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7章 4節 緑色の髪

 調査会社の結果は果てしなく気になる結果だった。


 当該の家に出入りする若い男女が目撃されている。それほど多くの目撃情報はなく、出入りする時間にも現時点での情報では一貫性がない。ただ、一般的な生活――通勤、通学――をしている感じではないようだ。


 男女の風貌に関して、僕と桜木さんの写真を見せて確認したが、どうも違うようだ。男の方はごく普通の学生ぐらいの身なりをしているようだが、女の方はかなりの美形らしく、日本人離れした目を惹く容姿をしていたらしい。特に気になるものとしては普段は帽子を被り隠しているようだが、一回だけだが緑色の髪をしていたという証言があった。


 現状人類の髪に緑色なんていない。コスプレとか染髪の類いだろう。ただ、アニメやゲームの世界で緑色の髪をしているキャラクターなんて数え切れないほどいる。つまりコスプレの線から探るのは厳しいだろう。調査を続けてもらい、調査会社による彼らの写真や直接のコンタクト等継続調査に期待するしかない……


 僕は桜木さんとその後も調査を進めていきたかった。しかし、思っていたよりもそれは簡単な事では無かった。通信機器を使った追跡以外の調査はあらかた桜木さん自身がマコトの消失以降取り組んできたらしく、今から出来る事なんて新たに思いつかなかった。



 僕は勉強と部活こそ懸命に取り組んでるいたが、中身は空っぽだった。どうしても何のためにやってるか分からなくなる。だから際限なく没頭出来たのかもしれない。肩の力を抜いた状態だった。順位や周りの事は気にならなかった。いやむしろ周りと交りたくないからそうしているのかもしれない。



 そんな僕に桜木さんが話しかけてきた。あれから何日たっただろうか。


 「調査状況に変化なし。誰の出入りも確認されていないわ。念のため近辺も継続してみてもらってる。もう一方で、出入りしていたらしい二人についても調べてもらっているけど、こちらも進展なし……」


 そろそろ自分でも何かしたいと思いながら、何も出来ないから、こうして単調な生活を続けていたが限界かもしれない。唯一の接点でもあり、共通の話題として話が出来るのが彼女だが、どうしても容姿が同じだけあって、見ていて辛くなるのだ。だから以前よりも距離をとってしまう。おそらく彼女も似たようなものだろう。


 「……あなたは最近どうなの?」


 「どう?って何が?」


 「何がって……何がだろうね……」


 桜木さんの言いたいことは何となくわかる。漠然と今の気持ちとか、どうしたいのか?寧ろ忘れて新しくやり直す気持ちの整理は始めているのか?そんなところじゃないだろうか。


 「ごめん。まだ気持ちの整理が出来てない。寧ろつけたくないのかもしれないんだ。だから別の何かに集中して考えないようにしている。きっと逃げているんだ……あのアパートにも行ってないんだ……辛くなるから――」



 「そうか。そうだよね。私も同じかな。本当に同じ…… ただ正直言うとね、この間の調査の時にね、久しぶりに生きている気がしたの。何かこう、頑張れたし、何とかしようと全力を出した。それにね。――あと楽しかったの……」



 彼女は少し時間をあけてから言った。


 「これはあなたに対して何か特別な感情を持ち始めているという事なのかな?」

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