魔王
「何故俺はこんな所にいるんだろうか」
「それが神様との約束だからです」
目の前にはユーステッド学園
大陸唯一の学園であり、多種多様な種族が集まる場所である。
また、現在は一定の年齢になると学園に通うことが義務となっているため人数もとても多い。
「それと魔王様、俺ではなく私です」
「ユエラこそ、魔王様じゃなくてユーリと呼びなさい」
あぁ、憂鬱だ、なぜ俺はこんな所に通わなければならないんだ。
「仕方ありませんユーリ様。神様が出した条件が学園を無事に卒業するなのですから」
「えぇ、分かってる。分かってるけどボヤキでもしないとやってられないの」
意識して口調を変える。
本来の俺はこんな言葉遣いではないからだ。
「私も付いていますし、ユーリ様なら三年間無事に過ごせます」
「ありがとう、ユエラ」
遥か昔から自分に仕えている可愛い悪魔の頭を撫でながらこれからの事を思う。
どうしてこうなったと。
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ユリウス・バアル
おとぎ話に出てくる世界に喧嘩を売った魔王であり、絶対的な力を持っていたとされる。
しかし、今現在それに不快感を表すものなどいない。
むしろ英雄として扱われることが多い。
戦争したといっても、昔は特に差別が酷かった魔族のためであり、そのお陰で仲の悪かった他種族達が連合を組むきっかけにもなったのだから。
最終的には自分の命と引換に、魔族の地位を安定させたとされる。
しかし、彼は死んでいなかった
とある人物の元で監禁生活をしていたからだ。