自己紹介
「皆さん初めまして、これこら貴方達の担任になりますミサカ・マッカートです。これからよろしくお願いしますね」
ジジイの挨拶が終わり、滞りなく入学式を終えた俺達は、体育館に貼ってあったクラス分け表を見て各々のクラスに移動した所だ。
人数が多いだけあり、クラスの数も多くなかなか自分の名前を見つけるのは困難だったが無事に見つかり、ジジイの差金かユエラと同じクラスだった。
ちなみに、人間種が一番多く全体の6割程を占めており教室でも人間が一番多い。
担任も眼鏡をかけた人間で、柔らかな雰囲気が漂う美人だった。
「では、これから皆さんに自己紹介をしてもらいます。人数が多いので、名前となにか一言お願いします。前の貴方からどうぞ」
そうしてどんどん順番が消費され、俺の隣に座っているユエラの番になった。
ちなみに、クラスの中には先日魔法ビジョンで見たドライグの息子や、有名な魔法使いの子孫などの有名所が何人かいた。
「ユエラです。よろしくお願いします」
無愛想過ぎないか?
無表情だし、さっさと座るし、印象最悪じゃないか。
案の定、担任もそれで終わりかとオロオロしたが、ユエラがこれ以上口を開くことは無いと悟ったのか次の人に促している。
「…ユエラ、少し無愛想過ぎないか?」
ユエラの態度が気になった俺はユエラに小声で問いかける。
「私は、ユーリ様にお使えするために学園に通うのです。自分から他に馴れ合うつもりはありません」
「…ぁあ、はい」
小声なのにすさまじい気迫を感じて思わず敬語で返してしまった。
「では、次の方どうぞ」
「あっ、はい」
いつの間にか俺の番になっていたようだ。
長い髪を鬱陶しげに払いながら席を立つ。
その瞬間、クラスがざわついた
口々に、綺麗だの、美人だの、まさに女神だの賛美の嵐が巻き起こる。
(ユエラの言っていたことは本当だったのか…)
この姿は、他人から見たら美人だったのだ。
(全く嬉しくはないがな)
元の姿を褒められるならまだしも、今の姿になにをいわれようが「へー」としか思わない。
「ユーリ・バルアです。皆さん、これからどうぞ宜しくお願いします」
薄く微笑み、丁寧にお辞儀をして席に座り、自分の挨拶がユエラと大差ないことに落ち込む
(偉そうに注意しておいて俺はこの程度か。でも、なるべく柔らかい態度は心がけたから)
こうして自己紹介は滞りなく済んでいくのだった