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2章 10節 プラネタリウム

 待ち合わせ場所からプラネタリウムがある駅までは電車に乗ってきた。予想外に混んでいたので、自然に身体がくっついた時は、美月は過敏に反応してしまった。――やはり今日の自分はおかしい。



 プラネタリウムはかなりの広さがあり、好きな場所に座れた。美月達は正面真ん中辺りに座り、開始を待った。小杉真は、放課後何をしているの?とか普段の美月の生活について聞いてきた。そこから二人でかなり話が弾んだ。


 美月の方からも、何で陸上をやっているのか?練習はキツイか?など、部活についてあれやこれやを聞いていたが、例のハルちゃんが出てきたところで、会場が暗くなり、ナレーションが始まった。


 冬の大三角形やダイヤモンド、オリオン座やシリウスの見つけ方など、聞いた事はあっても改めて見ると興味深かった。プラネタリウムが映写している星々は偽物でしかない事も、知識では知っていても、こうしてみていると本物の星のような気がしてくる。


(いつか本物を見てみたい。こんな満天の星空を観たい。そう、私は子供の頃に旅先でみたあの気持ち悪いくらいに星が見えるあの吸い込まれそうな星空をもう一度見たかったんだ。やはりプラネタリウムにはあの気持ちにはなれないが、思い出せた事が大事だ。やりたいことが出来た……)


 「……星、見てみたいな。こんな星空あるのかな……」


 マコトがボソリと言った。彼は都会の空しか見たことないんだ。星座何てオリオン座ぐらいしか見た事がないだろう。美月からするとそれはとてももったいない事だ。


 (もし、彼に満天の星空を見せたら、どういう反応するだろうか?絶対感動するわ……)


 美月にはやりたい事がない。けれど今日は楽しみがいくつか出来た。小杉真には、しばらく少し付き合ってもらうとしよう。そう思った美月はつい声を出して笑ってしまった。しかし、マコトはそんなおかしな美月を――優しい顔をして――ただ見続けていた。

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