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3章 10節 布教

 僕は緑虫さんの正面に正座して、じっくりと話し出す。ここは雑には出来ない。


 「活字を読むのはイイ。想像が広がっていく。おそらくコンテンツの量、質、多様性含めて、エンターテイメントの最有力候補だ。


 ここに音がつくドラマCDもイイ。自分では気付かない臨場感が伝わってくる。それでいて想像の余地も残る。耳を存分に使ったコンテンツだ。


 しかし、耳ばかりだと目を使いたくなる。やはり視界を通して取り込める漫画は凄くイイ。想像の余地はほとんどないが、クリアに作者の意図が伝わり、世界観を存分に楽しませてくれる。


 アニメはイイ。漫画に音が付き、さらにキャラクターが動き出すんだ。目と耳を存分に楽しませてくれる。現実から離れた空想の世界を見せてくれる。しかし、こればかりだとどうしても受け身になる。与えられたレールをなぞるだけだ。自分ならこうするのに、という選択肢は残念ながら視聴者には与えられない……」


 僕はここで一息ついて、核心の話を始める。


 「そこで、ゲームです!自分の思いをインプットできる。映画のような重厚なストーリーと映像、サウンドを自分が主人公になって没頭出来る。――そう僕は勇者になって何度世界を救ってきたことか。しかもこれはRPGというゲームの1ジャンルでしかないのです!」


 ――ふぅ。つい熱く語ってしまった。


 ――ということで、アニメの次はゲーム。緑虫さんはゲームを毛嫌いしていた。ここは慎重にいかなければならない。ゲームを一人でやるのと二人でやるのでは、可能性に雲泥の差がある。


 格闘ゲームなどの対戦系を筆頭に、双六系やリズム系、パズルにクイズ、最終的にはアバターを作ってMMORPGなどの協力プレイは最高だろう。是非ペアを組んで戦士とヒーラー、もしくはソロ可能な盗賊コンビなどやってみたい。絶対楽しいだろう。――妄想が果てしなく広がる。


 「もしもーし。おーい。……帰ってこーい。」

緑虫さんは冷静に僕を呼び戻す。


 「……あっ、なんだっけ?」


 「RPG最高みたいな感じだったけど、そのあたりからやるの?」

 ――そうそうアニメや映画でファンタジーを体験したあとは、やはり王道RPGだろう。しかし、緑虫さんの場合、これまで本や漫画、アニメには馴染んできてはいるが、最近のRPGでは情報量が多過ぎて入りにくいだろう。

 かといってスマホのパズルゲームやソーシャルゲームは、確か手軽だがそんな普通なのは嫌だ。彼女には立派なゲーマーになってもらいたい。


 「いや、緑虫さんにはサウンドノベルゲームから入ります。とりあえずやってみましょう。」


 ――サウンドノベルはミステリー小説を読んでいるのに近い。まずはこの辺りでゲームをナチュラルに彼女の世界に馴染ませる事からはじめたい。



 「主人公の名前入れる見たい……みどりむし、っと。」

 ……名前に関しては特に突っ込まない事にした。


 そうしてゲームが始まる!懐かしの16ビット機。


 ――雪山で遭難したグループに起こる様々な事件に緑虫さんは巻き込まれる。時にバッドエンドもありつつ、エンディングまで一気にクリアしていた。


 全フラグ回収する勢いて続けているが、ここらで声をかける。もういくつかのジャンルのゲームをやってもらうから。


 僕は確信した。彼女とMMORPGで楽しいペア狩りをする事を。きっとゲームセンターだって今なら行けるだろう。まだまだ布教しなければいけない事でいっぱいだ。

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