7章 7節 夢の続き
僕は、2番目の選択肢を震えた手で選んだ。
知らない。僕はこんなシーン知らない――
真っ黒な画面は夕暮れ時の背景に変わり、画面に文章が出てくる。
(この先は夢の世界、私はただ夢をみる。)
聞いた事の無い音楽だ。不思議な、まさに夢の世界に入ってきたような音色だった。
(夢だから、私は元の姿に戻る事が出来る……)
すると、消えていた主人公が現れた。元の可愛いらしい女の子に戻っている。緑色のワンピースを着ている。背景も音楽もガラっと変わり希望に溢れている。
(私は少年と一緒に楽しく暮らしました。)
(二人は成長し、恋人になりました。 )
(恋人達は周りのみんなに祝福され結婚します。)
(夫婦になった二人に赤ちゃんができました。)
(赤ちゃんは双子で一人は男の子、もう一人は女の子です。男の子はお母さんが大好き。女の子はお父さんが大好きです。)
(四人は新しい家に引っ越しました。お家の中は、泣いたり笑ったり、いつも大賑わい。)
(二人の子供は大きくなって、結婚するとまた二人だけになりました。家は少し静かになりました。)
(何年も何十年も時間は過ぎました。二人は歳をとり、おじいちゃんとおばあちゃんです。)
画面は再び暗転した後、雨音が聞こえてきた。
(ある雨の降る夜、二人はベッドから動けなくなってしまいました。ただお互いを呼びかけては、いつも通り話をしました。)
(雨はいつまでも振り続けました。何日かして、少年からの返事がなくなりました。きっと疲れて寝てしまったのでしょう。それでも私は話かけては、お話を続けました。)
(とうとう私も眠くなってきました。夢の続きはみれるでしょうか。)
………
画面には青空が広がりだした。
(雲一つない青空の下で、私と少年は手を繋いでいました。また二人の冒険を続けましょう。)
……
最後のシーンは、あの絵本の裏表紙の絵だった。
ゲームの画面はそこで止まった。どんな操作をしても動かないし、何時間待っても変わらない。本当にこれで終わりだった……




