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第5話 シロの生活

引っ越した先の隣部屋に挨拶しに行ったら知り合いが出て来た。しかもエプロン姿でオタマまで持って。

何かこの感じ懐かしいような・・・って違う!

余計なことを考えるな、私!

それにしても、さっきから物音一つ聞こえないし、玄関にも靴が一足しか置いてない。

そういえば、両親が亡くなったとか言ってたような。


「あんたさ、もしかしてまた一人暮らし・・・?」

「・・・まぁ、そうね」

「それって、前と変わらないじゃない」

「そうね。でも、この生活ももう慣れたわよ」

「学校には何て言ってるの?」

「別に、事情を説明してそれで終わりよ」

「変わらないのね、何も」

「変わったのは私の年齢と見た目くらいじゃないかしら」

「・・・そうね」


その時シロは突然、私の頭をオタマで叩いてきた。

突然の出来事に私は混乱していた。


「なぁに辛気臭い顔してんのよ。あんたは昔から色々と深く考えすぎなのよ、もっと簡単に考えなさいよ」

「だからっておたまで叩かなくてもいいじゃない・・・」

「これくらいは我慢しなさいよ」

「とりあえず、今日は帰るわ」

「はいはい、またね」


私はエリの家を後にして、自分の部屋へと戻って行った。

そしてそのままベットに倒れ込み、布団に包まった。


「楽に考えるなんて出来ないわよ・・・だって、私は、エリを・・・一番大切な人を、殺してしまったのだから」


シロと会ってからずっと抑え込んでいた気持ちがどんどん出てきてしまっていた。

自分の抑えが効かないほどに。

エリとの楽しかった思い出、喧嘩した思い出、そしてあの時のことまでもが鮮明に蘇って来てしまった。

しかし、後悔していても何も始まらない。自分が変わらなければ何も変えられない。

私は布団に潜りながらも今、自分ができることを必死に考えた。

そして、ある一つのことを思い浮かんだ。

これは何としても行動に移さなくては、そうでないと手遅れになってしまうかもしれない。

これからやることが偽善だと言われようがなんと言われようが、私は気にしない。

私がする事は償いにすぎない。あのまま進むはずだった時間ももう帰ってこない。

だからせめて、その分を含めてあの子には幸せになってほしい。

たとえ嫌われても、無視されても。それが、私のやるべき事。

お読みいただきありがとうございました。

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