プロローグ 入学
誤字脱字、多いと思いますがその都度ご指摘くださると幸いです。
4月18日。その日はとても心地よい陽気だった。上着などいらない、と言って脱ぎ捨てると少し肌寒いくらいの温度。
雲一つない青空に、桜の花びらがひらひらと巻い、落ちていく。
まさに春を象徴しているようなこの日にもう一つ春ならではの行事が各地で執り行われようとしていた。
入学式。
○○市立、青南高校。通称「アオコウ」。
県内屈指の進学校であるこの学校もまた、この日に入学式を執り行う。
アオコウは一昨年建て替えられたばかりである上に、名門大学への進学率も抜群。
そのため今年度は特に入学希望者が多く、受験時の倍率も高かったという。
アオコウに入れた生徒はよっぽどの努力を重ねた人間か、よほどの幸運の持ち主だ。
そして、真新しい市立青南高校校門とても明るいとは言い難い表情で通過したこの少年は前者にも当てはまらず、かと言って後者でもない。
黒い短髪で身長は170代中半。ひょろりとした体つきで、優しい目をしているその少年。
彼の出身校はアオコウの最寄駅から4駅離れた場所に有る。彼にとってこれが初めての電車通学であった。
少年はこれからのことが不安だった。
レベルの高いこの学校でやっていけるのか?新しい交友関係を築けるのか?
彼は一年の昇降口に入ると自分の番号が書かれた下駄箱に指定された真新しい革靴をしまう。
緊張しているから、妙にぎこちない動きに見えた。
バックから真っ白の上履きを取り出しそれを床に置く。トントンとつま先で床をつつき履き慣らすと周囲を見渡した。
彼の知っている顔はないようだった。
手元の先ほどもらったプリントに書いて合ったクラス番号と出席番号を確認して歩を進める。
1年6組。その教室の前で止まる。ここで一年間過ごすのかと感慨深くそのドアを見つめたあと、ガラガラと音を立て教室に入った。
その瞬間、既に教室内にいた生徒たちの視線が一斉にこちらに向けられるのを感じ、不思議な気分になる。
生徒の数はまばらでまだ来ていない人の方が多かった。教師の姿はない。
生徒皆は皆席についていて誰かと早速打ち解けようという考えの人はいないようだ。
黒板に示してあった座席表に従って席に着く。窓際から三列、前から四番目。
腕時計を見ると集合時間まであと十分くらいある。
暇だ。心の中でそうつぶやき、数人の頭越しに窓の外を見る。
校庭に咲いた桜。雲一つない空。風で揺れる草花。その全てがここ青南高校をかたどっているようだ。
春のあったかいよう気を感じ、思わず出てきたあくびをどうにか噛み殺す。
いつの間にか、彼の感じていた不安は消え、楽しみへと変わっていた。
ガラガラと音がするたびにみんなでその方向を見る。最初はその一人だった彼もいちいち見られる側がたじろいてしまうので、ほおずえを付いて窓の外を眺めていた。
ガラガラ。皆が視線を動かす。その繰り返しが案外クラスで初めての合同作業かもしれないなと思った。
そうこうしているうちに、教室に来てから十分が経過。クラスの生徒用の席は全部埋まっていた。
ガラガラ。例の合同作業。今回の視線の先には一人の女性教師がいた。
歳は二十代後半から三十代前半だろうか。身長は165センチくらい。細い体にスーツがよくにあっていた。
「みなさんおはようございます。入学おめでとう。私は担任の松原 環といいます。」
松原先生はここで言葉を切り生徒を見渡す。スタイルのいい人だなと思ったのは彼だけではあるまい。
生徒たちが緊張した面持ちで自分の顔を見つめているのを見て先生はフフッと笑う。
「みなさん。そんなに緊張しなくていいんですよ。これから一年間、一緒に過ごしていく仲間なんですから楽しくいきましょうね。」
先生も緊張している一人だろう、と思うが口には出さない。特に誰からの反応も得れない先生は寂しそうな顔をして、これからの動きについて説明し始めた。
「ええと、これから出席番号順で並んでもらいます。あ、廊下にです。40分には入場していたいので素早くお願いします。」
ガタガタと席を立つ生徒たち。並ぶのには5分もかからなかった。なぜなら先ほど座っていた席も番号順で、流石に前後の人くらいはわかる。
6組は一番西側の教室で、最も体育館から遠いところにある。その点は一組が羨ましい。
体育館に入ると、既にほかの五つのクラスと新入生の保護者がパイプイスに着席していた。
それにならって席に着くと、すぐに司会の男性教師が喋り始める。進行はスムーズに進み、校長先生の話、PTA会長の話の内容がほとんど同じに思えたこと以外はいたって普通の式である。
生徒代表として登壇する小椋サンが同じクラスだったことには驚いた。
国歌を歌って式は終了。
司会によるとこのあと各クラスでオリエンテーションを行う予定だそうだ。そしてその後桜の木の下で記念撮影、解散、という流れだ。
教室に入り席に着くと、小椋サンと席が意外と近いことがわかった。
斜め左後ろに小椋サン。 後ろと左に男子。前と右に女子が座っている。
松原先生が教室に入ってきて、出席簿を開ける。
「じゃあ一番の人から名前を呼びますので、軽く趣味とか話してくださいね。えーと、ちなみに私の趣味は買い物です♪それでは、赤川太一くん」
「赤川です。サッカー部に入ろうと考えています。一年間よろしくお願いします。」
拍手ー。
次の秋元サンはテニス部、飯島サンはバトミントン部...というように、趣味を話す人はいなくて入りたい部を言っていくという流れが出来上がった。
「次は小椋さん、どうぞ。」
「小椋、小椋真由美です。えと、軽音部に入ります。よろしくお願いします。」
登壇していた時の彼女はその存在感が大きく、凛とした雰囲気があったが近くで見ると小柄で、愛らしい雰囲気のある子だった。
川島、川端、岸、北村と続き、いよいよ彼の番が回ってきた。
北村の紹介が終わると名を呼ばれる前に立ち上がる。
「九条遼太。軽音部に入ります。ギター担当。よろしくお願いします。」
駄文でしたが、読んでくださりありがとうございました。




