終章 5節 事情
マコトはしばらく固まっていたが、急に桜木さんに抱きついた。
「……美月……本物の美月だ……」
「マコト……」
感動の再会シーンは1分も持たなかった。桜木さんは怒りの方が強かったのだろう。
「……マコトくん?何で連絡一つしなかったのかしら?」
バーンと両手でマコトを突き放した後、桜木さんはグイグイ問い詰める。これは怖い。
「いや、直ぐにでも会いに行きたかったんだよ。……だけどいろいろあって。段取りが必要だったんだよ。」
「とりあえず、中に入れてもらえるかしら?じっくりと話を聞かせてもらえるんでしょう?」
「……ああ、もちろんだよ。ただ説明はミツキさんからしてもらおう。かなり、ややこしい話だから。」
「……ミツキさんいるのか?」
僕は我慢出来ずに話に割りこんだ。
「……シン!ちょうど良かった。お前とどんだけ話たかったか。」
僕らは、リビングに通された。何も無いが綺麗に掃除してあるようだった。待っているとミツキさんが二階から降りてきた。
「シン!!……なんでこんなところまで…… 私が北海道まで確かめに行った意味ないじゃない!」
「ミツキさんこそ酷いよ。……桜木さんの振りまでして。」
「私だって話たかったわ!だけどあの子と幸せになっているなら、……邪魔したくなかったのよ……」
「2人とも喧嘩は後にして頂戴。私もそこにいる誰かさんには言いたいことたっぷりあるんですから。でも今は、事情を説明してもらうのが先よ。」
「そうね。もう一人の私。順に説明するわ。」
ミツキさんは何が起きたのか教えてくれた。




