第53話 そして再び・・・
今まで誰にも知られる事のなかった秘密をその本人の前でバラされたマキはその場を飛び出し、気が付けばスーパーで買い物をすませていた。
確かに襟の生まれ変わりだって事を証明する為に何か話してと言ったのは私だけど、だからって何もあの話を選ばなくても。
あぁもう、どんな顔して家に帰れば良いのよ・・・
結局マキは家の前に着いてもドアノブに手をかけるだけで、一切開けようとしなかった。
その事に気付き、初めこそどう入って来るのか白は楽しみにしていたが、沈黙の時間があまりにも長すぎてついに痺れを切らし、ドアを開けた。
「もう、いつまでそんなウジウジしてるのよ!早く入って来なさい!!!」
「は、はい!」
マキはシロの言われるがままに家に入り、リビングへ向かった。
その時、リビングにいた菜々と目が合ったのだが、その瞬間菜々は再び顔を背けた。
あぁもう、調子狂うわね・・・こいつもこの調子だと何も言えないわ。
しばらくの沈黙が流れた後、再びシロが動き出した
「・・・あのさ、二人してその微妙な雰囲気作るのやめてくれない?」
「べ、別にそんな雰囲気作ってる気なんて・・・」
「作られてるの、現に私凄く入りにくかったし。ていうか菜々もいつまで照れてんのよ」
「だ、だって今までずっと否定され続けてたのに本当はずっと私のこと心配してたって聞いたら」
「はぁ、菜々はもうダメね・・・」
「菜々って前からこんな感じだったかしら?」
そうマキが言った瞬間、シロは思いっきりマキのほっぺたを引っ張った。
「貴方が原因でしょうが!!」
「ご、ごめんなひゃい」
「全く・・・」
さて・・・そろそろ菜々のことも正気に戻さないと。
シロは菜々の近くに行くと、近くにあった新聞紙を手に取り、丸めてそのまま頭を叩いた。
「痛っ!」
「ほら、あんたも正気に戻りなさい」
「そ、そうね。ありがとうシロ」
改めて3人でテーブルに座り、先ほど中断された話し合いを再開した。
のだが、一番の問題であるマキの記憶が戻った、これは本当に謎でどうしてこうなったのか検討もつかなかった。
今の段階で出された疑惑は最近の記憶を消され、その代わり昔の記憶が戻って来る。そう考えていた。
しかし、最近の記憶も覚えているものがある為信憑性は低い。
一体何が原因なのかシロが一生懸命考えている間、マキがキッチンで料理を始めていた。
部屋中にいい匂いが充満して来る。これはいい香りだなぁと感じたその時、キッチンからものが大量に落ちる音がした。
慌てて菜々と二人で行くと、マキが倒れていた。慌ててキッチンから運び出し、シロが膝枕をしつつ氷で患部を冷やしていた。
二分後、いくらか楽になったのかマキが再び目覚めた。が、また謎が増えてしまった。
「菜々さん、シロちゃんどうかしたの?」
どういうわけか昔のマキちゃんがいなくなり、その代わり今までのマキちゃんが戻って来た。
これはまさか・・・また性格が反転している!?
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