表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/79

第36話 ノートその2

まさか、ノートが一冊だけじゃなかったなんて・・・

後何冊あるのか分からないし、多ければ多いほど読むのが怖くなって来る。

でも、もう後には引き返せないわよね。こうなったらとことん付き合ってやろうじゃないの!

それにしてもこのノート、昨日見たやつより厚いわね。そして、ちゃんとタイトルが読める。『経過観察』ねぇ・・・


『◯月□日 マキちゃんが手術に行く前、私は寂しさを紛らわせるためにマキちゃんの写真を撮った。いつもなら撮られるの嫌がってたのに、もう抵抗すらして来なかった。』


隣のページには椅子に固定されたマキの写真が貼られていた。顔は青白く、視線は天井を向いていた。

写真の右側にはピースを決め、笑顔で写っている菜々の姿があった。

私はこの時点で既に読むのを辞めたいと思ったが、その気持ちをグッとこらえ次のページをめくった。


『×月◯日 マキちゃんはまだ手術の途中だ。だけど、夜になるとたまに声が聞こえて来る。何を言ってるかは分からないけど、多分私のことを言ってるんだろうなぁ。おっと、私もやる事やらないと』


『×月△日 マキちゃんの事件の詳細を誤魔化すことに成功した。これで何が起きても大丈夫ね。』


『□月◯日 数日間マキちゃんと会話を続けて来たが、どうやら本当に私との記憶が抜けているみたいだ。今までなら手も握ってくれなかったあのマキちゃんが、私が手を握れば握り返してくれる・・・!記念に写真を撮った』


隣のページには笑顔で握手をしながら映っている菜々とマキの姿があった。こんな写真、ありえない・・・

しかし、ここでシロに一つの疑問が浮かんだ。そうシロとマキが再開したあの時、マキは菜々のことを一切知らなかったのだ。

つまり、マキはこの後にもう一回記憶を消されているかも知れない・・・シロはノートを読み続けた。


『□月×日 奇妙な情報を耳にした。とある幼児がマキちゃんの起こした事件について調べているらしい。

まぁ幼児に何かされるわけでもないだろうから放置でいいだろう。』


こ、この日は・・・私が記憶を取り戻した次の日じゃない!あの日の時点で既に気付かれてたの!?

でも、この時はまだ私だと断定できてないみたいね。


『△月□日 前に情報をもらったあの幼児が毎日のようにマキちゃんの収容される予定の刑務所の前で立ち止まっているらしい。

流石にこれはおかしい。私は急いでその子の後を追った。』


え、まさか尾行されてた!?そ、そんな一体どうやって・・・

って、何これ。次のページ筆圧が強すぎて文字が少し浮き出てる。

でも、これ書いてあるのって・・・


『△月×日 調べた所、もしかしたらあの子はエリの転生体かもしれない。にわかには信じられないけど、記憶がエリと一致しすぎているし、言動や行動もとても幼児とは思えない。このまま野放しにするのは危険だから今すぐ排除しないと。排除排除排除排除排除排除排除排除排除・・・』


「ひっ・・・!」


私は思わずノートを投げてしまった。

な、何よこれ。ノートの両ページにびっしりと書き込まれた排除の文字。

しかも、今までの文は普通のペンだったのに排除の文字だけ赤いペンで書かれていた。

急いでノートを閉じようとした時、後ろのページから一枚の写真が落ちて来た。

恐る恐るシロはその写真を手に取った。すると、そこに映っていたのは幼い時の自分の姿だった。

そして、その写真のシロの顔の部分には赤くバツ印が書き込まれていた。

お読みいただきありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ