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2. 想像力って大事

 天界(?)から落とされて到着、どうも、ついに異世界に来ちゃった俺氏含め5人です。

 現在黒い空間におります。なんでも、何もいじってないダンジョンはこんな感じなんだとか。

 そんな豆知識は目の前のロボットさんが教えたくれました。ロボットと言っても、人間にしか見えない。形はナイスボディのお姉さまです。姐さん喜びの声あげてるし、みっちゃんとミリは「美しい……」って顔に手を当てて蹲っている。

 そうだ、綺麗な女性見ても過剰な反応しないのって俺と魔法使いだけだったわ。





 話が進まないのでどうにか彼女らを落ち着けて続きを待つ。

 彼女が神様の言う案内人のようだ。

 ダンジョンを作り始める前に、この世界についてざっと話を聞く。詳しく話していると時間がいくらあっても足りないからな。質問は後ほど随時受け付けるとのことだ。

 いや、うん、しかし……。

 内容はわかった。それは後でまとめるけど、全然安全じゃなかった。おい、神様。俺達、今命の危機に晒されてるよ。





 詳しい話の内容をざっとまとめると、

 ・知ってた通り、ここは異世界で魔法や武器で戦う毎日死人が出るのが普通の場所。現在各国で一触即発状態。

 ・戦う人達、つまり主に冒険者はダンジョン攻略が金銭的にも経験値的にも儲かるため、よくやっている。

 ・ダンジョンマスターのいるダンジョンはレベルが劇的に上がる。因みにレベルは攻略難易度を表す。高いほど攻略が難しい。

 ・ダンジョンマスターは奴隷商人等に人1人が一生遊んで暮らせる程高く売れる。また、ダンジョンマスターを倒すと大量の経験値を得られる。

 ・俺らのダンジョンの建設場所は、各国を繋ぐ橋のど真ん中にそれぞれ建てられる。戦争したけりゃここを通れと。

 ・ダンジョンは普通、完成して公開するまで誰も入れないが、稀に「視る者」という作りかけのダンジョンに入れる奴らが存在する。国の政府は、こいつらに多大な依頼料を渡して内容を知る。何が言いたいのかというと、見つけたら生きて帰すな。



 とりあえず思ったこと。神よ、死んだのにすぐ殺すなよ。

 しかも弱肉強食に加え、俺らは希少価値と。しかも、傍から見れば、戦争したいのに出来ない邪魔な場所にあると。つまり、殺る以外に方法がないと。やめてくれ。

 周りを見てみる。何かもう皆吹っ切れた顔してた。目は死んでいたけど。

 でも、うじうじして前に進めないでいるよりはずっといいかな。

 ロボットさん曰く、こちらの世界に来るまでに、殺人を犯した時、それが自分の身を守るための正当防衛だったら罪悪感を抱かないようにしておいたと。なんか、助かったような、人として大事なものを失ったような。




 しっかし、色々と身の危険はあるものの、なんでこんな優遇されてんのかねー。ロボットさんに聞いてみる。

 すると……

「あー……それはですね……」

 何とも歯切れの悪い言い方である。何?嫌な予感しかせんぞ。

「実はですね...人が何で死ぬのかは生まれる前から決まっているんです。

 ...ああ、言い方が変でしたね。わかりやすく言うと、人間は現世で生を受ける前に、天界で神によって寿命、その死因が決められるんです。

 そして、それは神が『魂の書』と呼ばれる物に記しておくんです。これは、1回書くと基本は書き換えられないはずなのですが...、何の誤作動か、はたまた他の神によるものかは不明ですが...、書き換えられてたんですよ。一部の人間の寿命が。」

「……それが、俺らだと?」

「ええ……。貴方達が事故にあって天界に行ったとき、多くの神々が集まっていたでしょう?あれは、その事件の話し合いと、こちらのミスによる死人の対応を兼ねていたんですよ。」

 だからこんなに待遇いいのか。でも、その割に戦争起こしそうな国と国の間にダンジョン作らせたり、死の危険に晒されていたり、結構大変だぞ?




 ……まあ、なんかすごく気になるけど深く掘り下げてはいけない気がする話は一旦置いておくとして!


 どうやら、この空間でダンジョン制作の練習をするそうだ。

 制作方法は主に想像力。その他にiPadのような機械で細かい設定を決めることができる。



「どうする?とりあえず空間をざっと5等分して、試しに一人一人作ってみる?」

 俺の意見にそんなに反対はなかった。皆好みバラバラだしね。

 全員で簡単に作ってみて、それぞれを皆で攻略していくことになった。魔物は設置オッケーだけど、一時的に俺ら全員がこのダンジョンのダンジョンマスターになっているため、襲われることはないらしい。うんうん、主従関係がよくできていらっしゃる。

 最初から想像力でやるとえらいことになりそうなので、機械でまず全体図を見る。

 ここは1階と記されていたので、2階以上も作れるのだろう。どうせだから1階分は欲しい。広く作りたいからな。




 ……。

 …………。

 ………………。

 出来た。

 5階建て。

 もしかしたら1階じゃ足りなくなるかもしれないが、その時は各自で階を増やすことにした。

 階が増えても、上にあったフロアはそのまま上にくり上がるので特に問題はない。

 本来はポイントが必要みたいだけど、今は練習中だから必要なかった。

 あくまでポイントが必要なのは機械を使うときだけだから、想像力のある人は得だ。フハハ。

 でも、石鹸とかの実用品や家具、食料等はポイントで購入するのでポイントは大事。

 想像力をフル活用すれば作れないわけではないんだが、どうしても性能が落ちるようだ。まあ、主成分やら、どのようにしてあの完成形になるのかとかわからんしな。

 だから、ポイントは使わないなんてことはない。



 さてと。

 俺が貰ったのは5階。さっそくやるか。

 俺が好きなのはゴシック系。ホラー系も好きっちゃ好きだけど、とりあえずはこっち優先で。

 黒と金を基調とした細かい模様の入った壁を想像する。その時には触った時の感触、強度まで考えておく。(ダンジョンの物は壊れないようには出来ているが。)

 その瞬間。

 ゴゴゴ……という音と共に、俺が立っている黒い空間から想像通りの壁が出現した。何これ。この床凄い。

 質感までもが想像で左右されるため、結構大変だけど。

 床はモノクロのタイル張りにして、その上にレッドカーペットを敷いて行く。

 いい忘れてたけど、ここ、廊下な。まあまあな広さあるけどさ。生きてた時の俺の部屋位の幅あるけどさ……!



 気持ちを落ち着け、天井を作る。これも黒を基調とし、数十メートルごとに豪華なシャンデリアを吊るしていく。ただ、あまり明るくなり過ぎないように気をつける。

 んで、ところどころにお城とかに飾ってありそうな絵画とか甲冑とかそんなもんを設置して、と。 

 これで、廊下は完成。



 一本道もあれなんで、壁にダーっと扉を設置。主要なのはいくつかにして、後は初見殺しにしよう。おいでませ、トラップ地獄へ。

 扉開けた瞬間おっきな斧が振り子の要領で飛び出してきたり、弓が一斉に飛んできたり……。被害を見るのは嫌だけど、作るぶんには楽しい。それに、こうでもしないと俺が死ぬ。

 こうすれば、扉を開けるとトラップが発動すると思って開けなくなるだろう。

 しかしだ。そんなに甘くないぜ!

 すごーく中途半端な場所に一つだけ財宝置場を作る。

 頑張ったか、運が良かった人へのご褒美として。そして、その中に廊下を出るための鍵が入っている。…まあ、クリアできないダンジョンは作れないようになってんだけども。

 実は、この廊下の終わりにはこれまた大きな2枚扉がある。これは宝物庫にある鍵がないと開かない。

 例え、どんなに強い人が押そうが引こうがスライドしようが蹴ろうが殴ろうが切ろうが絶対に開かない。

 もし運良くこのフロアを運良くクリアした人が宝物庫の場所を覚えていたら厄介なので、宝物庫の場所はランダム設定にしてあるので、攻略対策もバッチリである。



 でだ。

 先程ホラーが好きと言っただろう?

 入れよう☆

 という訳で、以下の設定が追加されましたー。


 1:長い廊下を進めば進むほど段々暗くなっていく。

 2:電気がチカチカしてきて、天井やシャンデリアのあちこちには巨大な蜘蛛の巣を張らせていく。

 3:壁は傷跡だらけにして、返り血(仮)だとか、汚れだとかを付けていく。

 4:勿論絨毯はボロボロ。

 5:絵画→不気味な絵(綺麗な女性の絵がこう...なんか、こう……ぐわっとなったり...。)

 6:甲冑→時よりかたかたと動く。


 これらを進めば進む程に悪化させていく。

 うん、いいね!

 暇があれば、ゴースト系の魔物おくか。



 ちなみに魔物は三種類の召喚方法があり、ポイントの量がそれらで左右される。それはまた別の回でまとめておこう。



 さて、廊下の先はやっぱり大広間にしようかな。

 ここはゴシックホラーかな?



 まるで舞踏会が開かれているお城の様な細かい模様の入った大きなタイル張りの床。色は……これは、銀にするかな?

 壁はレースのたっぷり入った上品な黒の金の刺繍の入ったカーテンで、緩く両サイドで纏められている。

 広間の半分より向こうにはやっぱり黒で美しい細工の彫られた手すりの階段が2階へと誘う。

 これだけを見れば、ただの美しい場所。でも。



 元は鏡のようにピカピカに磨かれていたであろう床は曇り、傷跡と血まみれで、上に飾ってあっただろうシャンデリアのガラスが粉々に砕けちって散らばっている。

 カーテンはボロボロに破れていて、見るも無惨な状態だ。

 手すりと階段にも引っかき傷があり、数カ所は砕かれている。

 そんな場所を登っていくと、そこには玉座。いるのは項垂れたように座っている骸骨で、昔は豪華で煌びやかであっただろう王族の様な服に身を包み、金の王冠を被っている。

 その王冠が、この部屋を出る鍵。ただ、開けるために必要なのではないけれど。

 2階の玉座の向こうにある扉はあの王冠に反応するように作った。さっきも言ったけど、開くんじゃないよ?

 王冠を持って出ると即死ENDです。

 実は、王冠の内側に持っていくなのメッセージが彫られています。よく見ようね。そんでもって欲は持つなよ?

 うえーい、大広間完成。こんな部屋があるダンジョンで眠れないわー。

 こっちも時間余ったら幽霊達をおいてダンスでもさせよう。幽霊は魔物にせずに、うん。...ふふふ。



 今回はお試しだしなー。もうこの部屋作って終わりでいっか。

 現在制作してるのは俺、つまりダンジョンマスターの部屋。

 ダンジョンに合わせてがっつりゴシックロリータ!でもいいんだけど、引かれそうだから程々にしよう。

 ふむ…とりあえず、ピカピカに磨かれたモノクロタイルに黒いレースで編んだ丸い絨毯を真ん中に敷いて、その上にフッカフカの豪華な椅子を設置。

 壁には鏡掛けて、黒いツヤツヤした背の低い棚置いて、上にレースの丸い敷物かけて燭台と継ぎ接ぎの熊のぬいぐるみを置く。ついでにその横に背の高い本棚も置く。

 反対側の壁際に黒い天蓋付きの黒のダブルベッド、椅子の側にはこれまたツヤツヤした黒いテーブル。上には、うーん、チェスでも置いておくか。

 バックの壁には大きな窓を作り、銀色に輝く満月を覗かせた。

 こんなんでいっか。練習だし。凝りすぎてもあれだ。

 あー、でもなー、扉開けたらすぐこの部屋ってのもあれだ。

 そうだな……、螺旋階段登ってこの部屋にたどり着くっていうのもいいかもしれない。

 じゃあ、玉座のある部屋の扉を開けたら丸い部屋に出るようにしてみよう。そんで、その真ん中に螺旋階段を設置しよう。階段の周りには大きな本とかを無造作に高く積んでおくと雰囲気出るかなー?

 頂上付近には壁にぐるりと囲むように大きなカーテン無しの窓をつけて、外は夜にして雷が鳴るようにしておく。

 時間余ったし、大広間で幽霊達を踊らせておいてっと…。

 あと、適当に廊下にゴースト系の魔物放し飼いにしておこう。



 おし、完成!

 皆も出来た頃かな?

『ピピピピピ!』

「うぎゃふっ!?」

 突然頭に響く音。

 こいつ……脳内に直接……!?

『あ、繋がりましたね。反応してくれてありがとうございます。』

 え

 ホントにテレパシー?

『はい、そうですね。まだ訓練していないので、基本考えてることはそのまま行きますよ。』

 やっちまったぜ!

『それにしても、皆様同じ反応を返してくるものでしたから、そちらにもあるのかと勝手に思ってしまいました。』

 ……やっぱり皆、ついそう返しちゃうよね。

 で、すみません。用事とかありましたか?

『はい、皆様完成したようなので、一応連絡をさせていただきました。』

 あ、わざわざどうも。

 私も終わりました。

『そうですか!皆様慣れていらっしゃいますね。

 こんなに早い人達は今まで見たことがありません。』

 オタクの本気って凄いなぁ……。

 ん?今までに転生者いるんですか?

『いえ、転生者はいません。ただ、何故かダンジョンマスターはいたんですよね。すみません、そこまでは私も……。』

 あ、いや、こちらこそ、なんかすみません

 で、えと、どうやって戻ればいいでしょうか?

『今から強制的に入口に送還するので、少々お待ちください。』




 少々も何も、テレパシーの接続が途切れた瞬間、気がつけば入口にいた。

 皆揃っている。

「悪い、待たせた?」

「平気よ〜、俺も今来たとこ〜」

 姐さんとデートの待ち合わせ場所についたカレカノの会話みたいなのをしつつ、部屋の様子を見る。

 ここ、1階は確か、魔法使いの作ったものだ。

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