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6章 7節 ミツキの冒険

 本を開くと、大きな家の中で赤いワンピースを着た女の子が笑顔でピアノを弾いている。周りにはお菓子やケーキがいっぱいだ。


 「ミツキはお金持ち。ピアノも上手。テストも100点。ご褒美のケーキがいっぱいです。」


――僕は、ゆっくりとページをめくる。


 そこには、たくさんの笑顔の友達や先生達に崇められた女の子が得意げな顔をしている。


 「ミツキは何でも出来るので、皆んなから尊敬されました。」


――ページをめくる。


 これまでの明るい色調から少し暗いグレーのもやのようなものがかかっている。さっきよりたくさんの人達から賞賛される女の子は哀しそうな顔をしている。


 「ミツキは面白い事が無くなりました。友達と話してもピアノを弾いても嬉しくありませんでした。それが何故なのかミツキにはわかりませんでした。」


――ページをめくる……


 今度のページは真っ暗な狭くて長いトンネルの中に女の子が立っていた。ずっと先には小さな明かりがみえる。女の子の後ろの方には楽しいそうにしている人達がいる出口が見える。戻れば直ぐに着きそうだ。


 「ミツキは暗いトンネルにいます。どっちに行こうかな。」



――次のページをめくる。


 暗い夜の公園で女の子はボロボロになって泣いている。行き交う人達は誰も女の子に見向きもしない。


 「決められなかったミツキはお家から追い出されてしまいました。お腹が空いて、病気になりました。」



――次のページ。


 オンボロな家の狭い部屋に悪魔の格好をした少年が、ゲームや漫画を女の子に渡している。


 「少年は言いました。僕と遊ぶと楽しいぞ!ゲームも漫画もある。」


 「ミツキはしょうがないので一緒に遊んであげました。」


――ページをめくる。


 少年は緑色の虫になった女の子と遊んでいる。二人とも楽しそうだ。


 「だらけた女の子は緑色の小さな虫になりました。でもミツキは楽しいので良いのです。」


――ページをめくる。


 女の子が消えていくので少年が困っている。


 「ミツキはだんだん小さくなって消えてしまいました。少年は自分が悪いことをしたのかもしれないと後悔しましたが、もう遅すぎました。」


――最後のページのようだ。


 悪魔のようだった少年は、一生懸命に頑張って他の子供達と仲良くなり、人間の少年に変わっている。


 「ミツキのいいつけ通り少年は友達を作りました。少年は幸せに暮らしました。」


 「おしまい」


――こんな悲しい物語はないよ……と感じながら僕は本を閉じた。


 そこには、満面の笑顔の表紙の女の子が長いアホ毛と緑色のワンピースを着て少年と手を繋いでいる絵があった。


 ――――ああ、緑虫さんだ。


 僕は涙が出るほど悲しいけど、涙が出るほど幸せな気持ちになって微笑んだ。



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