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セイシェレイド・ユグドラシル  作者: 山都光
第一章~ヴェストレア学院潜入編~
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6話:潜入と囁く声

1章~ヴェストレア学院潜入編~

【ヴェルティナ帝国】。

人間界に存在する国々の中で【六柱国家】と呼ばれる6つの強国の一つで、この帝国はヴェルティナ皇帝によって統治されている。

そしてヴェルティナ帝国では、始まりの聖霊とも呼ばれる6体の最上位の聖霊、聖霊使い達からは【六柱の聖霊王】と呼ばれている中の、”炎”を司る聖霊王、【火の聖霊王】を崇拝しており、その恩恵を受けている国なのである。

そして、この帝国には『聖霊』と契約し使役する事で力を行使できる者達、聖霊使いを育成する機関が存在している。

その機関の名は【ヴェストレア学院】。帝国が崇拝している”火の聖霊王”の名から肖った場所である。


ヴェストレア学院の近くに広がる広大な森に黒いマントを着込み身を潜めている黒衣の少年がいた。

その少年のマントのフードの端から銀の髪が見えていた。

その正体は、今から二日前の昼間のギルドにて受けた依頼を遂行する為に、二日掛けてこの場所に辿り着き、予定の夜になるのを待ってヴェストレア学院に潜入しようと待機しているルミナであった。


「…そろそろ時間か」と確認したルミナは、潜入前に今一度二日前に受けた依頼の内容を思い返していた……



ルミナは、ギルドにて、自分を指定した依頼の内容を改めて、目の前に座っているフードで顔を隠している女性から聞いていた。


「あなたに、ヴェストレア学院にあるとある『剣』を取り戻して頂きたいのですわ」


どうやら女性の依頼内容は【奪還依頼】だった。ルミナもこの手の依頼はここ数年何度か受けているので問題はない……ないのだが、場所が問題だった。


「ちょっと待ってください。ヴェストレア学院と言えば、聖霊使いの育成を目的とした学院ですよね?なぜ俺なんです?あそこに潜入するなら俺だと難しいと思いますが?……だって俺、男ですよ?」


そう、何年も前に、とある聖霊使いが【世界樹祭(ユグドラシルダンス)】と呼ばれる聖霊使いの頂点を決める武舞会に参加し優勝した。

優勝したその聖霊使いは【世界樹祭(ユグドラシルダンス)】の頂点に至った者に【六柱の聖霊王】から優勝者に『一つだけどんな願いでも叶えられる』と言う『願いの奇跡』を、その時に叶えた。

そして――その聖霊使いが『願い』を叶えた後からだった。

何故か男性は聖霊使いとしての能力、聖霊契約と聖魂(ルナ)の解放を行う事が出来なくなったのだ。

それはつまり、今この人間界では、女性のみが聖霊と契約を結ぶ、聖魂(ルナ)の解放を行い聖霊使いとなる事が出来るのだ。

そして当然、今回目の前の女性が提示した場所。それは聖霊使いを教育する機関であるヴェストレア学院に在籍しているは女性のみである。しかも、学院に所属している殆どが貴族の御息女が大半を占めているのである。男の身である自分に何故依頼するのかと不思議だった。


ルミナは不思議に思った疑問を依頼をしてきた目の前の女性に問い掛ける。

すると目の前の女性はフフっと笑みを浮かべると、


「それは問題ないですわ。潜入の手引き等はこちらで致しますので……とある筋からあなたなら問題ないと聞いております。それに以前似た依頼を受けている事もチェック済みですわ。無論当然成功に関わらず依頼を受けて下さるなら報酬も弾みますわ」

(!?…確かに前に潜入依頼を受けたけど、極秘のはずなんだけど……一体誰から俺の事を聞いたんだろうか?…どうするかな。“何でも屋”としては『どんな依頼も受ける』をモットーにしているので受けるべきだけど。でも断ったりすると色々あるし…)


受けるか断るか悩んだのだが結局、ルミナは依頼を受ける事を選択した。


「ふふ、その決断に心から感謝いたしますわ。では……」


依頼内容に関しての打ち合わせ後、ルミナは直ぐに潜入用の衣装に着替えるとヴェストレア学院のある帝国を目指し出発した。

このギルドは帝国間の中央に位置しているので、また確認した学院の場所も近めだった為、2日で辿り着く事が出来た。


++++


(さて、行くか。聞いた情報ではここから潜入できるという話だが……よし、入れそうだな)


森から出ると予め確認していた侵入経路の地図にある、ある壁を調べると小さい窪みがあったので指で押す。

するとその壁の部分が人一人通れるくらいの空洞が開いた。

誰かの気配がないか目を閉じ感覚を研ぎ澄ませる。

探ってみてこの辺りに人気はないようだった。

ルミナは空洞を抜け学院への侵入に成功した。


”見つけた”

「!?」


学院へ足を踏みしめる時にそんな囁きが耳に入る。

周囲に注意するも特に何もないようなので、もしかすると“精霊“が囁いたのかな?と、とりあえず今の囁きの様な声は気にせず依頼の目標の場所に向かった。

“やっと…来てくれた…愛しい主様…”


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