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1章 1節 そこに僕がもう一人いるんだが。
目を開けた。
いつも見ている自分の部屋の天井だ。
午後7時。部活から帰ってシャワーを浴びた後、ゴロゴロしてスマホをみていたら、寝落ちしたらしい。確かに疲れていた。
スマホが手にないので辺りをまさぐるが、無いようだ。仕方なく起き上がり、部屋の明かりをつける。
充電器があるベッドのヘッドレストの辺りを探してみようと振り返った時、自分がベッドに寝ている。
寝ぼけているのか、夢うつつなのか、あまり不自然には感じなかった。一瞬だけ……だ。何故なら、寝ていた自分も目を覚まして僕と目が合う。
「「はい――――??」」
僕は、やっと正気に戻ると思わず声を出して驚いた。
相手も同じで、バッ!と起き上がりこちらをみている。向こうも驚いている。
「「誰だよ?!」」
「「俺?」」
…………
「「夢??」」
……
しばらく、同じ声でハモっていた後、二人とも立ち鏡に殺到する。もちろん普段の自分がいた。何も問題はないようだ。
もう一人の自分がいる以外は……