落書き
それから、あたしは毎日屋上に行くようになった。
大嫌いだと思っていた3☆sとも関わっていくうちに、3人の本当の姿が見えてきた気がした。
そして、2週間がたった頃だった。
朝、いつも通りに学校に行き、教室に入ると、黒板に何か落書きがされていた。
[2年c組空川愛実は卑怯な女。3☆sを脅し、関係を強要。
男なら誰でもOK。欲求不満女。いつでも連絡してね~。080-×××-×××]
「・・・なにこれ・・・。」
わけがわからなかった。どうして・・・?何で・・・?
すると、勢いよく琉穂が教室に入ってきた。
「愛!他のクラスにも書かれてる!!」
あたしは、混乱したまま、ただ黒板の落書きを消そうとした。
その時だった。
*海都SIDE*
俺は、力弥と直樹といつもどおり学校に行くと、なんだか嫌な予感がした。
そのまま、2年の教室のある3階まで上がっていくと、みんなの雰囲気が違うことを察した。
「なぁ、なんか雰囲気っつか空気違わないか?」
そう声をかけてきたのは、力弥だった。
「お前もそう思うか?俺も思った。」
「えっ?何の話?」
「俺、何か嫌な予感がするんだよな。」
「当たらないといいんだけどな。」
教室に入り、その予感が当たってしまったことに気づいた。
黒板に書かれている落書きは、愛実を中傷する落書きだった。
そして、愛実がその落書きを消そうとしていた。
けれど、全身が震えているようで、うまく消せていなかった。
「あっ、海都君・・・。」
クラスの誰かが俺に気づいたことで、みんなが俺のほうを向いた。
そう、愛実も。
俺は、苛立ちながらも精一杯平然を装って、愛実のところへ行った。
「海都くん・・・。」
「海都君、この子に脅されてるんでしょ。だから毎日、お昼だって一緒に食べてるんでしょ。
こんな子最低じゃないの。脅してまで3☆sに近づこうなんて。」
「あたしは別に・・・!」
「谷口さんですか?こんな嘘を書きたてたのは。」
「えっ・・・そんなわけないじゃない。それに、本当のことじゃない。」
「冗談にしては度が過ぎるんじゃありませんか?空川さんには、脅されてなんていませんよ。むしろ、僕たちがお昼を誘っているんですから。ねぇ、力弥、直樹?」
「そうだよ。」
「空川さんに悪気はないと思いますが。こんな落書きを書くとは、いくらなんでも、子供じみていますよ。谷口さんは、そんな小さな子供ですか?」
俺は、いつもの王子様キャラで、谷口に釘を刺した。
「そんなわけないじゃない!ほら、ミカ、アキ早く消すわよ!」
そう言うと、谷口は落書きを消しだした。