交差点の陰から
掲載日:2026/10/23
ふとした違和感目眩の中に浮かぶような幻想を詩にしてみました。現実でも非現実でもない、不思議な空間をお楽しみいただけましたら幸いです。
交差点の陰から、見詰めていたらアスファルトの隙間から
黒い静寂が滲み出してきた
信号機は規則正しく青と赤を繰り返し
誰もいない横断歩道を
無数の影だけが渡っていく
見詰めていたら
街の輪郭がゆるやかに解け
交差点の陰に潜むものが
ゆっくりとこちらを振り返った
わたしは息を殺し
ただ、次の青信号を待っている
青に変われば
世界はふたたび日常の顔をして
クラクションの音が
うすい空気を切り裂くだろう
けれど一度知ってしまった
足元の、あの深い亀裂を
わたしは踏み外さないように
爪先立ちで渡っていく
陰の視線を背中に感じながら。
ご一読いただきまして誠にありがとうございました。不思議な空間を味わっていただけましたでしょうか?伝えしたかったので 少しでも伝わっていれば幸いです。次の作品もよろしくお願いいたします。




