2章 8節 美月の分析
桜木美月は初めてデートに期待していた。しかし、どうやって切り出すべきか。そんな事を考えいた時に小杉マコトが現れた。
「桜木さんに話があるんだ。」
――私に、話?! 美月はドキっとした。
「なっ、なあに?」
「俺さ、彼女がいたらいいなと思っていてさ、」
――えっ?……この展開……
「その為、直した方がいい事とか、こうしたら良くなるとか、何か一生懸命努力出来る事ないかな?と思ったんだ。……桜木さんにアドバイスもらいたいんだ。」
マコトは真剣だ。
「品行方正、とにかく余計なことは言わず、往生際が悪いのはだめだわ。サムライを目指すべきね。あとは、自己研鑽よ。日々自分を磨くべき。終わりはないわ。最後に、オリジナリティも重要よ。女の子はみんな特別な誰かには、特別でいて欲しいと思うの。」
美月は、素直に自分の考えを話した。
――でも、これって誰の事?私なの?……でも、普通本人にこんなの聴くかしら?
美月は分析する。が、解らない……五分五分?
「ありがとう!助かるよ。流石が桜木さんだ。……でも、自己研鑽か。今も勉強に陸上頑張っているんだよな。他にも必要かな。」
「自己研鑽に終わりはないのよ?外見や中身もまだまだ磨きが足りないように見えるけど?」
美月は褒められて、何時もの自信を取り戻し始めた。
「確かに、外見はもう少しこだわれるかも。中味もサムライにも程遠いしね。桜木さん、ありがとう。頑張ってみるよ、俺。」
――あれ、終わっちゃうの?これ私じゃない?
美月の分析はほぼ美月以外に傾いてきた。このままでは……
「でも確かに、頑張っているのにね。自己研鑽は続けていくとして、アプローチが足りないんじゃないかしら?」
――美月は思い切って話してみた。
「アプローチか。アプローチならかなりしているんだよね。」
「へ、へー。……ちなみにどんな?どれくらい?」
「もう二回は断られたかな。タイミングもかえてみたんだけど。でも往生際悪いしな。3回目は。」
――これ。やっぱり、私じゃないかなぁ?!
美月の分析は一気に逆転した。
「中途半端は良くないわ、デッドオアアライブよ、
ハッキリしなさい。……ば、場所が悪いのかもよ?」
「そっか。……難しいな。桜木さんはどこ行きたい?」
――あれ、これ確定?!……私に訊いてるよね?
美月分析ゲージはMAXだ。
……ふっー。美月は大きく息を吐いた。
「……わ、私?私なら、ほ、星を見に行きたい、かな。」
その時、美月の両手に小杉マコトの両手が覆い被せてきて、彼は言った。
「次の桜木さんの都合のいい日に、プラネタリウムに行こう。」
小杉マコトは、顔を赤らめながらも、真剣な眼差しで美月の目を見つめて答えを待っている。
「…………行く。」
美月は恥ずかしくなって、握られた両手を上下しながら、良くわからない口笛をしばらく吹いていた。




