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セイシェレイド・ユグドラシル  作者: 山都光
第一章~ヴェストレア学院潜入編~
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11話:ハルモ

ルミナは今、ヴェストレア学院にある、とある場所に向かって廊下を歩いていた。

正直気が重かった。

学院長であるクローディア・ウィッチクラウドとの対話もとい脅迫された後、渡された制服や色々と書類などを渡された。

そのうちの一つに今、向かっている場所が書かれた紙があった。

そこに向かっている間にチラホラと他の学院生が見え始めていた。


「え!?どうしてここに男がおりますの?」

「うそ、それはほんとに?」

「…でも、なかなか可愛い顔をしているわねぇ」

「…彼が、あの子の言っていた」


等など、廊下を通るたびに恐れる様なまた興味深そうな、そんな視線を浴びていた。もう一度言うが気が重かった。

ルミナの周囲には年の近い者は今までリナくらいでまともに会話したりすることもあまりなかったのでどう対応した良いのか分からなかったのである。


『おやおや?そのような視線気にすることはないであろう、我が主よ?』

「気にするよ、これからここの一員となるんだ。あまり揉め事とかないようにしたいしね」

『私がいる故に、主に楯突く愚かなものは排除して御覧にいたしましょう』

「排除!? ってダメだよ……?」


早々と歩きつつ、目的の場所まで考え事をしつつ時折聞こえてくる声に返していると、その声がすぐ近くに、もっと言うと俺の横から聞こえてきたのだ。

俺は歩くのをやめ、横に視線を向けると、そこには足元まで伸ばした金の髪に、無表情だがどこか神秘性のある青い瞳、そして白いふかぶかとした衣装に身を包んだ全く身に覚えのない1人の少女がいた。

ルミナは見知らぬ少女に話し掛けた。


「…えっと?どちらさま?」

『おや?そういえばこの姿で相対すのは初めてでしたね。私はあの時あなたとの誓いにて契約を結んだ『聖剣聖霊』。真名をハルモニウムと申します。以後よろ…』

「えー!君があの時の?ほんとに?」

『ムッ!その疑うような眼を向けられるのは不満です。…ならこれでどうです?』


自称聖剣さんはムッとした表情をすると目を瞑った。すると体が白く光りだしたのだ。その光に身に覚えがあった。そして体が光の粒子となった後そこには一振りの聖霊剣セイシェレイド・アーツが浮かんでいた。

そう、あの時、聖殿で角獣聖霊と遭い見えた際に俺が契約した聖霊の姿だった。

えっ? 君、そっちが本体じゃないの?


『ふふふ、どうやら信じていただけたようですね』


そう言うとハルモニウムは再び光り輝くと先程の人型の姿に戻った。


「…どっちが本体なの?」

『今のこの姿こそが私の真実の姿です。といってもあの姿も本当でもありますが』


俺は正直驚いていた。今まで依頼を通じて色んな聖霊を見たりしたけど、今まで人型の聖霊は見たことなかったからだ。

つまりこの子は高位の聖霊の中でも上位に位置しているという事のようだった。


『どうかされましたか?我が主よ』

「いや…凄い聖霊さんと契約したんだなあと再認識したとこだよ」

『!ムフフ…嬉しいです。我が愛しの主よ』


なんか嬉しそうだ。


「そうだ、その“主”て、言うのやめよう。俺の事はルミナって呼んでくれていいから。なんかむずかゆいんだよね」

『…それに関しては申し訳ないのですが、無理なんです。私は高位の聖霊の中でも上位に位置する力を有しているが故に幾つかの制約があるのです。その1つが契約した者の名を発音できないという事なのです』


ハルモニウムは残念そうに顔を曇らせるとそう教えてくれた。俺は、正直しまったと思った。


「そうなんだ、分かったよ。俺の事は好きに呼んだらいいよ。…そうだ、俺は君を何て呼んだらいい?」

『了解です。これからは親しみを込めて“マスター(主様)”と呼ばせて頂きます。それと私の名は本来、その名を契約した者も発音できないはずなのですが、どうやら” マスター(主様)”は問題ないようなので、愛を籠めて”ハルモ”とお呼びください♪』


…なんか呼び方が悪化したような、まっいいか、取り敢えず、


「分かった、これから宜しくな!…その、ハルモ」


そう呼ぶとハルモは物凄くいい笑顔を浮かべた。そして俺に向かって嬉しさ全開と言った表情で抱き付いてきた。


『う、嬉しいです。我が愛しきマスター(主様)よ!あ~私はあなたと契約できて嬉しいのでありますよぉ♪』

「うわっと!?、いきなりは危ないよハルモ」

『あ~、また呼んで下さった。嬉しいですよ♪』


そう言うと更に抱きしめてきた。

何故か知らないが物凄く好意を寄せられているのはわかった。名を呼んだだけなのに。

…でもそうか。改めて考えるとこの子は自身の制約で今まで名を呼んでくれる人がいなかったんだ。と言うか、ずっとあの聖殿にいたのだし…仕方ないのかな。

と、そんなことを思いながらハルモの頭を撫でながら苦笑していると部屋の扉が勢いよく開いた。


「誰よ?人の部屋の前で騒いでるのわぁ!」


部屋の扉がいきなり開かれルミナ達に叫んだのは、奇しくも先刻出合わせ、そしてこれから共に過ごす事になるルビア・ローゼンベルグの姿であった。

どうやら既に目的地に着いていたようだ…ハハ




次話ヒロイン視点。

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