6章 9節 チョコミントアイス
ひとしきり泣いた後、落ち着いてきたミツキさんが笑顔で話しかけてきた。
「……アイスでも食べない?」
そう言って冷蔵庫からカップアイスを持ってきた。僕にはチョコミントを渡して、自分は紅茶フレーバーを選んでいた。これまでにも僕ら二人は良く夕食の後のデザートとしてアイスを食べながら話をしていた。
「何で私が自分が消えたか分かるかって質問だよね?」
そう。一体全体どうやって自分の消失を観測出来たのか?マコトの消え方を見ても、本人の感覚では意識出来ないと思っていたが……
「あまり複雑な事はないの。部屋の中に防犯カメラを二台程設置しておいたの。24時間撮影状態だから、一日一回確認すればいいし。外出等でカメラの視覚から外れる場合もあるけど、全体の時間に対する割合的には少ないし、ある実験はしていたけど確信までにはいかなかったかな……それなりにヒントぐらいにはなったけど。」
――なるほど、確かにそれなら。ただ実験とはなんだろう。
「ミツキさんの考えというか、現時点で分かる事を僕にも教えてくれないか?あと実験て?」
彼女は頷き答える。
「まず先に実験ていうのは、マコトの一時消失のときは、衣服や持ち物は本人と一緒に消えたよね?でも完全消失した時に衣服等は消えて、ペンダントだけ残った事。これについての実験なの。おそらくはマコトが所持していた時間に関わるのではないか、ならその時間は?という事。私の実験結果によると、サンプル数が少ないからなんとも言えないけど、1時間程度だと思う。」
――僕に実験の意図はわからなかったが、確かに言われてみれば気になる話だった。
「次に私の現状の理解を話すね。そもそもマコトの時の消失タイミングが最初で最後だから分からない事だらけで、多少のずれはあるかもしれないけれど、二重存在の発生から消失まで約7ヶ月。それに対して、マコトの一時的消失から存在消失までの期間はおよそ2週間程度。私の場合は今6ヶ月程度存在しているから、最初の一時的消失の後2週間は存在出来るかなっていう事。もちろん7ヶ月程度というのが、だいたいの仮定で、精度を高める為に調べていたの。まぁ一時的な消失が無ければ、仮定も崩れるかもしれないという期待もあったんだけどね……」
ミツキさんは話しを続ける。最初に消失を発見してしまった時はどれほど絶望したんだろうか。胸が痛い……
「結論から言うと凡そ170日程度経った後、一時的消失が始まったの、だから早ければ残り一週間くらいか、一時的消失と完全消失に関連は無く、マコトと同じ期間だとすれば、残りは40日くらい。」
――たったの一週間……長くても40日……あまりにも短い。
「でもね、一週間あればゲームは完成するから。残りの1カ月は遊びましょう?ねっ?」
ミツキさんは既にそこまで考えていたのだろう。自分の状態を理解して受け止めている。そして、やれる事をやりきりたいんだ。
ただ僕には未だ受け止められずに茫然としていた。……チョコミントアイスは半分以上がドロドロになっていた。




