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3章 7節 ワイルドだった

 緑虫さんの料理はとても――ワイルドだった。真っ黒く大きな中華鍋をカンカンならしながら野菜炒めを作っている。火力が足りないとかブツブツいながら手際がいい。あっという間にチャーハンと野菜炒めが出てきた。


 「う、美味い……」

 思わず声をあげた。自分としては料理を女の子に作って貰う事だけで楽しみだった。味や内容に関しては、正直ここまでは期待していなかった。けれどこの作りたてのご飯は本当に美味しかった。


 「まぁ、調理道具や食材含めて制限が多いから、とりあえずあまり今後のメニューに期待しないでね。……それにしても中華鍋以外何もないのは参ったと思ったけど、意外と何とかなるものね。」

 何かのハンデキャップ付きの勝負を始めているようだ。まぁ私なら出来るわ、と彼女の顔が言っている。まぁ、自信を取り戻す事があって良かった。僕としてもとても楽しみになった。話かけても相変わらずあまり盛り上がらないが、少しだけ前に進んだ気がする。


 僕らは、食事が終わると二人して本を読む。


 …………そんな日が週末まで続いた。そして、金曜日の夕飯時、今日はカレーだったのでいつもに増して喜んで食べている僕に、珍しく彼女の方から話しかけてきた。


 「明日は休みでしょ?本屋さんに行かない?……べ、別に一人で行ってもいいんだけど、あなたも読む本なら、節約できるし……忙しいなら、いいんだけど……」

 緑虫さんが言う通り、僕らは特に趣味が合わない訳ではないらしい。彼女はもう僕の持っている本は全部読んでしまったのだろう。


 「そういえば、この推理小説のシリーズって、あと7冊ぐらい出てたな。あとはこの歴史物も3冊ぐらいあったけど、買おうと思っていたんだ。どう?」


 「そうなの!?じゃあ、それ全部買いなさいよ、私も読みたいから。ち、ちょっと待って、……あ、あとこれは続きないの?ライトノベルって全く興味無かったのだけど、ちょっと、気になるかなー」

ものすごい勢いで、本を持ってきた。ラブコメの古いタイトルだ。


 「あー、それはたしか20巻ぐらい出ているかな?確か完結してるけど、最近は外伝や続編も始まってなかったかな……」

 僕がアニメ化もしていて、かなり良かったとか言う前に、何かものすごい勢いで小躍りして喜んでいる。早く続きが読みたいのが、我慢出来ないらしく、また読み返し始めた。


 ――まぁアニメは、そのうちネットカフェでも連れて行ってあげよう。


 次の日お目当ての本を買って帰った後は、食事もそこそこに、本を読んでいる。夜になっても彼女は本を読んでいた。没頭していた。


 何故だろうか、彼女がページをめくる音は僕を安心させる。

 「――おやすみ……本の虫さん。」


 ちなみに彼女はよく話に出てくる仕切りカーテンなど要らないとの事だった。僕を男として意識してもらえてないらしい。

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