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第13話 霜に慣れた朝
朝、裏口の木桶は白くなっていた。
ミリアはもう驚かない。
指で触れて、少し待つ。
「昨日より、厚いですね」
「そうだね」
それだけ。
息は白い。
でも、動きは鈍らない。
火を入れる。
鍋を置く。
いつも通り。
客が来る。
足音が、少しゆっくりだ。
「おはよう」
「おはようございます」
「寒いな」
「ええ」
それで十分。
昼前、猫が外に出た。
しばらくして戻ってくる。
足が、少し濡れている。
ミリアは布で拭いた。
「もう慣れた?」
猫は答えない。
午後、霜は消えない。
でも、誰も気にしない。
夕方、スープがよく出る。
味は、昨日と同じ。
夜。
戸締まりをしながら、ミリアが言う。
「冬ですね」
ユウトは、頷いた。
説明はいらない。
もう、そういう時期だ。
ひだまり亭は、
霜の朝に、慣れていた。




