第43話 菜々の考え
菜々はずっと悩んでいた。さっき知った情報をシロに話すかどうか。
シロにとっては大事な友人だろうし、信じてくれる可能性も低いだろう。
でも、それはあくまでマキちゃんが関係していなければの話。
今回の事に関してはシロにとっては特になる情報だ。しかし、それと同時に私に被害が出てしまう。
マキちゃんのデータがシロにそのまま渡ってしまえば、マキちゃんの記憶は戻され私はもう二度とマキちゃんと話せなくなるだろう。
しかし、今回はシロの協力が必要不可欠。・・・背に腹は変えられないわね。
菜々は立ち上がり、マキの自宅を訪ねた。
「菜々さん、どうかしましたか?」
「ちょっとシロちゃんに用事があってね」
「じゃあ呼んで来ますね」
こんな会話をマキちゃんと続けていられるのも時間の問題ね。
そう思っていながらシロを待っていると、奥から少し機嫌の悪そうなシロが出て来た。
「あら、機嫌悪そうね」
「誰のせいだと・・・」
「とりあえず、私の家まできてくれないかしら?結構重要な話なのよ」
「・・・それはマキちゃんがいたらまずい話なの?」
「えぇ、非常にね」
「はぁ、ちょっと準備するから待ってて」
とりあえず連れ出す事には成功したわね。後はシロが受けてくれるかどうかだけ。
マキちゃんの未来は貴方にかかってるわ!
身なりを整え戻って来たシロを連れ、菜々は自宅に戻った。
「それで、話ってなんなの?」
「色々とややこしいから単刀直入に言うわね。貴方の友達のモネがマキちゃんのデータを持っている可能性があるわ」
「・・・は?」
「そうなるのも無理ないわよ、私だって初めて聞いたときはそうだったし」
「いやいや、どうしてモネが。それに、マキちゃんのデータはあんたが壊したんじゃ・・・」
「壊す前にデータが抜き取られていたのよ」
「で、でもどうしてモネだって言い切れるのよ!」
「データを盗んだ人の名前は薊って言うの。そしてその人は今とある場所で隔離されているわ。でも、その人はデータを持っていなかった」
「な、ならその人がどこかに隠したんじゃないの!?」
「えぇ、そう思って自宅を探したらしいのだけれど見つからなかったみたい。でも、その人には娘がいたの。ちょうど貴方くらいの」
「ぐ、偶然よ。きっと何かの間違いだわ!!」
「でも、明らかに不自然でしょう?思えばあの時急にマキちゃんに接して来たりして」
「そ、それはモネはそう言う人だから」
「ああやって近づくのが作戦だとしたら?」
「そ、そんな事は・・・」
「後、この前私がマキちゃんと旅行に行った時ばったりあったけど本当はあの子、貴方に支持されてあの場所にいたわけじゃないでしょう?はじめからその場にいたんじゃないの?」
「そ、そうだったわね。たまたまそこにいるからちょっかいかけようかって誘われたわ」
「これだけ怪しいのに、まだあの子のこと信じられるのかしら?」
「・・・」
「友達を失いたくない気持ちはわかるわよ。でも、これは犯罪なの。貴方なら、よくわかってるでしょう?」
「・・・っ、わかったわよ。明日呼び出しておくわ」
「セッテイングありがとう、シロ」
「その代わり私も立ち会わせてもらうわ」
「それは好きにしてもらっていいわよ。貴方には真実がはっきりする場にいて欲しかったもの」
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