表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『貴方は雨を知っている』  作者: 矢下 真
7/8

〈 Day 5 / epilogue 〉

 花火の後の静寂。

 愛した人は、もういない。

 古びた神社に、一人。

 俺は、泣いていた。

 堪えていたものが、涙となって溢れてくる。

 夜が明けるまで、泣き続けた。




 朝日が眩しい。

 気付けば神社は消え、座っていた石段はただの石の段差になっていた。

 神社の形を思い出しながら開けた謎の場所を探索する。

 雨の話に出てきた事故のあった場所を記憶を頼りに探す。

 その場所は落差10メートルは軽く超える崖だった。

 斜面を滑り落ちないように別の道から慎重に崖下へ向かう。

 先程の丁度真下、そこに『雨だったもの』が落ちていた。

 落ち着いて警察に通報する。

 見失わないように木々に目印をつけて下山する。

 しばらくして警察が到着し、目印をたどって事故現場に到着する。

 依然として、動かないままだ。

 遊火山は封鎖され、事情聴衆のために警察署へと連行される。

 最初は事件ではないかと疑われたが、アリバイがあることを説明すると捜査は凍結、事故死だと結論づけられた。

 雨の葬式にはたくさんのクラスメイトが参列した。

 雨のお母さんは出棺の時まで泣き続けていた。

 周りの人たちが泣いて死を悲しんでいる中、何故か涙は出なかった。

 きっと涙全てをあの神社においてきてしまったのだろう。

 事件からしばらく経ち、夏休みの終わり。

 警察の封鎖を乗り越え事故現場に向かう。

 その手にはひまわりが握られていた。

 事故のあった場所にひまわりを添えると一陣の風が顔を掠める。

 目を開けると再び神社が現れた。

 以前雨としたように、朽ちた賽銭箱に五円玉を投げ入れる。

「最後に雨と話す機会を作ってくれて、ありがとうございました。」

 どこからか、ピアノの音が聞こえたような気がした。




『貴方は雨を知っている』 完


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ