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4. こうなるとは思ってた

 あー……最後は俺かー……。

 階段を登る足取りが重い。

 いやさ、だってさ、皆クオリティ高くないかな?

 魔物とか公式のしか使ってないし、まあダンジョンの内装は少しは凝ったけれどよぉ。

 あと、何か知らんがこいつら期待してるらしくて無駄なプレッシャーが……。

「はぁ……。」

「な〜に溜め息ついてんだよお嬢〜!ほら〜、早く案内してくれって〜!楽しみにしてんだからさぁ。」

「いやお前らのせいだよ。」

 姐さん、お前わざとやってんなら怒るぞ。




 着いてしまった。

 そりゃすぐ着くよ、階段の段数少ないし。

「ほいほい、着いたぞー。」

「……うわぁー。」

「なんか……ぽいね。」

「うん、お嬢っぽいわ〜」

「ダークメルヘン。悪く言えば厨二病。」

「俺のイメージってなんなの?あと、魔法使いにそれを言われたくない。当てはまんのお前とミリだろ。」

「うるさいやめろぉっ!」

 おっと、黒歴史に触れてしまったようだ。




「ん〜。でもよくできてんね〜。これもお嬢の想像力による産物〜?」

「ふふふ……結構よく出来てるだろ?」

「結構っていうかぁ……相当〜?」

「わーい。」

 褒ーめらーれたぁー。

「で、攻略方法求む〜。」

「御意!」

 攻略方法ざっと説明。

 まあ、つまりは運ゲーである。

「鍵は開けてやるが、トラップ見てみる?」

「ん〜、時間とかに制限は無いようだし〜、見てみるわぁ。」

「おk」

 俺が作ったトラップは基本扉開けた瞬間即発動型だから、時間はそんなにかからない。

 数はまあまああるけどさ。




 扉をひたすら開けていく作業を続けていくこと早20分。トラップはさっき言った通り基本即発動型だけど、中にはすぐには発動しないで「当たりかな?」と思わせての時間差発動とか、室内に入って初めて発動するやつとかあるから時間がかかる。

「人の事散々言った割にぃ、君も随分な鬼畜使用だな〜。」

「精神攻撃魔物や初戦ボスの三連ちゃんや連続発動トラップに言われたくない。」

「あれ?僕は!?」

「お前は普通……でも、ないか……。」

「俺は確かに連続発動トラップだが、一つ一つが即死物の君にはやっぱり言われたくないぞ〜。」

「常人には避けようがない分、ブーメラン。俺のはまだ避けようがあるぞ。」

「精神攻撃魔物ってなんぞ?」

「自覚ねえのか!?」

 言いながら扉を開く。

「お。当たりー。」

 宝物庫やー。

「まじで中途半端だなぁ。覚えてなかっだろ〜?」

「覚えてたら凄いわ。」

「それよりさ……なんか最初と雰囲気違くない?」

「ん?そういやぁ、説明すんの忘れてたっけ?」

 思えば、みっちゃんは本当にあった系の怖い話が大の苦手である。

 これは、現実の出来事である。……あれ?ヤバイ?

 いや、これはダンジョンだ。友人の苦手に付き合うわけにはいかない。うん、よし、そうだよね!

「俺のダンジョンのモチーフは、ゴシック&ホラー「ふっざけんな!」……だって、好きなんだし。」

 やっぱりきたよ。

「だ、だぁーいじょーぶ!ホラーって言っても、幽霊とか目が動く絵画とか勝手に動き出す甲冑とか、そんなんばっかだし!」

「それが駄目だっていうのわかれよ!」

「文句言うなってば!だったら目つぶっているか、ここで待ってろよ!」

「ちょっ……こんな所で一人とか止めて!」

「みっちゃんよ、考えてみろよ。現実の世界でこれが怒ったら確かに怪奇現象だ。霊だのなんだのが関連する。しかしこっちは俺の想像の産物だ。作ったのは俺だ。つまりはお化け屋敷だと思えばいいんだ。魔物も襲って来ないしな。」

「おっ……おう……?」

 上手く丸め込むことに成功?した。



 そんなこんなでトラップを確認しながら奥へと進む。

 周りの景色がどんどん危なくなってくるけど、基本俺とみっちゃん以外怖いの平気だし、みっちゃんは霊的現象が苦手なだけであって、作り物だと知っていれば怖くない人だし、俺はそもそも作った人だから問題ないし。

 うーん…こう考えると、内装をいくら凝っても怖いのが平気な人ばっか入ってきたらあまり意味がないなぁ…、とか今後のことを考えながら歩いていたら、ようやくこの廊下の出口となる扉に着いた。

「はぁ〜、結構な距離だったなぁ。」

「自分が見るって言ったんだろ?」

「いやぁ、そーだけどさぁ。」

 見学作業は楽しいけど、いかんせん体力がないからさー、と言っている姐さんは置いておいて、鍵を開ける。

 次は舞踏会(仮)である。



「うん、何かこんな気はしてました。」

「お嬢だしねぇ〜。」

「私は予想外。」

「僕も。」

「お前らの予想なんて知るかよ。」

 なんだよ、何かこんな気はしてた、とかお嬢だしね、とか。お前らほんと俺を何だと思っているんだよ。


「この踊っている人達も魔物なの?」

「いや、この人達は想像の産物で、あくまで一種のインテリアのようなもんです。襲ってはこないよー。」

「へぇー、でも、襲いかかってこない魔物もどきっていうのはいいかもしれないですね。そっちを気にしているうちに死角から狙えそうです。」

「ミリさんはなんで考えがそっちにいくの?」

「流石サイコパs((ヴヴン」

「私はサイコパスじゃないですよ!」

「みっちゃんも茶化すなよー……。」

 あ、でもそれ使えそう…とか考えたけど、それ言ったら俺まで巻き込まれかねないから黙っておこう。

 そんなよくわからないことを話しながら階段を登ると、王座に腰掛ける骸骨さんのご登場です。



「ほ〜、すご〜く高そうな王冠ですなぁ〜。」

 姐さんが王冠を手にとって、色々な角度から眺める。

「…ん〜?何これ。え〜っと…、なになに〜?

『王の宝を持ち出そうとする者、その身に災厄が降りかかるであろう』?…ってことは、お嬢〜、これって持ち出したら危険なトラップ発動ってことでオッケ〜?」

 どうやら、王冠の裏側の文字に気がついたようだ。

「うん、そーだよ。俺のダンジョンは欲が無くて、且つ注意深くなきゃ、突破は難しいよ。…あと、強くて運がいい人。」

「それ、大体のダンジョンに当てはまるけど、なかなかいないやつ。」

 魔法使いが珍しくツッコミを入れるが、スルーする。

「えっとねー、ここで踊っている幽霊たちがいるでしょ?その人達が全員…こぉー、グワァッってなって襲いかかってくるの。で、こいつら一応インテリア…というか、内装設定だから、攻撃しても傷つけられないの。ついでに奥の扉は開きませーん。」

 そうそう、ダンジョンの内装とかインテリアとして設定されたものは攻撃しても傷1つつかない頑丈設定なんだよねー。ほら、例えば廊下とか、俺のダンジョンでいう、甲冑とか…絵画とか!

「あ〜…なんとな〜く理解したわ。慌てて攻撃しても無傷の状態で迫ってくるとか何それ怖いな〜。ってか、それ潰されるやつでね〜か〜?」

「フフフ…よいだろ?万が一逃げられてもそのまま二度と来なくなってくれれば万々歳よー。」

「ですな〜。」

 そういいながら、姐さんはそっと王冠を骸骨さんの頭の上に戻した。



 この部屋は王冠さえ持っていかなければさっさと通過できるので、そのまま先に進む。次は螺旋階段ですね。

「あ〜、雰囲気あるね〜。俺結構好きだな〜。」

「圧倒的ラスボス感ワロタ」

「魔法使いよ、真顔止めろ。」

 そうして、ながーいながーい螺旋階段を登り、頂上に到着した。途中で姐さんとか魔法使いとかみっちゃんが「もうむり。何これ長いふざけるなよ。」とか言ってたけど、絶対に運動不足なだけだから。俺も疲れたけど。




「ここで最後ですねー。」

「てことは〜、ダンジョンマスターの部屋ってことかい〜?」

「イエース!!」

「何かお嬢テンション高いなぁ〜。」

「階段の疲れと、ストレスからの開放でついね!」

「階段は自業自得だろ〜?でも、ストレスとは〜…?」

「お前らからの過度な期待な!?」

「……楽しみだなぁ〜!」

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」

 もうヤケで扉をバーンッと荒く開ける。

 ……少しの沈黙のあと、皆が納得したかのように頷き、生暖かい目でこっちを見て親指を立てたのがどうも納得できませんでした!



 で、これで全部の部屋を見終わったわけですが、皆さん忘れていないだろうか?これはあくまで練習!チュートリアルであるということを。

 最初にこんな感じで練習したのは、ダンジョンを作成するのに慣れておこう、っていう目的の他に、俺らの属性を決める目的もあったらしい。どうやら、俺らは全属性が扱えるようなんだが、まんべんなく使える分、一つ一つの威力が低いらしい。だから、全属性の中から2つほどに主要属性を絞ることにしたんだと。主要属性はダンジョンの内容を基本として決まるらしいんだが、これはつまり相性=好みということなんだろうか。

 あー、あと、2つの属性が主要とは言ったが、メインとサブって感じで威力にちょっと違いは出るみたい。勿論メインに選ばれている方が強い。



 で、決まりましたー。炎、水、氷、風、光、土、霧、毒、闇、無の中から、

 俺→闇、無

 姐さん→光、水

 魔法使い→炎、氷

 ミリ→水、風

 みっちゃん→霧、風


 1つめがメインで2つめがサブね。

 …なんだろう、この俺の浮きっぷりは。

 皆結構爽やかなのに何でー。あと、無!お前どっから来たし!確かに闇ってなんかかっこいいけどさぁ……。

 あと、何で水と氷なんだろう。これ、氷じゃなくて、草とかでいいと思うんだけど。

 聞いてみたら、水はレベルが上がるまで液体の水単体しか操れず、どちらかといえば回復型で、氷は氷でレベルが上がるまで個体となった水しか操れず、どちらかといえば攻撃型なんだと。微妙だ……。



「で、ここから大事な話になるのですが…」

 ん?ロボットさんが何か言いづらそうな顔をしていらっしゃる。

 さっき同様に凄く嫌な予感。

「この世界には、3つの大陸があるんです。…人族と獣人族と魔族の。そして、今は種族間でいつ争いが起きてもおかしくない状態たんです。ですから、それぞれの大陸の間にかかっている橋のところにダンジョンが出来る予定なんです。」

 うん、特になんか変なことは言われていないと思うんだけど…。

 ……うん?

「3つ?」

「…ええ、3つの大陸からそれぞれのびている橋は合わせて3つなんです。…つまり、人数と合わないんです。」

 /(^o^)\ナンテコッタイ

「え、じゃあ、余分な2人は一体どうなるんですか!?」

 姐さんが大声を出すが、その気持ちはわかる。そちら側のミスで殺されてこっちの世界に来たのに、こっちの世界でも用済みとかありえない。

「ええ、ですから、ペアを作ろうと思います。」




 ……ペアとな?

 それって……

「1人強制的にボッチ確定じゃねぇかああぁぁあぁ!!!!」

 余計悲しいわ!そんなの!

「え、これってもうそちらで決めてあったりとか?」

「あ、いえ。それはまだですね。」

「では、まだ望みはあると…。」

 本気(マジ)な顔の俺らを見て、若干引き気味のロボットさん。

 だがそんなの関係ない!

 合宿や修学旅行、バス席、その他諸々で5人の俺達は基本1人余ってしまう。その時の苦労は今でも忘れない。パリピの隣になってしまった日にはもう死ぬかと思った。いや、死んでた。精神は。

 お互いがその辛さをわかっているからこそ、こればっかりは譲れない!

「いつもの『アレ』を…やりますか…。」

「……おう。」

 俺らは静かに拳を固め、構えをとる。

「…いくぞ。」

 ロボットさんが何故か慌てたようにこちらに向かってくるが、気にしない。

 静かに息を吸い…次の瞬間、目をカッと見開く。

「「グッとっパーっで分っかれっましょっ!!!!」」

「「ぅおぉっしゃああぁぁ!!」」

「…へ?」

 やりぃっと笑顔でハイタッチする姐さんと魔法使い。

 キョトンとした顔のロボットさん。

「え?喧嘩するんじゃ…?」

 どんな勘違いだ。

「そんなぁ、俺ら肉体派じゃないですし〜、やりあったらきっとミリさんの独り勝ちじゃないですかね〜?」

「え、彼女の!?…すみません…てっきり貴女かと……。」

「あ〜、よく怖がられるんですけど〜、俺そ〜いうの凄く苦手です〜。」

 姐さんがロボットさんと楽しそうに話してる。いいね、ペアが決まった人は!

「凄く…やりたくないけど…やる?」

 俺が聞くと、皆死んだ目をしながら頷いた。




 ………………。

 …………。

 ……。

「…神は死んだ。」

 うん、知ってたよ。


 あれから、俺の全ての運を賭けてパーを出して見事負けた。もう二度とパーは出さん。

 なんか、どっちにしろ属性の相性もいいらしいから、グッとっパーしなくても俺がボッチになるのは確定らしかったんだが。

 ズーンと見るからに落ち込んでいるであろう俺にロボットさんがさっきから凄く慰めの言葉をくれるけど、余計悲しくなるからやめてー。




「あ、えーと!では、それぞれのダンジョンを配置する場所を発表しようと思います……。」

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