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12月のセレナーデ

12月のセレナーデ


【主な傾向】オリジナル、Publishing Link投稿作品

【関連作品】その時になって、やっと / 俺とアイツのシャレード / アリベデルチ

【厳重禁止】無断転載、無断転記、無断引用、無断使用

私…瀬尾貴子は高校生になったらバイトをすると決めていた。

バイト先は家の近にあるコンビニ。

私は小学生の頃からこのお店で働く事が夢だった。






【12月のセレナーデ】






コンビニ/レジ




「七十八円のお返しです。」

「ありがとうございました。」

「いらっしゃいませ。」



お昼のお弁当ラッシュ同様夕方もスタッフ総出でレジへ立つ。

込み合う時間帯は基本的に二人一組。

まだ接客経験の浅い新人さんと長期勤務している店員が組みレジをスムーズに動かす。

長期勤務している店員が客とやりとりをしているその横で新人はお弁当を温めたり商品を袋に入れたり…と言った補佐に回る。



「いずみちゃん それ違う!」

「えっ?」



お弁当に付ける箸を袋へ入れようとする新人バイト…神戸いずみちゃんに私は"待った"を掛けた。

確かに今袋に入れたのはお弁当だけれど商品名は天津飯だ。

この場合は箸ではなくスプーンを付ける方が正しい。



「貴ちゃんありがとう。」

「うん。」



小声でいずみちゃんとやり取りをしながらふと数か月前の出来事を思い出した。

私もバイトに慣れていなかった頃似たような失敗をしていた。

まあ正直な話私の方が今のいずみちゃんよりも酷い失敗をしている。

カップアイスを買いに来た客へアイスクリームスプーンではなく割り箸を渡したのだ。






『ありがとうございました』

『貴子ちゃん! 今のお客さんに渡したものって…』

『えっ …あっ!!!』



お弁当をレジに出すお客さん達の流れでカップアイスを買いに来たお客さんにも箸を渡してしまったのだ。

慌ててお客さんを呼び止めようとしたもののカップアイスを買ったお客さんはもう店の外へ出てしまっていて-…

然し翌日…前日に割り箸を間違えて渡したお客さんはもう一度店に来た。

そして昨日と同じカップアイスをレジに…私の前に出したのである。



『あの 昨日はすみませんでした』

『?』

『えっと 割り箸…』

『ああ… 気にしてない』



私の謝罪は思っていたよりも随分呆気なく終わってしまった。

めちゃくちゃ怒られるとは思っていなかったけれどこうもあっさりとした返事だと少し拍子抜けだ。

でもまあ取り合えず謝罪は出来たし私の気持ちはスッキリ晴れ晴れだ。



『ありがとうございました』






コンビニ/商品棚




「貴ちゃん! 貴ちゃん!!」



トイレから戻って来たいずみちゃんに声を掛けられハッと我に返る。

危ない…ボーッとしていた。



「アイス男! 来た!!」



チョイチョイと右手人差し指を軽く動かすいずみちゃんの指から出入り口へと目を向ければ丁度"アイス男"と呼ばれた若者が店内へ入って来たところだった。

"アイス男"とは私がスプーンと割り箸を間違えて渡してしまったあのお客さんの事である。

彼はあれから毎日アイスクリームだけを買いに来ている。

七か月前からずっとだ。



「来週クリスマスなのにねえ。」



季節が秋に移ろうとしている頃あたりから彼はコンビニ店員の中で"アイス男"と呼ばれ始めた。

勿論本人はその事を知らない。

私達が勝手にそう呼んでいる。



「今日この後雨って天気予報で見たよ。」



天気予報では明後日から今年初雪の予報だ。

今は十二月中旬とありどちらかと言えばチキンや肉まんがよく売れるのだがー…

寒い外からやって来たにも関わらずアイス男はやはりカップアイスだけをレジに置いたようだった。

アイス男は"暖房が暑くてアイスを買う"ようなタイプの体型ではなく…どちらかと言えば細身の高身長だ。

同じバイト仲間の加藤くんと同じくらいの背丈…そして年齢であると私は推測する。

高校生である私よりも年上の成人男性(推定二十代後半)だ。

そんなアイス男は決まって十六時前後にコンビニへやって来る。

それ以外の時間には現れない。

私といずみちゃん…そして加藤くんが入っている勤務時間帯に必ずその姿を見せるのだ。

そのうちいずみちゃんがアイス男=妖精説を熱く語り出しそうだ。






コンビニ/レジ




「この寒いのによくアイス食べるよねえ。」



何時も通り十六時に店へ入って来たアイス男のレジを済ませ(やっぱり会計はカップアイスのみ)二人して店から出た彼を視線だけで見送る。

ぐつぐつと煮えたぎるおでんの音を聞きながら私はいずみちゃんと少しだけ雑談を始めていた。



「何かの願掛けなのかも。」

「あ! その発想はなかった!!」



"でもアイスに願掛けって変なの"と笑ういずみちゃんにつられ私も笑った…けれどー…

ふっと私の頭の中にもう一つの考えが過った。



(もしかして…誰かのお供え物…?)



そうだとしたら笑うのはとても失礼な事だ。



「いずみちゃん もしかしたらだけど…」

「つーか お前らのどっちかに気があるんだろ?」



どんどん悲しい想像を膨らませる私の左隣へ言葉と共に加藤くんがトイレから戻って来た。



「えっ 何それ。」

「何もそれも そう言う事だろう。」

「えっ どう言う事?」



ポカーンとしているいずみちゃんと眉を寄せる私に加藤くんは"だから"と言葉を続けた。



「いずみか貴子のどっちかに気があるから決まった時間に来るんだろ。」

「「えええっ!?」」

「アイスを毎回買うのだってお前らのどっちかにツッコミして欲しいからじゃねえの?」

「えっ じゃああのアイスってボケだったの!?」

「ボケとツッコミを経て 親密になろうって言うところだろ。」



"七か月も健気な男だ"と加藤くんは自身の首を何度も上下へと振り…その度彼のトレードマークでもあるドレッドが小刻みに揺れた。



(まさかずっとボケを振られていたとは…)

「ねえねえ 貴ちゃん!」



アイス男の七か月間にも及ぶボケについて考えていると制服の端をグイグイと引っ張られた。

引っ張られるままに目を向ければいずみちゃんと目が合った。

正確には彼女の瞳に幾つも輝く星をこの目で見た。



「どっちがツッコミを入れる?」

「えっ…」

「いずみ彼氏いるけどツッコミしても良い?」

「あ…うん… 良いんじゃない?」



正直そこまでツッコミがしたい訳ではなかった私はその役目をいずみちゃんへと託した。






「まぁ~たアイスかいっ!」

「…」



翌日もはやり店に来たアイス男へレジに立っていたいずみちゃんが右手を大きく振りながら勢いをつけてつっこんだ…のだけれどー…



「「…」」

「ありがとうございました。」



アイス男はいずみちゃんのツッコミに特に何を言うでもなく…黙って店を出て行った。



「ちょっとおおおおお! どう言う事なのおおおおお!?」

「やはりツッコミ待ちではなかったか…」

(あー… 私言わなくて良かった…)

「カトちゃんの嘘吐きいいいいいい!!!」



"やだもう恥ずかしい!"と顔を赤らめ加藤くんの右腕をポカポカと叩くいずみちゃんは可愛い。



「貴ちゃんも笑ってないでカトちゃんを怒ってよお!」

「あー悪かった悪かった。いずみ悪かった。ごめんなあ?」

「何その謝り方! ちっとも悪かったって思ってないでしょ!!」

「まあまあ いずみちゃん…」



"落ち着いて"と興奮しているいずみちゃんを慌てて宥めれば彼女は暫くの後ムスリとその顔を顰めさせる…に態度を留めた。

今店内にお客さんが居なくて良かった。



「と言う事で 貴子に決まりだな!」

「は? 何??」



自信満々で人の名前を口にする加藤くんを見上げれば彼はニヤニヤと…実にいやらしい笑みを浮かべていた。



「アイス男の本命はお前だ。」

「…は?」

「あ! そっか!!だからいずみガン無視されたんだねえ~!!!」



"なるほど納得納得!""だろー!"と楽しそうに会話を進めるバイト仲間二人の思考についていけず私は呆然と二人を見る。



「貴ちゃんがツッコミしなきゃいけなかったんだねえ~!」

「貴子 お前ちゃんと明日ツッコミ入れろよ!」

「…バカじゃないの?」






瀬尾宅/貴子部屋




「次の式を因数分解せよ。」



アイス男が私の事を好きだと言うのは嘘だ。

これは全く自慢にもならない話だけれど私は生まれて十七年間誰とも付き合った事がない。

"通っている学校が女子高だから出会いがない"とそう言ってしまえば楽だけれど女子高に通っていても彼氏がいる子はいる。

学校を言い訳にしたくない。

私は自分がモテない部類の人間だと自覚している。

だからアイス男が私の事を好きだなんて…そんな事有り得ない。

絶対に有り得ないのだ。



(…でも…)



例えば仮にもしも本当にアイス男が私の事を好きだったらー…

どうしよう。

私はどうしたら良いのだろう。

"ごめんなさい"と断ったら彼はもうお店に来なくなってしまうのだろうか。

好きだった相手に振られたら顔を合わせ辛いとよく漫画で目にするもの…アイス男もきっと来なくなる。

そうしたら多分もう彼と会う事は無い。

彼が何処に住んでいるかなんて解らないけれど今のようにカウンターを挟んで彼と向かい合うと言う事がなくなる。

七か月ほぼ毎日顔を合わせていた彼と突然…会わなくなるのだ。

彼と会わなくなった私はそれからの毎日に慣れていくのだろうか。

彼が毎日お店に来る事に慣れてしまった現在のように…慣れてしまうのだろうか。



(…解んない…)



数学の宿題プリントもアイス男の事もなかなか答えに辿り着かない。

私は唸りながらそのまま机上に突っ伏せた。






コンビニ/更衣室前




「どうして断るって言う選択しかないの?」

「えっ…」



翌日重い気持ちでバイトへ入ろうとする私に更衣室にて携帯電話の着信を確認しに来ていた沙也香さんが声を掛けてくれた。

沙也香さん…細田沙也香さんは私が入っているシフトの一つ前の時間帯で働くパートさんだ。

実は沙也香さんは私がこのコンビニで働きたいと思ったきっかけを作ってくれた人である。

私と沙也香さんの出会いは十年程前になる。

当時まだ小学生だった私は働く沙也香さんの姿に強く憧れ"絶対将来このコンビニで働きたい"と思った。

そして念願叶ったり…勤務時間帯は異なるものの私はこのお店で憧れだった沙也香さんと共にこうして働く事が出来ている。

勿論今も彼女は私の憧れの人に変わりはない。

綺麗で頼りになりしっかり者の気配り上手ー…

沙也香さんはまさに私が"なりたい"と望む理想の女性だ。

そんな完璧な女性に"どうしたの"と聞かれてしまっては話すしかない。

否…私はきっと心の何処かで沙也香さんに悩みを聞いて欲しかったから話したのだと思う。



「貴子ちゃんはどうして断るって言う選択を出したの?」

「それは…だって私の事を好きとか…有り得ないし…」

「どうしてそう思うの?」

「だって…私…今までそう言う事言われた経験一度もないし…」

「今までなかった事はこれからもない事なの?」

「それは…」



昨夜自分で自分に何度も問い訊ねた言葉が沙也香さんの口より次々と出て来る。

私は沙也香さんの投げ掛ける言葉に言い返す言葉が見付けられずグッと口を閉ざす。

本当は自分でも解っている。

私はただ…私はー…



「大丈夫だよ 貴子ちゃん。」



沙也香さんの手がぽんと髪に触れた。



「貴子ちゃんはもうちょっと自分に自信を持っても大丈夫だよ。」

「沙也香さん…」



沙也香さんに優しく髪を撫でて貰えば不思議と私の心はスッと軽くなっていった。



(ああ… 私もうちょっと…自信…持ってみようかな…)



大好きな沙也香さんに相談して良かった。

話して…良かった。



「でもまさか恋の悩みだったとは… 若いわね!」



"あまりにも悲壮感を漂わせてたから一体何事かと思ったわ"と笑う沙也香さんに私はまたも口を閉ざす。

今度は恥ずかしくて言葉が出なかった。






コンビニ/レジ




「いらっしゃいませ。」



その日もアイス男はやって来たけれど私はツッコミをせずそのまま何時も通り見送った。

いずみちゃんと加藤くんが煩かったけれど私はアイス男…彼を目で追うのに忙しかった。

私の心は確実にアイス男を気にし始めていた。



(…あ… 意外と睫毛が長い…)



レジを挟んでアイス男を見上げる事数日ー…

七か月も顔を合わせていて気にも留めなかった色々な事が今の私の目には新鮮に映る。



(…あ… 吹き出もの…)



そして私が持っていたアイス男に対しての興味はここ数日でどんどん好意へと変わっていった。

私は多分…恐らく彼の事が好きだ。






コンビニ/店奥




「あれ 沙也香さん探し物ですか?」

「貴子ちゃん…」



クリスマスを明後日に控えたその日ー…

勤務を切り上げ私達にそろそろ引き継ぎを始める時間にも関わらず沙也香さんは店奥でその顔を引き攣らせていた。

嫌な予感がして沙也香さんへ慌てて駆け寄れば案の定…トラブルが発生していた。



「お店手前のレジ 一つ壊れちゃったみたいで…これから店長に連絡を入れるところなの。」

「えっ この忙しい時期に壊れちゃったんですか!?」

「あと お客さんから注文を受けたクリスマスケーキ予約…今日になって注文数が増えたの。予備用に受注したもので対応しようと思ったんだけどそれでも数が足りなくて。それで発注先に追加の注文をしようと思うんだけど発注先の電話番号をメモした付箋が見当たらないのよ。」

「えっ!」

「いらっしゃいませ。」



取り合えずレジを加藤くんに任せた私といずみちゃんは沙也香さんと共に店奥にて発注先の電話番号(が書いてあるメモ)を探す。

注文キャンセルならまだしも追加注文は店としても必ず受注したい。



「昨日までそこのPCの横に貼ってあったよね!?」

「うん いずみも見た!ピンクのハート型付箋でしょ?店長あー見えて可愛いもの好きだよねえ。」



いずみちゃんとどうでもいい会話を交わしながらも手と目はしっかりと動かす。

然しどれだけ床へ視線を向けてもピンクの付箋は目に入って来ない。



(粘着が弱まって床に落ちたと思ったけど…もしかしたら誰かがゴミだと思って捨てちゃったのかな…?)

「沙也香さん ゴミは見ました?」

「まだ!」

「じゃあ私 ちょっと見て来ます!」

「あ 貴子ちゃん待って!私も行く!!」

「いずみも!」

「いずみちゃんは店長に連絡とって! レジが壊れたって言えばきっと店長が業者の番号を教えてくれると思うからソッチの対応をお願い!!」






コンビニ/店外




「あったー!!!」



二つ目のゴミ袋を開けて数分…私と沙也香さんはぐしゃりと丸めまれた状態のメモを無事発見する事が出来た。



「良かったぁ~!」

「あとは私が引き継ぎます。沙也香さんはあがってください。」

「そう? じゃあ…甘えちゃおうかな??」



沙也香さんから注文変更のメモと注意事項を引き継ぎ私は混み始めたレジへ…沙也香さんは更衣室へとそれぞれ足を向かわせた。

レジのヘルプに入る途中腕時計へ視線を落とせば既に沙也香さんの勤務時間は三十分も超えていた。



(ああ…沙也香さんって本当…理想だ…!)



トラブルの内容を口頭で済ませ"あとはよろしく"と言うような事を沙也香さんは絶対にしない。

改めて私は沙也香さんの事を格好良いと思った。






コンビニ/レジ




「貴ちゃん! 今店長から連絡が入って十九時には業者がレジを直しに来るって!!」

「ありがとう またお願いして悪いんだけど…加藤くんのレジフォロー少しだけ代わってくれる?私ちょっと発注の電話をして来る。」

「はーい!」



トラブルが重なったその日はとにかくバタバタで…珍しくアイス男と顔を合わせていない事に気付いたのはバイトからの帰り道だった。



「…あ… 粉雪…」






コンビニ/店奥




「貴子ちゃん! 昨日はありがとうね。」

「いえいえ。」



クリスマスを明日に控えた翌日ー…

バイトに入って早々沙也香さんから昨日のお礼を言われた。

今日は授業の関係でギリギリにバイトへ滑り込んだ私をどうやら沙也香さんは上がらずに待ってくれていたらしい。

少し照れくさい気持ちになった。



「いらっしゃいませ。」

「あ。」



沙也香さんと話している途中アイス男が店にやって来た。



「どうしたの?」

「あ…えっと…」



つい条件反射で出してしまった声を上手く誤魔化す事が出来ず…私は沙也香さんへ正直に話す。



「今お店に入って来たあの作業着の男の人が…アイス男です。」

「えっ!」



私が説明し終えると同時沙也香さんはアイス男へとその視線を向ける。

アイス男が店にやって来る時間帯は何時も沙也香さんはあがる準備(引き継ぎや片付けなど)をしている為沙也香さんは今まで…私が相談するまでアイス男の存在を全く知らなかったそうだ。



「あら…本当にアイスだけを買って行くのね。」

「はい。」



今日もアイス男は何時ものカップアイスのみをレジに出している。

因みに外は今控えめに粉雪が舞っていた。



「ふふふ なかなか貴子ちゃんに似合いそうな青年だと思うけど。」

「からかわないでください!」



沙也香さんに腕を突かれながら私はアイス男を見詰める。

似合うと言われて恥ずかしかったけれど悪い気はしない。

寧ろドキドキする。

内心でそんな事を考えながら少し顔を緩めた瞬間ー…



バチッ!



「!」



アイス男と目が合った。

何時も会計を済ませるとそのままよそ見する事なく店から出て行くのに…今アイス男はコッチを見ている。

私を…見ている。

アイス男が…私をー…



「っ!!!」



私は慌ててアイス男から視線を外した。

"何で""どうして"と一気に思考がパニックとなる。

見過ぎていたのだろうか。

私の視線が強過ぎたのだろうか。

今私は自分でもはっきりと解る程顔を赤くしている。

恥ずかしい。

どうしよう。

こんなロコツな態度をしていたら解ってしまうのではないだろうか。

伝わってしまうのではないか。

私がアイス男を好きだと言う事が…アイス男にー…



「あ… もしかして…」

「えっ?」



カッカッカと赤くなる頬を手で覆う私の隣に立っていた沙也香さんが何かを呟いた…と同時沙也香さんは私の隣から前へとその身を動かす。



「えっ…?」



気付けば沙也香さんの身体は私の斜め前にあった。

アイス男がその身を翻し店から出て行こうとする背に引かれるかの如く沙也香さんの身体も何故か私から離れて行く。

つい先程まで私の隣に立っていた沙也香さんは店の外へと出たアイス男を走って追い駆けて行ったのだった。






道路/歩道




バイトからの帰り道沙也香さんからの受信メールを開いた。

沙也香さんからのメールには私が知らなかったアイス男の事が詳しく書いてあった。

アイス男こと戸塚さんは沙也香さんの知り合いだった。

否正しくは沙也香さんの実家近所に住んでいた所謂"顔馴染み"らしい。

"最近全く会ってなかったから気付かなかった"と沙也香さんのメールには文の最後に可愛い絵文字が添えてあった。



「…はあ…」



携帯をパクッと閉じ空を見上げる。

真っ黒な空から白い雪が音もなく私に落ちて来る。



「沙也香さんがライバルなんて…」



アイス男は沙也香さんの事が多分好きだ。

あの後レジに入りながら店前で話す二人を見ていたけれどアイス男は沙也香さんに笑顔を向けていた。

とても嬉しそうに笑っていた。

話し終え沙也香さんが店に入ってからもアイス男は沙也香さんのその姿を見送っていた。



(…馬鹿みたい…)



"私の事を好きかもしれない"なんて浮かれて…馬鹿みたい。

結局違ったなんて笑える。

こんな事なら"好きかもしれない"なんて考えるんじゃなかった。

いずみちゃん達の言葉を真に受けるんじゃなかった。

馬鹿みたい…本当に馬鹿みたい。

こんなにアイス男の事を好きになっちゃうなんてー…



(…私の…馬鹿…!)



顔についた雪を拭いながら私は少し歩く速度を落とした。

今年のクリスマスイブは例年のそれと異なりあまり寒さを感じなかった。






コンビニ/レジ




「ありがとうございました。」

「いらっしゃいませ。」



クリスマス当日の店内は何時も以上に慌ただしい。

注文していたケーキを店頭受け取りに来るお客さんに新たにケーキを買いに来るお客さん。

期間限定の商品を買いに来るお客さんにXmasチキンやナゲットを買いに来るお客さんー…

店は店長がヘルプに入ってくれ四人で何とか回せていると言う状態だ。



「いらっしゃいませ。」

「ありがとうございました。」



私は忙しければ忙しい程目の前の事に集中出来た。

余計な事を考えなくても良い忙しさは楽だった。



「少し波が引いて来たから今のうちに交替でトイレ休憩済ませて来て。」

「「「はい。」」」

「いらっしゃいませ。」



店長の提案に返事をしたと同時アイス男が店へとやって来た。

アイス男は何時ものようにアイスコーナーへ向かうも昨日同様店奥へと視線を動かしている。

私はその動作に彼が沙也香さんの姿を探しているのだと直感した。

現在いずみちゃんと加藤くんがトイレ休憩に入っている為レジは私と店長の二人だった…のだがー…



「いらしゃいませ。」



私は自分が立っていたレジに休止中プレートを置くとすかさず店長のレジへとヘルプに入る。

レジが一つしか稼働していない状態のである為必然的にアイス男は店長のレジへと並んだ。



「あの 瀬尾さん…レジに入るなら向こうへ…」

「いえ 私も直ぐトイレ休憩に入りたいんで。」



私はひたすら不満そうな言葉を向けて来る店長を右から左へと聞き流す…所謂無視だ。

私は自身の真横に立つ店長ではなくレジを挟み立つアイス男へその視線を留める。

アイス男は何時もと同じカップアイスをレジに置いた。



(…)



店長が会計をする横で私は商品をレジ袋へ入れる。



「ありがとうございました。」

「店長 私今のお客さんに割り箸を渡してしまったんで追ってきます。」

「えっ… ちょ…!瀬尾さん!?」



自分でも信じられなかったけれど私の身体は店から出ていくアイス男を無意識に追っていた。






道路/歩道




「あの!」

「…」



コンビニを出て直ぐの四つ角で私はアイス男を呼び止めた。

アイス男は振り返るなり驚いたような顔を浮かべていた。



「間違えて割り箸を袋に入れてしまったので…」



私は本来渡すべきアイスクリームスプーンを右手に持ちながらそのままアイス男が持つコンビニの袋へと指を向けた。

アイス男は自分が手に持つ袋の中を一度確認した後で再び私へその視線を向ける。



「ああ… どうも。」



本当は間違えたのではない。

わざとアイスクリームスプーンを入れなかったのだけれど私は彼に"間違い"を装った。



「どうぞ。」



持って来たアイスクリームスプーンを改めてアイス男に向け差し出せばアイス男からも私へ手を伸ばした。

私はアイス男の手にアイスクリームスプーンが触れるギリギリのタイミングで自分の手を引っ込める。

私からアイスクリームスプーンを受け取る筈だったアイス男の手は宙で止まった。



「…あの?」

「沙也香さんには旦那さんがいます。」

「!」



私の言葉にアイス男は顔を解りやすく変えた。

驚いたような顔から睨み付けるような表情へと変えたアイス男に私は言葉を続けた。



「沙也香さんはもう他の人と結ー…」

「アンタ誰?」

「!」



冷たく言葉を遮られ私はつい委縮してしまった。

アイス男は当たり前だけれど怒っているようだった。



「こっ コンビニ店員です。」

「見れば解る。」

「…」



男の人に面と向かって睨まれた経験のない私はどうして良いか解らず自身の視線を気まず気に下げた。

取り合えずアイス男の視線から目を逸らした…もののー…

頭上へは痛い程強い視線を感じる。



「…」



正直逃げ出してしまいたいけれどまだ…逃げ出せない。



(まだダメだ…)



まだ私は何も言えていない。

伝えていない。

この人に言わなければいけない事を言えていない。

今逃げたら私は何の為にこの人を追って来たんだと言う話だ。



(逃げるのはちゃんと… 伝えてからだ…)



それからだ。



「…」



黙る私に痺れを切らしたのかアイス男は苛立ったような声を出した。



「アンタには関係ねえだろ 余計なお世ー…」

「…あります…」

「…は?」



俯いたまま発した私の声はアイス男の耳にちゃんと届いたようだった。

聞き返して来たアイス男の声に私は"今だ"と勢いよくその顔を上げる。



「 好 き で す ! 」



思い切り…それもヤケクソ気味に声を張り上げながら私はアイス男へ自分の気持ちを伝えー…

そのまま全速力で来た道へと逃げ戻った。



(言った…! ついに言った!!ちゃんと言った!!!)



走りながら自分の心臓がとても速くなっている事を感じる。

生まれて初めて告白したせいなのかそれとも今全速力で走っているせいなのか…胸がドキドキしている。

痛くて苦しくて落ち着かない。



(これでちゃんと… "好き"が終われる…!)



私はアイス男のように報われない恋をしたくはないし出来れば引きずりたくもない。

私は私の事を好きだと言う人と幸せな恋がしたい。

だからアイス男の事を想うのは今日で終わりにしようと考えた。

元々私は勘違いで彼を好きになったのだ。

この恋は勘違いだったのだから傷付く必要も泣く必要もない。



(大丈夫… もう全部終わった…)



十七歳のクリスマス…私は生まれて初めて好きになった人へ告白(言い逃げ)をした。

今日みたいな事は後にも先にもこれきりだと信じたい。

ただきっと私はおばあちゃんになっても多分今日の日の事は覚えているだろう。






コンビニ/レジ




「と言う訳なので暫くレジを代わってください。」

「「…」」



翌日バイトに入って早々いずみちゃんと加藤くんに私は大分はしょった事情説明をした。

本当は昨日の事を全部黙っていたかったけれど昨日私が抜けていた間フォローしてくれたらしいので隠したままと言うのは何と言うか…筋が違うと言うかー…

ぶっちゃけ今後アイス男が来店する度二人に冷やかされる私の心のイラつきを考えると二人には話しておいた方が楽だと思った。

勿論"振られた"としか話していない。



「ええー! 意外!!てっきり昨日お付き合い始めましたーとかそう言う報告かと思ったー!!!」

「俺も。」

「うん… 期待に応えられなくてごめん…」



私昨日バイトに戻ってから一言も私語をした記憶がない上にずっと暗かったと思うのだけれど何でその状態を見ていて上手くいったと思ってたんだろうこの人達。

まあそもそもこの二人の勘違いに乗っかっちゃった事がそもそもの原因なんだよなあ。



「貴ちゃんも好きじゃないならアイス男は何しにアイス買いに来てるんだろうね?」

「単にアイスが好きなんだろうな。」

「いやあ 実は加藤くん目当てだったりして。」

「はあ!?」

「うひゃあー! ソッチ?実はソッチの人??」



馬鹿な冗談を言いながら冗談を言える自分にホッとする。

思っていたより私の傷は全然浅いのかもしれない。



「いらっしゃいませ。」



ばっ!



「貴ちゃん貴ちゃん アイス男じゃないよー?」

「…うん…条件反射でつい…」



お店の扉が開く度アイス男が来たのではないかと腰を屈める事本日数回ー…

時計に目を向ければそろそろアイス男がやって来る時間帯だ。



「じゃあ私 気まずいから少しの間店奥に隠れてる。」

「あ 貴子!ついでにクリスマス関連撤去商品整理しといて!!」

「…」

「よろしくー♡」






コンビニ/店奥




「…」



段ボールに乱雑に突っ込まれている様々なクリスマス商品をひとつずつ別の段ボールへと入れる。

こう言う作業は何時も大体沙也香さんが率先して仕分けてくれるのだけれど沙也香さんは昨日から休暇申請を出している。

年明けまで旦那さんと海外旅行だと言っていた。



「…」



何か私もアイス男もこの売れ残りのクリスマス商品も…惨めだ。



「貴ちゃん貴ちゃん! アイス男が来たよ!!」

「…そう…」

「貴ちゃん 呼んでって。」

「…は?!」



クリスマス商品を分別し始めてからまだ一分も経っていないと言うのにいずみちゃんが店奥まで私を呼びに来た…と言うかー…



「はあ!? 何で!?!」

「えー 知らない。」



アイス男が私を呼んでるってどう言う事だ。

アイス男は沙也香さんが好きで私には興味も何もない筈でー…

もしかして律儀に昨日の言い逃げの返事…とか。

無理だ。

嫌だ…会いたくない。



「いずみちゃん 気まずいから"いない"って言って!」



ここでのこのこ出て行ったら店奥に引っ込んだ意味がまるでない。

"振られた"ってちゃんとさっき説明したのにいずみちゃんの思考回路はどうなってるんだ。



「えー でももういるって言っちゃったしー…」

「いずみ レジー!」

「あ はーい!アイス男は店の裏で待ってて貰ってるよー!!」

「えっ ちょ…!いずみちゃん!?」



いずみちゃんは加藤くんの声に良い返事を返すと私の前から笑顔で去って行った。



「…ちょっと… 嘘でしょ…?」



一方店奥にぽつりと残された私は今更店内へ戻る事が出来ずー…

私はアイス男からの逃げ道をいずみちゃんの強引な了承により完全に閉ざされてしまった。






コンビニ/店裏(店員専用駐車場)




(…うわ… 本当に居る…)



店奥にあるスタッフ専用扉からそっと外を覗けば加藤くんのバイクヘルメットをまじまじと見詰めるアイス男の姿が目に入った。

アイス男はその場から動く事なくじっと立っている。



(…どうしよう… 出てくのやだな…)



いずみちゃんからの伝言を聞かなかった事にしてこのままそっと扉を閉めてしまおうか。

元々私はアイス男と顔を合わせるつもりはなかったのだしこの状況はいずみちゃんが勝手に返事をしたものだ。

私はちゃんと"断って"といずみちゃんに頼んでいたもの。



(顔を合わさないのも これもまた運命…)



私は開けた扉をゆっくりと自身へ引き寄せる。

私の中で今目にした光景は見なかった事にしようと決めた…のだがー…



ギイイイエエエエ…



再び静かに閉めようとした筈の扉は淵錆のせいかとても耳障りな…悲鳴のような音を上げた。

これはきっとばれた。

アイス男に私の居場所が確実にばれた。



「「…」」



扉をこれ以上引くに引けない私は気まずさいっぱいでただただじっとノブを握る。

現在私は上手い事扉を盾にしアイス男と自分の間に百七十センチ程の高さのアルミ製壁を作った状態で全身硬直中だ。

扉がお互いの視界を遮っている為目を真っ直ぐ向けても目前には扉しか映さない。

この状況は私には都合が良かった…けれどー…



(…気まずい…)



気まずい空気は変わらない。

かと言ってアイス男の前に出ていきたくはなかった。

私は昨日家へ帰ってからアイス男に告白した事を物凄く後悔した。

恋愛初心者の私は好きになったからにはやはりけじめとして相手にちゃんと想いを伝えるべきだと考えー…

私はアイス男への告白を決意するなりそこへ辿り着くまでの過程を入念に考え告白計画を練った。

私が告白したところでアイス男に振られる確率は百%…しつこいけれどアイス男は沙也香さんが好きなのだ。

だから例え地球がひっくり返ったとしてもアイス男が私にする返事はNOである。

つまり私は告白をしても振られるのだ。

逆を言えば絶対にOKされないのだから"今後アイス男と付き合う事になったどうしよう"などと悩む必要はないのである。

それに振られる事は解っているのだからわざわざ悲しい返事を聞く事はない。

そうだ言い逃げをすればいい。

自分の気持ちをキチンと伝えた後は逃げてしまおう。

結果は解っている上に多分私は恥ずかしさに圧されパニックとなっているだろうから…と言う勝手な言い訳や理由をこじ付け私は昨日アイス男へ一世一代の大告白をした訳だけれどー…

果たして言う意味はあったのかと。

けじめは自分の中でつければ良かったのではないかと。

わざわざアイス男に気持ちを伝える必要はあったのかと…告白の余韻から覚めた頃急にそんな考えが頭を過る。

私が自身の中だけでアイス男に対する気持ちをなかった事にすれば…気持ちを自然消滅させてしまえば良かったんじゃないかと気付いたら最後。

私は自分の行動の間抜けさに顔を覆った。

"顔から火が出る""穴があったら入りたい"…まさにそんな気持ちだった。

時間を戻せるのなら戻したい。

出来れば昨日の…クリスマスの朝からもう一度やり直したい。



(まあ… やっちゃったものは仕方がないけど…)



この気まずい空気を引き起こしている原因は紛れもなく私だ。

"やっぱりこのまま扉を引いて閉めてしまおうか"と言うずるい考えが頭に再び過り始めた…その時ー…



「昨日の店員さん?」

「えっ はははふあい!」



アイス男の問いにどもった上声がひっくり返る。

最悪だ…恥ずかし過ぎる。

もうやだ帰りたい。



「あーっと その…昨日は…ごめん。」

「…いえ…」

「あと その…ごめん。」

「…いえ…」



二回目の"ごめん"は私が告げた"好き"と言う言葉に対しての返事なのだろう。

私はアイス男へ素っ気ない返事を返しながらも自身の胸に手を当てる。

昨日と同じくらい心臓の動きが早い。



「…」



解っていた事だけれど実際聞くと堪える。

目頭が自然と熱くなった。

周りに言われて意識を始めた恋だからもしかしたら私の恋は世間一般の恋とは少し違うかもしれないと考えた事があったけれど…どうやら私はちゃんとアイス男の事が好きだったようだ。

アイス男の返事にショックを受ける程私はちゃんとこの男の人の事が好きだったのだ。

今になって…今更変な安堵感と自信が胸をくすぐった。



「その… ありがとう。」



前方から聞こえた言葉に思わず顔を上げる。

今の言葉はアイス男が言った言葉であっているのだろうか…いやアイス男の声だった。



(振られたけど… お礼を言われた…)



アイス男にしてみたら迷惑でしかない私の気持ちにお礼を言われるとは思わずよく解らないけれど…上手く説明出来ないけれどー…

私は自身の身体を反射的に扉前へと出した。

驚いたようなアイス男の顔を直視しながら考えた事は先程のような"恥ずかしい"ではなくただただ単純に…彼に対する想いだった。

全然タイプじゃなかった小さな一重の目も少し大きな鼻と口も頬のニキビだって全部全部…全部が愛しく思えた。

私はまだどうしようもなく彼に恋をしてしまっている。



「あのっ! 明日もまたコンビニに来てください!!」

「えっ…?」

「絶対絶対来てください! お願いします!!」



振られたにも関わらず私はアイス男へ思い切り頭を下げた。

凄く格好悪いけれどこのままアイス男と会えなくなる事の方が私は嫌だった。






コンビニ/レジ




「いらっしゃいませ。」

「割り箸入れるなよ。」

「入れないよ!」



アイス男に振られてから三か月ー…

そろそろ季節は春に移ろうとしている。

頭を下げた甲斐あってか告白後もアイス男は変わらずアイスを買いに来る。

そして相も変わらず沙也香さんを気にしている。



「ありがとうございました。」

「ねえねえ貴ちゃん! 貴ちゃんとアイス男って付き合ってないんだよね?」

「付き合ってないよ?」

「えー 何で付き合ってないの?あんなに仲良いのに!」



"おかしいよ"と続けるいずみちゃんの疑問に小さく苦笑う。

アイス男とはあれから少しずつ話すようになりこの三か月近くで仲良くなれた…と私は勝手に思っている。

けれどアイス男の好きな相手は変わらず沙也香さんだ。

既婚者に不毛な恋を抱くアイス男を私は未だに応援出来ないでいる。

応援出来ない代わりに私は自分の気が済むまで振られた恋を大切にする事にした。

アイス男への恋を無理に忘れようとする事は止めた。

結局私はどうしたって…三か月経った今でもアイス男の事が好きなのだから仕方ない。

沙也香さんの姿を目で追うアイス男…の姿を更に目で追う私ー…

何だか追いかけっこみたいだ。

そんな私達の三角関係はアイス男が私の方を向いてくれたら丸く終わる…のだけれどアイス男が私の気持ちを察してくれないあたり道のりはまだまだ遠そうだ。



「いらしゃいませ。」






小学生の頃から憧れていたこのお店で働く夢が叶った今ー…

次なる目標はアイス男との恋を実らせる事だ。

今度冗談を装って伝えてみようか。

またレジ袋に割り箸を入れて…






End

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