表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/93

3章 2節 家出

 住処を確保するためには、お金以外にも保証人やら不動産屋との交渉、その他手続きが各種必要だ。ただこれに関しては、勉強に集中するためと言ったら、大人たちは先立つものの工面さえできれば、たいてい何とかなった。今回は親との調整や誤魔化しなど、かなりマコトも協力してくれた。


 さらに幸運な事に季節工の仕事は予期せぬメリットがあり、家の数駅先に同じ系列の工場があり、フルタイムで働くことになった。真面目な勤務態度が評価され、問題ない人材と登録されていたらしい。


 引っ越しは直ぐに終わった。ほとんど何も持っていないからだ。しかしながら、僕はこの何もない状態がかなり快適に感じていた。真っさらな白紙の紙に近い。確かに未来は不安ばかりだ。二重に存在しているだけで、戸籍や保険に入れないなどはない。本人として行動さえすれば、何も虚偽はない。もちろん、マコトが就職して納税が始まれば副業の問題など発生するだろうし、他にも気づいていないだけで致命的な問題はあるだろう。だから、大学、いや高校を卒業する後2年の間に、対策は講じなければならないだろう。


 ――今は考えるのは後回しだ。このところの目まぐるしい生活の変化で、心も身体も疲れきっている。


 僕は何もない部屋の真ん中で、ただ自分の力で手に入れた自分だけの場所で、大の字になって眠る事にした。それは間違いなく、ゲームをクリアした時よりも大きく、未知の充実感があった……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ