシロの様子を見るなり、マキは近くにあった掲示板を思いっきり蹴った。
いきなりの大きな音に驚いたシロはマキの方に振り向いた。
その瞬間、マキはにこやかに笑っていた。その顔をみるとシロも笑みを浮かべた、マキにわからないような作り笑顔で。
エレベーターに入り自分達の家に帰るだけ、そんなはずなのに今のシロにはその家に得体の知れない恐怖が襲い掛かってくる。
ここに入ったら最後、二度と外には出られないであろう。
しかし、マキは躊躇なく家のドアの開けた。その時、家に入ろうとしないシロに対し、マキは優しく声をかけた。
「どうかしたの?早くおいでよ」
マキはシロに対して優しく声をかけたつもりなのだろうが、シロにとってはそれは悪魔のささやきのように聞こえてしまっていた。
だが、ここで逃げ出してしまえばマキに捕まりお仕置きをされてしまうだろう。
かと言って、入らずにここに立ち続けていてもマキは私のことを運んで家の中に入るだろう。
なら私の取る最前の選択は・・・菜々、私はもうあなたとは会えないかもしれないわ。
私達のために頑張ってくれてたのに、ごめんね・・・
「・・・うん、すぐ行くよ」
シロは心の中で菜々に謝りながら、マキと一緒に家の中に入って行った。
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