4章 12節 美月の意見
ヘッドロックから解放されてガクリとうなだれている僕は放置されているが、緑虫さんの計画案の説明は無事終わった。もちろん、冒頭に彼女が言ったとおり、詳細は詰めないといけないし、課題も山積みだろう。ただ、今までは、半ば目を逸らし続けていた未来に一筋の光が見えてきた。
皆で話した結果、1番目の案はいつでもできるし、何より2番目の案は魅力的だった。こちらの案で、計画を進めていく事になった。
計画が始まったら忙しくなりそう事から、一か月ほど計画の詳細策定と今の生活を楽しんでおこう、という事を話した。――急ぎ過ぎて大きなミスをしてはいけない。
方針が決まったところで桜木美月が挙手をする。
「……私に、私とマコトに両親達や弁護士周りの事任せて貰えないかな……これは表側にいる私達の役割だと思う。」
食事が終わって片付いたテーブルに身を乗り出して美月は話を続ける。
「私は恵まれて育ってきたと思う。これまで困るような事なんて無かった。……マコトがバカなことぐらい。……でも、今日ここに来て、あなた達がどんなに大変だったのかと、とても同情したの。だから、マコトとやれる事はやろうと思ってた。……でも違ったね……何かそんな上から目線だった自分が恥ずかしい。あなた達の方が余程素敵だわ。本当に失礼だった。ごめんなさい!」
桜木美月は頭を下げた。そんな美月をとても優しい目でマコトはみている。
「もちろん。……どうかお願いします。貴女が一番上手く進められる。自分の事だからわかるわ……」
緑虫さんも頭を下げている。二人とも泣いているようだ。
「……ありがとう。泣き虫さん達……」




