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5章 6節 マコトの思い

 「ただいま。――やっぱり彼女来たよ。」


 二人は、美月が来る事を想定していたらしい。彼らのアパートへ着くと、そんな会話がされていた。


 「昨日は大丈夫だった?家のスマホは紛失扱いにして、買い直したから、これは緑虫さん持っていて。あとやっぱり当分は一人暮らしだね……」


 小杉真はもう一人の私に自分のスマホを渡し、連絡先を説明している。彼女は何でもなさそうに答える。


 「一人暮らしのがいいんだけど?ちょっと自意識過剰じゃないかな?……どちらかというとお金が心配ね。」


 「えっ、そうなの?ちょっとショック……」


 小杉真は落ち込んでいる。ただ美月にとっては今聞きたいことはそんなことではない。


 「お金の事は私が何とかするわ。高校卒業ぐらいまでなら余裕で何とかするから。……これって私の問題なのに、貴方達に任せてばかりだった。せめてお金ぐらい何とかさせて。……そんな事よりも私はマコトの事を聞きに来たの。貴方達の知っている事を全部教えて欲しい。」


 美月は話に割って入り、自分の気持ちを伝える。


 「……そうだね。その話だよね。桜木さんの話からするとマコトは君には自分の事を話してなかったようだから、その辺りから話すよ。」


 小杉真は、神妙な顔つきでもう一人の私と頷きあってから話し出した。


 「マコトがうちに来て、僕らに自分はやはり()()()ようだ、と相談してきたんだ。自分に自覚が無いが、もしかしたら消えるのは、偽物は自分だったみたいだと。僕らは話あった。――存在が消える可能性とそれがいつ起きてもおかしくない事を。原因がわからないから対策のしようもない。――そしてこれは、緑虫さんにだって当てはまる可能性は高い。……だから、協力して今後について話そうと。」


 ――ああ、これは私が考えていた事と同じではないか。マコトも同じように私に隠していたんだ。……今思えば、結果論かもしれないけど、私も一緒に相談したかったな。

 ……ただそうしていたら、あのベイエリアでの、他にも楽しかった思い出は、なかったかもしれない…… 

 マコトの考えを否定することなんて出来ない。彼の優しさを無駄にするようなことを言ってはいけない。美月は、そう誓った。


 「けれど、何も進展しなかった。最初に私や小杉真が二重存在になった直前に何かなかったか、池のほとりに出かけて何かヒントが無いか探してもみたけど、さっぱりだった。他にも……」


 もう一人の私が彼らがしてきた事を説明してくれた。聞けば聞くほど絶望的だった。唯一の望みは今の状態が続く事ぐらいだ。もう運命に任せるようなものだった。美月は思う。もし自分がいたら何か出来ただろうか、いや、出来なかっただろう。


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