〈 Day 5 / epilogue 〉
花火の後の静寂。
愛した人は、もういない。
古びた神社に、一人。
俺は、泣いていた。
堪えていたものが、涙となって溢れてくる。
夜が明けるまで、泣き続けた。
朝日が眩しい。
気付けば神社は消え、座っていた石段はただの石の段差になっていた。
神社の形を思い出しながら開けた謎の場所を探索する。
雨の話に出てきた事故のあった場所を記憶を頼りに探す。
その場所は落差10メートルは軽く超える崖だった。
斜面を滑り落ちないように別の道から慎重に崖下へ向かう。
先程の丁度真下、そこに『雨だったもの』が落ちていた。
落ち着いて警察に通報する。
見失わないように木々に目印をつけて下山する。
しばらくして警察が到着し、目印をたどって事故現場に到着する。
依然として、動かないままだ。
遊火山は封鎖され、事情聴衆のために警察署へと連行される。
最初は事件ではないかと疑われたが、アリバイがあることを説明すると捜査は凍結、事故死だと結論づけられた。
雨の葬式にはたくさんのクラスメイトが参列した。
雨のお母さんは出棺の時まで泣き続けていた。
周りの人たちが泣いて死を悲しんでいる中、何故か涙は出なかった。
きっと涙全てをあの神社においてきてしまったのだろう。
事件からしばらく経ち、夏休みの終わり。
警察の封鎖を乗り越え事故現場に向かう。
その手にはひまわりが握られていた。
事故のあった場所にひまわりを添えると一陣の風が顔を掠める。
目を開けると再び神社が現れた。
以前雨としたように、朽ちた賽銭箱に五円玉を投げ入れる。
「最後に雨と話す機会を作ってくれて、ありがとうございました。」
どこからか、ピアノの音が聞こえたような気がした。
『貴方は雨を知っている』 完




